本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)を毎月ピックアップ。中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、幅広い話題をレポートしていきます。
■中国政府、検索サイトに不良な情報を掲載しないよう指示【8月31日】
中国信息産業部電信管理局はこの日、中国の主要検索サイトに対し、不良な情報を掲載しないよう指示した。ここでいう不良な情報とは、中国においては一般的にポルノ情報、デマの流布、暴力的内容、賭博、政府機密の漏洩、販売禁止物品の販売などが挙げられる。
指示を受けた「主要検索サイト」について具体的に名前は挙がっていないが、中国メディアによると、百度、グーグル中国、ヤフー中国、中捜、新浪愛問、捜狗などではないか、と言われている。主要検索サイトは指示を承諾し、この日から1週間以内に不良情報を削除したと中国メディアは伝えている。
また、検索サイトではないが、この日に前後して、中国各地で大規模な不良な情報の削除活動が行なわれたことが、中国各地方メディアの報告により明らかとなった。たとえば西安が省都の陝西省の陝西電信では8月31日に同省の2274のサイトにチェックが入り、277のサイトを摘発、うち14のサイトを閉鎖し、30GBの不良な情報が含まれるデータを強制削除したことが報じられた。
上海に近い安徽省では、同省の36,000のサイトにチェックが入り、959の“敏感な内容の映像”を削除し、2,023のサイトを閉鎖したことが報じられた。9月20日には中国公安部から、8月中旬より中国各地で違法サイトの粛清を行ったという公式の発表が行なわれた。発表によるとこの全国の粛清活動により、13,000超のポルノサイトを閉鎖し、4,500超の賭博や詐欺サイトを閉鎖したという。
■台湾北東部の地震で海底ケーブルが断裂。広東省や香港で影響【9月7日】
9月7日午前2時前、台湾北東部の沖合いでマグニチュード6.6の強い地震があり、続いてマグニチュード5規模の強い余震があった。この地震により一部の海底ケーブルが断裂し、広東省や香港から海外へのインターネットに影響が出た。
■ネットで自分を晒すブーム、今度は教師や学費を晒すことがブームに【9月10日】
最近中国の掲示板などで、自身の給料や家の情報や投資情報などを晒し情報交換することがブームになってきている。中国において9月10日は教師を敬う教師節で、この日掲示板上では自身の自慢の教師について多くの人が晒しあった。
ただし、中国では教師は日本よりもずっと尊敬される存在であり、叩きなどは少ない様子だ。教師節の数日前には、掲示板で学費事情を晒すことが流行っていた。身分を明かさず学費事情についての情報を書き込むことでお互いに情報交換できるということで、多くの人が掲示板に書き込み、また閲覧したと中国メディアがニュースで報じた。
日本では携帯電話向けのプロフィールサービスなども多数あり、匿名やアバターで、個人プロフィールなどを明かすことはもはや普通のこととなっているが、中国では匿名でも個人的な事情を公開すること自体がニュースとなるということは、まだまだ中国では個人事情を晒すのはレアケースであることを裏付けている。
■フリーメール競争激化、2社が容量無制限のサービスを開始【9月10日】
9月10日、中国3大ポータルサイトの1つで、中国でフリーメールサービスではトップシェア占める網易(NetEase)と、中国第2位のヤフー中国は、容量無制限のフリーメールサービスを同日開始した。網易とヤフー中国が同日にサービスを開始したのは、9月7日にヤフー中国が10日の容量無制限のフリーメールサービス開始を発表したのを受け、網易が同日にぶつけてきたものと推察される。
中国のリサーチ会社の「易観国際(Analysys International)」によると、2007年第2四半期時点における両社のフリーメールアカウント発行数は、網易が7,211万、ヤフー中国が3,221万。3位は3,118万で新浪(Sina)がヤフー中国のすぐ後ろに迫っている。ちなみに、8月に2GBから5GBへのメール容量増量を行なったMSNのhotmailは898万となっている。
■人気のIMサービス「QQ」を運営する騰訊、IMEをリリース【9月12日】
中国の若者に人気のインスタントメッセンジャーサービス「QQ」を運営する騰訊(tencent)が、中国語簡体字IMEのベータ版をリリースした。このIMEは「ピンイン(中国語の発音)」から入力するもので、中国で人気のIMEは漢字の筆順を元に入力する「五筆」が主流であることを考えれば、珍しい存在だ。
今年4月にはグーグル中国もピンインを採用したIMEをリリースしたものの、それが実はその前にリリースしていた捜狐のピンインIMEのソースを勝手に拝借したものだと判明。今回も少数派のピンイン方式を採用したIMEであるため、これもまた捜狐のピンインIMEをコピーした捏造品ではないか、という疑惑の声も一部で挙がっている。
■北京五輪関連サイトを騙る管理人100名以上が逮捕される【9月12日】
海南省公安部門と北京市公安部門は、海南省の1都市において、北京オリンピック関連のサイトを騙ったサイト管理人をこれまでに100人以上逮捕した、と「北京日報」が報じた。多くは北京オリンピックのチケット予約サービスを名乗ったサイトだ。容疑者を捕まえてみると、これらの偽サイト管理人はいずれも若者で、中には10代の未成年の若者も含まれていたという。
逮捕劇の一例を挙げると、今年、海南省の都市にあるネットカフェの一斉摘発においては、同容疑で87名もの逮捕者が出たという。この時の逮捕者の年齢は14~24歳で、そのほとんどは18歳以下の未成年だったという。
■ネットワークに不正侵入、成績データを改ざんするクラッカーが逮捕【9月13日】
四川省綿陽市のクラッカーが、成都市内をはじめとした四川省内の各大学のネットワークに不正侵入し、成績を改ざんするサービスを請け負っていたとして、クラッカー3人が逮捕された。
逮捕された3人は2006年8月から2007年4月にかけて130名強の学生の302科目の成績を改ざん、42,300円の収益を上げていた。1科目につき60元から100元のサービス代を受け取っていたという。またこの3人のクラッカーは卒業証書の偽造も行なっていた。
■「お祈りパンダ」ウイルスの作者に判決が下る【9月25日】
今年上半期に中国でのネットニュースで話題をさらった「お祈りパンダ(中国名:熊猫焼香)」のウイルス作者に、湖北省仙桃市人民法院で判決が下った。首謀者はウイルスを販売した20万元以上の利益を得たほか、コンピュータシステムを破壊したとして懲役4年の実刑判決、共謀者3名も1年から2年6カ月の実刑判決となった。
判決が下されたばかりの実行犯に、ウイルスを作りワクチンソフトも作ったその能力を見込んで、ある杭州の企業が年収100万元(日本円で約1,550万円)で働かないかとヘッドハンティングをしたことが、中国メディアの報道で明らかになった。就職が決まらず、お祈りパンダウイルスをうさばらしで作った作者だが、獄中の4年間と引換えに、企業から熱烈なラブコールを受ける身となった。
■中国政府、アンチスパムメールシステムを構築【9月25日】
中国政府は中国のインターネットにおいて、インフラ側で事前にスパムメールを削除するアンチスパムメールシステム構築を推進すると報道されている。
9月25日に開催された、「中国インターネット大会 緑色ネットワーク文化建設フォーラム」において、中国インターネット協会反スパムメール工作委員会の主任委員である王秀軍氏は、同委員会と上海交通大学が共同で研究開発をしている「電子切手」を利用し、発信元を特定する技術を使ってスパムメール対策を行なうとコメントしている。
■著名サイトの元社員、全体の8割以上の社内情報を漏洩【9月30日】
中国の著名旅行予約サイト「e龍」の元社員が、退職時に同社の機密データを漏洩したとして、e龍は元社員に対し損害賠償請求を行なっていた。これについて、9月30日に裁判所である北京市豊台人民法院は「権利を侵害する行為を行なった」として、元社員に15,000元(23万円弱)の損害賠償を行なう判決を下した。
元社員はプログラマーとして在職していた2005年8月から2006年7月の間に顧客企業のデータベースから顧客のデータを吸い出しており、吸い出したデータ量は同期間に発生した全データの8割に及んだという。
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山谷剛史の海外レポート
http://internet.watch.impress.co.jp/static/others/travel/060126/index.htm
中国のネット人口は1億2,300万人、回線はADSLが主流に
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/07/21/12742.html
ワールドカップで盛り上がった中国インターネット
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/07/19/12688.html
(2007/10/04)
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山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。
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