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KDDIがパワードコムを吸収合併、東京電力とはCDNと光ファイバを統合


(左から)パワードコムの中根滋代表取締役兼CEO、KDDIの小野寺正代表取締役社長、東京電力の勝俣恒久取締役社長
 KDDI、東京電力、パワードコムの3社は13日、共同記者会見を開催し、KDDIとパワードコムの合併について発表した。

 この合併は、NTTグループへの対抗軸を形成することを目的としたもの。KDDIを存続会社として2006年1月1日をめどにKDDIとパワードコムを合併。また、KDDIと東京電力はFTTH事業で提携、2005年内をめどにKDDIのCDNと東京電力の光ファイバを統合する。

 パワードコムが保有する子会社のドリーム・トレイン・インターネット(DTI)、ファミリーネット・ジャパン、フュージョン・コミュニケーションズ、アット東京は、合併期日までに東京電力もしくは第三者に譲渡する予定。

 KDDIとパワードコムの合併比率は、KDDIが1に対してパワードコムが0.0320で、合併に伴い発行する新株式数は、普通株式が186,376.48株。ただし、KDDIが保有するパワードコム株式9,897.34株については、合併に際してもKDDIの株式を割り当てない。合併終了後の東京電力の出資比率は4.81%となる。

 また、合併業務を円滑かつ迅速に推進するため、KDDIの山本正博代表取締役執行役員副社長を帳とする合併準備委員会を設置。このほかにパワードコムからKDDIへ執行役員1名の就任を、東京電力からKDDIへ取締役1名の派遣を予定する。

 FTTH事業の統合に関しては、現在は基本合意の段階であり、詳細は今後詰めていく予定。東京電力の勝俣恒久取締役社長は「2005年内には大きな基本方向を固めたい」との考えを明らかにした。


NTTグループと対抗しうる企業グループを早期に形成

 KDDIの小野寺正代表取締役社長は今回の提携および合併によって、他社ではなしえない固定電話と携帯電話の融合とエネルギー事業の連携を図る「FMC+E(Fixed Moblie Convergence + Energy)」を実現すると説明。また、可能な限り早期にNTTグループと対抗しうる企業グループを形成するとの目標も示された。

 小野寺社長は「従来から申し上げている通り」と断った上で、「持ち株の下でNTTのグループ会社統合を進めていくことは、法律違反ではないが法の趣旨には反しているだろう」と指摘。「KDDIとしても、アクセスをNTTに頼っているだけではNTTのコストの中だけでやらざるを得ない。これでは当社としても発展性に限界がある」とした上で、「FTTHを最大限に有効活用し、FMC+Eを含めてNTTグループにはない新しいサービスを実現する」との意気込みを示した。KDDIが掲げるウルトラ3G構想にも、東京電力のアクセスネットワークを組み込んでいくという。

 合併相手のパワードコムに対しては「競争環境の厳しい法人固定データ市場でもイーサネットサービスでトップシェアを誇っており、法人顧客の入居するビルへのアクセスネットワークも有する」と評価。「KDDIは固定や国際、携帯電話を含めた総合通信事業者として、法人顧客のニーズに応えるソリューション体制を整えており、合併によって更なるサービスの利便性向上を図れる」と期待を示した。

 FTTH事業は、KDDIが独自に構築したCDNと東京電力の光ファイバネットワークを統合することで「アクセスから中継ネットワークを総合的に提供できる」とコメント。東京電力の光ファイバ設備投資に対してKDDIが一部資金負担することで合意したほか、将来的には東京電力のFTTH事業を分離してKDDIと統合するといった運営形態についても具体的な検討を進めているという。

 KDDIのFTTH事業はこれまでNTTのダークファイバを利用してきたが、「申し込みから開通までの手続きにかなりの時間が必要(小野寺社長)」。東京電力と提携することでこの期間を短縮化できるメリットがあるほか、「すでに価格の決まっているNTTのダークファイバに対して、東京電力との提携では企業努力次第でNTTより安価に光ファイバを利用できる仕組みを構築したい」と小野寺社長は述べ、「FTTHへの設備投資はそういう要素も含めて検討したい」と付け加えた。


「今回の合併でもっとライブドアを支援できる」とパワードコム

3社による握手
 また、東京電力としても、電力と通信を統合することに新たな価値を見いだしているという。東京電力の勝俣恒久取締役社長は「東京電力では電気・熱・設備管理・自動検針といったトータルソリューションサービスを提供しているが、これに通信を加えることでさらに大きなトータルソリューションも検討していくほか、電力設備の管理に通信を活用するといった深まりも目指す」と説明。「さらに先にはPLCの分野でも共同していきたい」との方針を示した。

 パワードコムの子会社4社は今回の合併対象には含まれていないが、KDDIの小野寺社長は「合併の対象はパワードコムであり、子会社は東京電力の判断で決めればいいと考えていた」とコメント。勝俣社長は「東京電力にとって必要な企業もあり、もしくは交渉相手から良い条件を選んで譲渡することもある」との方針を示したが、どの企業を自社で保有し、もしくは売却するかについては「現在はお話できない」と明言を避けた。

 東京電力以外の電力事業者との提携については、今後検討を進めていく方針。東京電力の勝俣社長は「他事業者からKDDIとの提携の要望はまだ出ていない」とした上で、「要望があれば橋渡しをするが、まずは我々の状況を見てからになるのではないか」との考えを示した。

 KDDIとパワードコムの統合に関してはすでに一部で報道されていたが、小野寺社長は「今回の発表は我々のスケジュール通り」と説明。「一部報道では9月に発表との話もあったが、そういったことは考えておらず、スケジュールが遅れたという事実はない」と否定した。

 パワードコムは、公衆無線LANサービス「livedoor Wireless」でライブドアとも提携しているが、パワードコムの中根滋代表取締役兼CEOは「ワイヤレスという第3のアクセスが今日本に広がりつつあるが、それが単純な競争にはならないと考えている」とコメント。「FMCが示唆することは、誰のネットワークであれお客様には関係なくいつでもどこでもつながるということ。むしろこの合併によって、従来以上にライブドアを支援できるのではないか」との考えを示した。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2005/1013/index.html

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( 甲斐祐樹 )
2005/10/13 18:43

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