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総務省、2006年の「情報通信白書」を公表

特集テーマは「ユビキタスエコノミー」

 総務省は4日、2006年の「情報通信に関する現状報告(情報通信白書)」を公表した。同日より総務省の「情報通信統計データベース」サイトに全文を掲載するとともに、5日からはCD-ROM付きの冊子(2,700円)を書店などで発売する。要旨の英語版もサイト上で公開したほか、8月中をめどに小中学生向けの「情報通信白書 for Kids」も更新する予定だ。

 情報通信白書は、1973年から毎年作成しているもので今年で34回目になる。2006年版の特集テーマは「ユビキタスエコノミー」で、ユビキタスネットワークの進展が日本の社会経済システムに与える影響などについて調査・分析を行なっているという。


サイト上で公開している情報通信白書は、HTML版(写真)のほかにPDF版も用意している
 情報通信白書では冒頭の総論において、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークにつながり、情報の自在なやりとりを行なうことができる「ユビキタスネットワーク社会」を、2010年をめどに実現することを目指す「u-Japan政策」を紹介した上で、「ユビキタスネットワークの深化が、社会経済のあらゆる局面で知識・技術の集積を進展させ、既存の社会経済システムの変革や、経済活力の源泉である技術進歩を加速させることに寄与することが期待される」と述べる。

 さらに、従来は「企業等で利用され、利用者はその利便性を受動的に享受する立場であることが多かった」という「情報通信技術」というものが、「企業等の外側、すなわち一般利用者の生活領域にまで広く浸透することが、ユビキタスネットワーク進展の意味するところと考えることができる」と説明。携帯電話を利用したオークションへの出品やブロードバンドによるコンテンツの視聴、ブログやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)による消費者発信型メディア(CGM)などがその象徴だとした。

 こういった情報通信技術の新しい利用形態はライフスタイルの変化を伴うものであり、市場や雇用に変化が生じる一方、旧来の市場に変容をもたらし、企業における対応も必要となることから、ユビキタスネットワークの進展による社会経済の特質を表わす用語として「ユビキタスエコノミー」をあえて使ったと説明している。

 その「ユビキタスエコノミー」を特集テーマに掲げた第1章では、ユビキタスネットワークによる新しい潮流として「Web 2.0」「ロングテール現象」「オープン化の流れとコラボレーションの進展」などのトピックを取り上げているほか、ブログやSNSなどのCGMについても1つの節を設けて紹介している。また、コンテンツ配信をめぐる動きをまとめた節では、コンテンツ市場全体がほぼ横ばいで推移している中で、インターネットを通じたコンテンツ配信の割合が増加しているデータなどを紹介している。

 さらに第1章の最後には、ユビキタスネットワーク社会の実現に向けた課題となる「影」の部分として、情報セキュリティとデジタル・ディバイドを挙げ、これらの課題について的確に政策を進めていく必要性を指摘している。

 このほか、第2章の「情報通信の現況」では、電気通信事業や放送事業の市場規模や利用状況、研究開発や人材育成、電子政府や電子自治体、海外の情報通信政策の動向などをとりまとめている。第3章の「情報通信政策の動向」では、u-Japan政策をはじめ、携帯電話のナンバーポータビリティ、地上放送のデジタル化、情報セキュリティ対策などの日本の政策を紹介している。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060704_1.html
  情報通信統計データベース「情報通信白書」
  http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/whitepaper01.html

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( 永沢 茂 )
2006/07/04 12:46

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