コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)、日本レコード協会、日本放送協会および民放5局は25日、「ファイル交換ソフトの利用実態」に関するアンケート調査の結果を公表した。国内のファイル交換ソフトの利用者は約175万人、利用経験者は608万人を超えることが明らかになった。
● ファイル交換ソフトの現在利用者は175万人、利用経験者は608万人に
調査は6月13日から18日にかけてアンケートサイトで実施し、1万8,596人から有効回答を得た。それによると、調査時点におけるファイル交換ソフトの「現在利用者」は3.5%だった。「過去利用者」の8.6%を加えた「利用経験者」は12.0%に上る。2005年に実施した同様の調査では、「現在利用者」が2.7%、「過去利用者」が6.3%だったことから、増加していることがわかった。
6月にインプレスR&Dが発行した「インターネット白書2006」からインターネット利用者を5,060万2,100人(自宅の機器からのインターネット利用者数合計)と想定すると、「現在利用者」は約175万5,100人、「過去利用者」は約432万6,600人。合計すると、ファイル交換ソフトの利用経験者は608万1,700人と推計された。なお、前年調査では「現在利用者」が約127万4,000人、「過去利用者」が約297万3,000人だった。
● ファイル交換ソフトの利用者数、「Winny」が「WinMX」を逆転
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ACCSの久保田裕専務理事
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「現在利用者」が主に利用しているファイル交換ソフトとしては、「Winny」が33.3%で最も多く、「WinMX」が24.5%、「LimeWire」が19.8%の順で続いた。前回調査において54.8%でトップの「WinMX」を、同じく33.2%で2位だった「Winny」が上回る結果となった。
この結果ついてACCSの久保田裕専務理事は、「Winnyは、WinMXに比べてファイルを入手しやすかったり、匿名性が高いことなどから、ユーザー数が逆転した」と分析する。なお、「過去利用者」がこれまで利用したファイル交換ソフトは、「WinMX」(55.8%)が「Winny」(51.4%)を若干上回っている。
ファイル交換ソフトを利用してダウンロードしたファイルをジャンル別に見てみると、「現在利用者」「過去利用者」とも音楽関連ファイル(現在利用者69.1%、過去利用者63.4%)が最も多く、映像関連ファイル(現在利用者67.0%、過去利用者55.8%)が僅差で続く。
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利用されているファイル交換ソフト
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ファイル交換の対象とされたコンテンツの種類
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● 音楽ファイルのダウンロードでは「LimeWire」が2位に
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ACCSの坂田俊介広報室室長
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コンテンツのジャンル別に利用したファイル交換ソフトを尋ねたところ、音楽関連ファイルでは「WinMX」が28.7%で最も多く、23.5%の「LimeWire」、22.2%の「Winny」がほぼ横並びで続いた。一方、映像関連ファイルについては「Winny」が32.4%でトップ、以下は「WinMX」の23.8%、「LimeWire」の20.2%という順番だった。
音楽関連ファイルのダウンロードで使われたファイル交換ソフトでは、「LimeWire」が「Winny」を抑えて2位になっているが、ACCSの坂田俊介広報室室長は「ファイル容量の小さい音楽ファイルは送受信が容易。そのため、ファイル交換ソフトにこだわらずに、ファイルが送受信されている」とし、特別に「LimeWire」が音楽ファイルのダウンロードするユーザーに支持されているわけではないと説明。ファイル容量が大きい映像ファイルについては、「ファイル共有機能が優れたWinnyが利用される傾向が見られる」と指摘した。
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ダウンロードに利用されたファイル交換ソフトの種類
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● 1年間でダウンロードしたファイルは平均194ファイル
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ファイル共有の経験について
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「現在利用者」が過去1年間にダウンロードしたファイルの総数は平均194ファイルで、前年調査時の236ファイルよりも減少。ジャンル別の平均ダウンロード数では、音楽関連が87.1ファイルで最も多く、映像関連の79.4ファイルを僅かに上回った。以下は写真関連が11.2ファイル、ソフトウェアが8.7ファイル、文書関連が7.88ファイルの順となっている。これまでにダウンロードしたことのある映像ファイルのジャンルでは、アダルトが43.6%で最も高く、以下は映画の36.7%、アニメの28.6%と続いた。
最近ダウンロードした音楽ファイル、映像ファイル、ソフトウェアのファイル名をそれぞれ3点まで挙げてもらい、そのファイル名から推定したところ、音楽ファイルの91.1%、映像ファイルの86.2%、ソフトウェアの58.2%が、著作権の対象となるもので、かつ権利者の許諾を得ていないものだとしている。
また、ファイルを他人に送信できる状態にする「ファイル共有」については、「現在利用者」のほぼ3分の1にあたる32.6%が経験していると回答した。なお、ここでいう「ファイル共有」は、ユーザーが意図的にファイルを送信可能な状態にしたケースだけが含まれる。そのため、「Winny」でダウンロードしたファイルが即座にアップロードされる仕組みを知らないユーザーは、集計されていない。ちなみに、ファイルを共有するにはユーザーの設定が必要となる「WinMX」では、46.2%がファイル共有を経験していた。
● 利用をやめた理由のトップは「セキュリティ・ウイルスが心配」
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ファイル交換ソフトの利用をやめた理由
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「過去利用者」にファイル交換ソフトの利用をやめた理由を尋ねたところ、「セキュリティ・ウイルスなどが心配」という回答が46.2%で圧倒的に多かった。一方、前回調査において31.3%でトップだった「著作権侵害などの問題がある」は26.4%で2位に下がった。以下、「ダウンロードに時間がかかる」(22.2%)、「飽きた」(18.4%)、「ファイル交換ソフトの利用が社会問題化」(15.0%)と続く。
ファイル交換ソフトの利用を辞めた人の中では、5.6%が「また利用したい」、23.1%が「機会があれば利用したい」と今後の利用意向を示したが、「あまり利用したくない」「利用したくない」という回答も4割以上に上った。
ファイル交換ソフトによるコンテンツの不正流通に対してACCSでは、「Winny」のネットワーク上にある著作権侵害ファイルを検索するツールを試験運用中だ。今後は、技術面や法律面の評価を加えて本格的に運用し、「Winny」のネットワーク上で著作権侵害ファイルを保有するユーザーに対して直接注意喚起する方針を示した。
なお、ファイル交換ソフトの未経験者の認知状況では、ファイル交換ソフトを「機能まで知っている」と答えた人は25.2%。「名前は知っているが詳しくは知らない」という54.5%を合わせると8割がファイル交換ソフトの存在を認知していた。ファイル交換ソフトの機能を知っている未経験者では、「Winny」の認知率が97.5%で突出しており、2位は「WinMX」の50.9%だった。
関連情報
■URL
ニュースリリース(日本レコード協会)
http://www.riaj.or.jp/release/2006/pr060725.html
ニュースリリース(コンピュータソフトウェア著作権協会)
http://www2.accsjp.or.jp/topics/release1.html
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( 増田 覚 )
2006/07/25 18:42
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