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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿
2007年7月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまでレポートしていきます。

 なお、本連載中ではとくに断り書きがない場合、本文中のURLは中文サイトとなります。ご注意ください。


ゲーム依存症対策法施行やイベント開催でオンラインゲームが話題に

 7月には中国最大のゲームショー「ChinaJoy」が開催された。このため、インターネット関連の話題の中でも、7月はオンラインゲーム関連の話題が豊富な1カ月となった。

 7月12日から15日にかけて開催された中国最大のゲームショー「ChinaJoy」は、オンラインゲームの展示がメインだ。このため、「ChinaJoy」の開催に合わせる形で、中国のオンラインゲーム産業の将来について多くのメディアが論じた。各メディアはおおむね、中国は韓国に数年の遅れをとっており、オンラインゲーム業界の人材も足りていないという、現状のネガティブな点を指摘しつつ、中国民族ブランドとして、今後さらなる成長が期待できるという論調だった。

 7月16日からは、中国政府主導による「ネットゲーム依存症対策システム(網絡遊戯防沈迷系統)」が施行された。その名の通り、ネットゲーム依存症の利用者を対象に、長時間プレイした場合、ゲーム中のバーチャルマネーやポイントが減らされるというもの。超人気タイトルを含む11タイトルにこのシステムが導入されたが、その後の中国メディアの各ニュースでは、早くもそのシステムを破る技術的手段が編み出されたと報告している。また、「ネットゲーム依存症対策システムは、十分な対策とは言えない」という辛口な評価を下すメディアもあった。

 このほか、7月12日にオンラインゲームベンダーの「久遊網(ナインユー・インターナショナル・リミテッド)」が、韓国のオンラインゲーム会社「T3」からゲーム盗作問題で訴えられた件で、「盗作疑惑は捏造である」という主張のニュースリリースを同社Webページに掲載した。久遊網は、7月にも大証ヘラクレスに上場すると言われていたが、結局7月中の情報は見送られたようだ。盗作疑惑に関しては、中国メディアでさえも「あれはさすがに盗用だろう」という論調が大勢を占めており、中国メディア「21世紀経済報道」にいたっては「大証ヘラクレスへ上場する目的は裁判費用を稼ぐこと」とまで言われる始末で、ニュースリリースの効果があったかどうかは疑問符がつくところ。

 一方で、日本にもオンラインゲームを提供したことで知られる「完美時空」が7月29日、ナスダック市場に上場して話題となった。

 企業買収のニュースもあった。7月6日に、オンラインゲームベンダー最大手の盛大が、中国の1ゲームベンダーを買収。買収金額は1億元超(8月6日現在、1元=15.52円)と言われているが、買収された企業のトップが若干23歳。23歳で億万長者となったことで関心を集めた。



百度、正規版mp3ファイル配信で著名レーベルと提携する一方で訴訟も【7月5日、18日】

 mp3関連サービスは中国で数あれど、百度のmp3検索サービスは、良くも悪くも中国を代表するmp3関連サービスとして注目を浴びる存在となっているようだ。

 7月5日には、独立系音楽レーベルRock Music Group(RMG)と百度が提携を発表した。提携の内容は、百度のmp3検索サービスにおいて、RMGはRMGの中国向けコンテンツの試聴とダウンロードを許可し、代わりにRMGの広告を百度に掲載するというもの。

 2007年はじめに百度とEMIが提携したが、あくまで試聴を許可するだけでダウンロードは好ましくないという基本的スタンスがレーベル側にあった。今回RMGが、無料ダウンロードも許可という姿勢を明確に打ち出したことで、“RMGは一歩前に踏み出したコンテンツベンダー”と中国メディアに評価された。

 音楽配信がらみでは、訴訟の話題もあった。7月18日、音楽配信サイトの「娯楽基地」が、同社が著作権を保有する1,000曲超について「百度が無断で検索している」として、百度に対して、「娯楽基地への検索とリンク作成の停止、および1億元(約16億元)の損害賠償」を求めて北京市高級人民法院に提訴した。1億元という巨額の損害賠償額は前例がないという。


中国のブログの女王、徐静蕾のブログが1億ヒットを突破【7月12日】

 中国で最も人気のブロガーで女優の徐静蕾(シュー・ジンレイ)さんのブログ「老徐」が中国で初となる1億ヒットを突破した。多数の中国メディアが、老徐を「世界のブログの女王」と称え、記念する記事を掲載した(ちなみに、日本のブログの女王中川翔子の「しょこたん☆ぶろぐ」は2007年2月に5億ヒットを記録したと発表された)。

 中国の人気ブログトップ10を見ると、スポーツ解説者や不動産会社のトップなど職業は様々。トップ5は5,000万ヒット以上で、10位で3,600万ヒットとなっている。ブログサービスのプロバイダーは中国でも数あれど、トップ10のうち8つのブログは、中国3大ポータルサイトの1つ新浪(Sina)のブログサービス、残り2つのブログは同じく3大ポータルサイトの1つである捜狐(SOHU)のブログサービスを利用している。


オンライン通販サイトの脱税者に初の有罪判決【7月13日】

 オークションもオンラインショッピングも個人単位で経費なく出店できることで、中国で大人気のサイトが「淘宝網」だ。

 この淘宝網がリリースした「2007年上半期淘宝網ショッピング報告(2007年上半年淘宝網購物報告)」によると、同サイトにおける2007年上半期のユーザー間総取引高は157億元(1元=15.52円として、2,400億円超)で、早くも2006年の年間総取引高の169億元に迫る勢いだ。

 オンラインショッピング市場が急成長する中、中国メディアによると、脱税している店舗も増加傾向にあるという。オンラインショップの脱税総額は1億元(約16億円)近くに上ると試算した専門家もいる。また、少なくとも納税すべき店舗の6割が脱税していると推測し、脱税が横行する原因として、システムに問題があると指摘する専門家の声もある。具体的には、中国の税務は領収書を通して行なわれるが、オンラインショップにおいては領収書を発行しないことが多く、そのため脱税が容易であるという。

 そんな中、7月13日に中国で初めてとなる脱税容疑で逮捕されたオンラインショップ店長に有罪判決が下された。この店長は、ショッピングポータル「淘宝網」内でオンラインショップを運営しており、2006年上半期に500万元以上の売上があった。うち290万元は納税の必要がある商品であったにも関わらず納税をしておらず、計11万元強(176万円強)を脱税していたという。上海市普陀法院の判決は懲役2年、執行猶予2年、罰金6万元(96万元)。


また政府系サイトにハッカー侵入。江西省では改ざん被害の9割が政府系【7月19日】

 今月中旬、江西省南昌の政府系サイトにハッカーが侵入したことが報道された。ハッカーは政府に対し、20万元を払わなければ攻撃をやめないと脅しをかけている。

 江西省では、2006年の1年間でハッカーによるサイト改ざんは57件あり、その攻撃の対象のほとんどが政府系サイトであったという。また2007年上半期では、江西省で38のサイトがハッカーにより改ざんされたが、38件のほとんどが政府系サイトだった。江西省の公安による調査では、江西省の政府系サイトの9割にセキュリティホールがあることが判明している。


ネットで著名な株価予想屋が逮捕される【7月24日】

 有料会員を集め、株価予想記事を配信していた男が逮捕された。中国の証券法では、許可なしでは、いかなる証券関連業務も行なってはいけないことになっているためだ。男は、この未許可の業務で1,300万元(1元15.52円として2億円強)以上を稼いだという。

 逮捕された男は「帯頭大哥777」というハンドルネームを持ち、「3,000万ヒットを越えるブログを持つ有名ブロガーで、株価予想の的中率は9割を越え、多くの利用者の支持を得ていた」と述べている。

 会員は、ブログや中国で人気のインスタントメッセンジャーのQQを使って宣伝して集めたという。ゴールド会員、プラチナ会員、VIP会員などと会員をランク分けし、ランクに応じて情報を提供していたという。ちなみにゴールド会員になるには17,000元(1元15.52円として、26万円あまり)、プラチナ会員になるには27,000元(同約42万円)も必要だったとか。

 株価予想屋が登場した背景には、加熱する中国の株投資ブームがある。予想屋ではないが、株をテーマにするブログは中国でも数多くあり、株式関連のエントリを投稿するだけでも違法となるのかどうかが、今回の逮捕劇で注目された。ある専門家は、中国メディアの取材に対して「ブログでトレーダーの心を動かすとすれば、株価を操作することにつながるのだから、違法と考えられる」とコメントしている。また別の専門家は、「今回逮捕された男と多かれ少なかれ同様の違法行為を行なっている人は10万人はいる」とコメントしている。

 男の逮捕を受け、有料会員になってしまった人々は、男に対して集団訴訟を行なう構えをみせている。


ハリー・ポッター最新刊、数日で中文翻訳の海賊版が登場【7月26日】

 ハリー・ポッターの最新刊の中文翻訳版が、発売からわずか数日のうちに中国のサイト上に登場し話題となっている。ハリー・ポッター作者のJ・K・ローリングの許可を得ていない海賊版の中文翻訳は、ハリー・ポッターに関する百度内の掲示板利用者が協力して趣味で翻訳したものだという。しかし、発売後わずか数日の間に本1冊分を翻訳したことになり、尋常でない翻訳速度に中国のメディアも舌を巻いている。

 中国メディアの新聞晨報が百度に対し「これは百度による著作権侵害なのでは?」と尋ねたところ、百度は「掲示板は利用者が活動するプラットフォームであって、百度はこのような問題に関与しない」「百度は一貫してインターネットの著作権保護を重視している」とコメントしている。ちなみに、正規版の中文版書籍は10月末に発売予定となっている。


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  http://internet.watch.impress.co.jp/static/others/travel/060126/index.htm
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(2007/08/06)


  山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。

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