クロムサイズが開発した集合住宅向けのハードディスク録画システムに対して、大阪の民放テレビ局5社が販売の差し止めなどを求めた訴訟について、大阪地方裁判所は24日、近畿地方での販売の差し止めを命じる判決を下した。
クロムサイズが開発した集合住宅向けハードディスク録画システム「選撮見録(よりどりみどり)」は、5つのチャンネルのテレビ番組を最大1週間分録画し、利用者が指定した番組を後から視聴できるシステム。マンションなどの集合住宅に録画サーバーを設置し、居住者側に視聴用の端末を備える。
大阪の民放テレビ局5社(毎日放送、朝日放送、関西テレビ放送、讀賣テレビ放送、テレビ大阪)は、このシステムを集合住宅向けに販売することは著作権の侵害にあたるとして、クロムサイズを相手に販売差し止めなどを求める訴訟を大阪地裁に起こした。クロムサイズ側は裁判で、同システムの利用は著作権法で認められた私的複製の範囲内であり、集合住宅内の利用に限られるため公衆送信可能化権の侵害にも当たらないなどと主張した。
判決では、選撮見録のシステムについて、放送の複製および送信可能化の主体を商品の設置者(マンションの管理組合など)であると認定。これに対し、複製された放送の使用者は集合住宅の入居者であり、複製の主体と使用者が異なることから、著作権法に定めた私的複製には当たらないとした。
また、システムは電気通信回線を通じて多数の利用者にサービスを提供することから、公衆用自動複製機械の使用に該当するとし、放送を送信可能化するものであると認定。集合住宅にシステムが設置された場合には、放送局の著作隣接権を侵害することがほぼ必然であるとして、クロムサイズに対して近畿地方(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)でのシステムの販売差し止めを命じた。
クロムサイズでは、判決については遺憾であり不服だが、今後の対応については十分に検討した上で改めて報告するとしている。
関連情報
■URL
クロムサイズ
http://www.cyz.co.jp/
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( 三柳英樹 )
2005/10/25 17:38
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