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ソニー、10,000人の社員削減を含む中期経営方針を発表


 ソニーは22日、経営方針説明会を開催し、ハワード・ストリンガー会長や中鉢良治エレクトロニクスCEO兼執行役社長らが中期経営方針を発表した。2007年度連結通期営業利益で利益率5%を目指し、「最重要課題」(ストリンガー会長)だというエレクトロニクス事業の組織変更と体制強化を実施する。なお、この中期経営方針にあわせて、2005年度連結業績見通しに構造改革費用などを反映。営業利益が7月時点の見通しだった300億円の黒字から、500億円減額して200億円の赤字となった。売上については7月時点の7兆2,500億円から変更はない。

 発表された中期経営方針は、エレクトロニクス事業を再編する「機構改革」、2007年末までに2,000億円のコスト削減を目指す「構造改革」、HD(High Definition)商品や情報家電などを含むエレクトロニクス事業の「成長戦略」などがメイン。「(ソニーには)欲しいと思う商品がない」「商品の使い方がわかりにくい」「商品力そのものが弱体化しているのではないか」など、社内外からの批判に応えるものだという。


左から大根田執行役EVP兼CFO、ストリンガー会長、中鉢社長。3色の「ウォークマンAシリーズ」をそれぞれ掲げて、“Sony United”をアピール

2007年末までに全世界で10,000人の人員削減

エレクトロニクス事業部の新組織

2,000億円のコスト削減や2,100億円を投じて構造改革を行なう
 中鉢社長は業績不振の要因として「顧客視点の欠如」「技術力の低下」「オペレーション力の低下」を指摘。企業体質の強化を目指し、創立60周年の節目となる2006年に向けて“チャンピオンプロダクツ”を全社横断の商品戦略会議で推進する「Customer View Point」、テレビやビデオ、ウォークマンなどの重要商品カテゴリでNo.1ポジションを追求する「Technology No.1」、設計・生産・販売の各現場を強化し“小さい本社と強い現場”を実現する「GENBA」の3つのコーポレート・イニシアティブを掲げた。

 機構改革では、これまでのカンパニー制を「協力・連携を阻む個別最適志向の“サイロ”体質」(ストリンガー会長)と分析。中鉢社長に直結する組織体制に変更する。また、各組織を横串的に横断する商品戦略会議、生産戦略会議、販売戦略会議、技術戦略会議などを設置。各役員がそれぞれの戦略会議を担当し、中鉢社長を補佐する仕組みだ。

 2,000億円のコストを削減するという構造改革では、15カテゴリの不採算事業について収益性、将来性、成長性などの要素を判断し、「事業を売却する」「アライアンスを組む」など今後のアクションプランを決定する。これら不採算事業のカテゴリについては具体名を公表しなかったが、「適切な時期が来たら、正式に発表する」(中鉢社長)という。

 また、継続事業に関しても製品モデル数を20%削減。製造拠点数の統廃合も推進し、現在の65拠点から54拠点へと11拠点を減らす方針だ。なお、これらの施策により、2007年末までに全世界で10,000人(国内4,000人、海外6,000人)の社員削減を進める。ソニーでは、これら構造改革費用として2,100億円を計上している。


PlayStation 3にソニーグループのリソースを集結

先行する北米では売上好調だという薄型テレビ「BRAVIA」
 「テレビなくしてソニーの復活はない」という中鉢社長は、テレビ事業を2006年下期までに黒字化するとコメント。14日に国内で発表した新薄型テレビブランド「BRAVIA」が、先行販売した北米において9月第2週に液晶テレビ市場でNo.1シェアを獲得したことや、同じく北米リアプロテレビ市場で50%を超えるシェアに拡大したことなどを挙げ、「復活の手応えを感じている」とアピールした。

 さらなる成長戦略は、テレビやハンディカム、HDDレコーダなどでHD化対応を進め、現在35%の対応率を2007年までに75%へ高めることだ。「撮る、見る、録画する、編集するといった一気通貫の“HD World”を提供する」(中鉢社長)。2006年春に発売が予定されている次世代ゲーム「PlayStation 3」については、ストリンガー会長が「ソニーグループのリソースを集結して開発している」と強調した。

 また、ホーム・モバイルプラットフォームを構築し、対応するモバイル商品を2006年に発表する予定。さらに、PlayStation 3にも搭載する新型プロセッサ「Cell」に関しては「Cell Development Center」を創設し、社内での技術開発やアプリケーション開発を推進するという。このほか、ソフトウェアの開発体制も強化し、動画などのコーデックを含むアルゴリズムの開発も行なう方針だ。


「撮る、見る、録画する、編集するといった一気通貫の“HD World”を提供する」と中鉢社長 PlayStation 3には、ソニーグループのリソースを集結

iTunes Music Storeへの参入は「現在、交渉を進めているところ」

 スカイパーフェクト・コミュニケーションズと金融事業の売却報道については、大根田伸行執行役EVP(Executive Vice President)兼CFOが「現時点で売却する計画はない」と改めて説明した。

 なお、ソニーでは、2005年度中に予定しているソニー・コミュニケーションネットワーク(SCN)のIPOについて「IPOによって、ソニー本体とSCNの連携が弱くなるのではない」とコメント。SCNがISPとしての基盤を強めるためにIPOを行なうとした。このほか、iTunes Music Storeへの参入に関しては「現在、交渉を進めているところ」として参入時期などは明確にしなかった。


関連情報

URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  中期経営方針
  http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200509/05-050/
  人事・機構改革
  http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200509/05-051/
  2005年度連結業績見通し修正のお知らせ
  http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200509/05-052/
  関連記事:ソニー、2005年度の営業利益が200億円の赤字に[AV Watch]
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050922/sony.htm
  関連記事:“ソニーテレビ復活”に向け、新薄型テレビ「ブラビア」発表[AV Watch]
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050914/sony1.htm
  関連記事:SME、iTMSへの楽曲提供に向けた交渉を継続[AV Watch]
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050905/sme.htm

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( 鷹木 創 )
2005/09/22 20:00

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