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インテル、IEEE 802.16-2004に準拠した初のWiMAXチップセット


インテル PRO/Wireless 5116 ブロードバンド・インターフェイス
 インテルは19日、同社初となるWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)対応ソリューション「インテル PRO/Wireless 5116 ブロードバンド・インターフェイス」の出荷を開始したと発表した。価格は1,000個受注時で47ドル。

 WiMAXは、IEEE 802.16で標準化が進められている高速無線技術。すでに見通し内の通信に限られ、10~66GHzの帯域を利用して最大135Mbpsの通信が可能な「IEEE 802.16」、見通し外の通信も可能な最大75Mbps以上の「IEEE 802.16-2004」が標準化されている。2005年9月にはこれに続いて時速120km以上のハンドオーバーに対応したモバイル向けの「IEEE 802.16e」が標準化される見込み。

 今回インテルが発表したPRO/Wireless 5116は、このうちIEEE 802.16-2004に準拠したチップセット。2004年9月に開催された「Intel Developer Forum Fall 2004」では「Rosedale」というコードネームで製品展示とサンプル出荷が行なわれており、これを製品化したものがPRO/Wireless 5116という位置付けになる。

 PRO/Wireless 5116はMACとベースバンドのプロセッサを核としたシングルチップソリューション。RF部に関してはインターフェイスが用意されており、サードベンダが製品化を行なう。10BASE-T/100BASE-TXのEthernetや一般電話回線用のTDMインターフェイスも搭載するほか、QoSもサポートする。


2005年内にはWiMAX最初の認定機器が出荷予定

インテル Wireless LAN製品&システムズ・プロダクト・マーケティング・マネージャーの梅野光氏
 インテル Wireless LAN製品&システムズ・プロダクト・マーケティング・マネージャーの梅野光氏はPRO/Wireless 5116について「集積化され、他のインターフェイスも持ち合わせたWiMAXの統合ソリューションとしては世界で初と認識している」とコメント。「WiMAXが標準化されたことで低コストな宅内機器を実現できる。WiMAXフォーラムはWi-FiのようなWiMAX認定プログラムを開始する予定で、2005年内にはWiMAX最初の認定機器が出荷されるだろう」との見通しを示した。

 製品化された際の価格に関しては、「クライアントの装置一式で200ドル、2万円を切れば広がりが見えてくるのではないか」と説明。一方、基地局の費用に関しては「1年くらい前のデータはあるが、今お話してリアリティのある数字ではないだろう」と語るに止まった。

 IEEE802.16-2004に準拠したWiMAXの利用用途としては、家庭の屋外アンテナとしてデータを受信する、または公衆無線LANサービスなどのバックホールといった通信事業者向けの提供が主となる。梅野氏は「標準化予定のIEEE 802.16eはIEEE802.16-2004を包括した規格で、ノートPCなどでのデータ通信も実現できる」と説明。さらに後期のIEEE802.16eでは時速120kmでのハンドオーバーをサポートするため、携帯電話のようなモバイル機器でも利用が可能とした。

 カバーできる通信距離は数km単位で、指向性アンテナによる拠点間通信であれば50kmまで通信が可能という。なお、IEEE802.16-2004とIEEE802.16eではハードウェアのレベルから規格が異なるため、IEEE802.16-2004に対応したハードウェアをIEEE802.16eへのアップグレードすることは不可能という。


今後の製品化スケジュール。2007年にはIEEE 802.16e準拠のWiMAX製品が登場する見込み PRO/Wireless 5116の位置付け

 すでに機器メーカー11社がPRO/Wireless 5116を採用した製品を予定しており、梅野氏は「数日中に数社から製品化スケジュールが公開されるだろう」とコメント。さらに世界ベースでは75の事業者がWiMAXベースの試験サービスを予定しており、このうちの30事業者がインテルの製品を採用するという。

 梅野氏は「インテルを採用する30事業者のうち15事業者は、WiMAXによる具体的なプランを持っている事業者」と補足、さらに「携帯電話事業者ともWiMAXに関連する話をしている」とした。なお、日本国内でWiMAXを採用したサービスを表明している鷹山に関しては「我々がサポートする15社には入っていないが、インテルを採用する30社には入っているのではないか」という。

 なお、日本国内で実際にサービスを提供するためには、総務省による周波数の割り当てが必要になる。WiMAXフォーラムでは、米国で認可されている2.5GHzと5.8GHz、韓国で固定ワイヤレス通信に割り当てられている3.5GHzに700MHzを加えた4帯域での利用を推奨しており、インテルとしても日本国内で利用できる「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」へ利用を希望する周波数帯域の意見を提出しているという。梅野氏は「IEEE 802.16-2004は帯域が割り当てられ、WiMAXフォーラムによる機器認証が行なわれればすぐにでもサービスを開始できるのではないか」との見通しを示した。

 なお、韓国ではWiMAXをベースにした独自規格「WiBro」が進められているが、梅野氏は「WiBroでは韓国だけの独立仕様になってしまうため、韓国政府としてはWiMAXとWiBroを統合する方向で考えていると聞いている」と語った。


PRO/Wireless 5116の統合化のメリット PRO/Wireless 5116の概要

PRO/Wireless 5116を採用するメーカーや事業者 PRO/Wireless 5116の技術仕様

PRO/Wireless 5116 PRO/Wireless 5116とAirspanの家庭用アンテナ

WiMAXの基地局アンテナ WiMAXの家庭用受信アンテナ

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2005/050419a.htm
  関連記事:ケータイ用語の基礎知識:WiMAX とは[ケータイWatch]
  http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/keyword/23442.html

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( 甲斐祐樹 )
2005/04/19 18:55

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