総務省は13日、「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」の最終報告書をまとめた。
報告書では、IP化の進展に対応した競争ルールの運用原則として、「通信レイヤーにおける公正競争の確保」「垂直統合型ビジネスモデルに対応した公正競争の確保」「競争中立性・技術中立性の確保」「利用者利益の保護」「競争ルールの柔軟性・透明性・整合性の確保」の5点を挙げ、2010年代初頭までに講じるべき施策を提言している。
現在の電話サービスで圧倒的なシェアを持つNTT東西に対しては、他社が同様のサービスを提供できるよう設備の開放を義務付けるといった規制が行なわれている。NTT東西では、従来の電話網からIP技術を用いた次世代ネットワーク(NGN)への移行を表明しているが、NGNは現在のネットワーク設備を置き換えるものであるため、従来と同様に規制の対象になるとして、NGNを用いて他社が同等の条件でサービスを提供できるよう、競争ルールの整備が必要だとした。
また、「ネットワークただ乗り論」などが話題となったネットワークの中立性に関する議論については、競争政策の目的はあくまで利用者利益の最大化を図ることにあるとして、エンドユーザーやコンテンツプロバイダーなどがIP網を利用して自由に接続し、公平に利用できる中立性の確保が必要であるとした。一方、ネットワークのコスト負担の公平性の観点からは、ヘビーユーザーに対する追加的料金徴収の妥当性などについては議論の必要があるとして、関係者による検討の場を設け、2007年夏を目途に第1段の検討を行なうことが望ましいとした。
このほか報告書では、NTT東西の接続料の算定方法の見直しや、移動通信市場における競争促進として携帯端末の販売奨励金やSIMロックといったビジネスモデルに対する検証などが必要であるとして、検討すべき項目や結論を出すべき時期などについての提言を行なっている。
関連情報
■URL
IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会(第10回)
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/ip_ka/060913_2.html
■関連記事
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( 三柳英樹 )
2006/09/14 19:46
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