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米出版業界団体がGoogleを提訴“図書館丸ごとデータベース計画”に反発


 米国の出版社による業界団体The Association of American Publishers(AAP)は19日、世界の大規模図書館の蔵書をスキャンし、インターネットで全文検索できるようにする「Google Print Library」プロジェクトについて、著作権者の許可なく著作物をコピーし、配布しようとしているとしてGoogleを提訴したと発表した。このプロジェクトに関しては米作家団体のAuthors Guildも訴訟を起こしている。

 AAPの発表によると、AAPの主要メンバーであるThe McGraw-Hill、Peason Education、Penguin Group(USA)、Simon&Schuster、John Wiley&Sonsを代表して訴えを起こしており、Googleが著作権者の許可なく書籍全体をスキャンすることで著作権を侵害していることを認定するよう裁判所に求めている。この訴訟は、AAPの主要5社だけでなく、AAPの理事会に参加するAAP会員20社の圧倒的多数に支持されたという。

 AAPではGoogleに対して、スキャンする書籍のISBN番号をあらかじめ出版社に通知し許可を得る方法を提案したが、Googleはこの申し出を拒絶したとしている。

 AAPの代表で元コロラド州選出の下院議員Patricia Schroeder氏は「もしGoogleが英語で書かれたすべての書籍をスキャンできるのであれば、ISBNを使うことだってできるはずだ。この合理的なISBNによるソリューションを拒絶することによって、Googleは我々が訴訟せざるを得ないようにしたのだ」と指摘した。

 興味深いことにAAPは最近になって、米Yahoo!が主導し、米Hewlett-Packard、米Adobe、米Internet Archiveが参加して始まった「Open Contents Alliance」を「クリエーターの権利を尊重している」プロジェクトとして高く評価している。

 Googleの公式ブログには、同社CEOのEric Schmidt氏が米経済誌The Wall Street Journalに寄稿した論文が掲載されている。Schmidt氏は、Google PrintとGoogle Libraryプロジェクトが出版業界と人々に対してもたらす利益を指摘した上で、Googleの主要ビジネスであるサーチエンジンと同じ考え方に基づくものであるという。

 「ユーザーの探す情報に誘導するために、我々は見つけることができる全てのサイトをコピーし、インデックスする必要がある。もしそうしなかったなら、使いやすいサーチエンジンを創ることは不可能であり、同じ力学がGoogle Print Libraryプロジェクトにも適用される。」(Schmidt氏)

 Googleのこの論法には議論の余地があると考える法学者もいるようだ。米著作権法で認められている「Fair Use」の概念が、「全てのサイトをコピーし、インデックスする」ことを無制限に許すほど厳密には規定されていないと考えられるからだ。このことはGoogleがWebサイトのキャッシュを保存していることなどにも議論を提起している。もしそうだとすれば、この一連の訴訟は米著作権法のFair Useの概念に全く依存しているGoogleだけでなく、米Yahoo!や米Microsoftにとっても問題となる可能性もある。


関連情報

URL
  米AAPによるニュースリリース(英文)
  http://www.publishers.org/press/releases.cfm?PressReleaseArticleID=291
  Google公式ブログの該当記事(英文)
  http://googleblog.blogspot.com/2005/10/point-of-google-print.html

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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2005/10/20 12:20

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