警察庁は22日、2006年における「サイバー犯罪(情報技術を利用する犯罪)」の状況をとりまとめた。検挙件数は4,425件で、前年の3,161件から40.0%増加。2001年からの5年間では約3.3倍に増えているという。
検挙件数の内訳は、「不正アクセス禁止法違反」が703件(前年比153.8%増)、「コンピュータ・電磁的記録対象犯罪」が129件(同76.7%増)、「ネットワーク利用犯罪」が3,593件(同27.8%増)。
さらに、ネットワーク利用犯罪の内訳を見ると、詐欺が1,597件で44.4%を占める。このほかは、児童買春が463件、児童ポルノが251件、商標法違反が218件、青少年保護育成条例違反が196件、わいせつ物頒布等が192件、著作権法違反が138件、その他が538件となる。なお、詐欺の中でも、インターネットオークションに係わる詐欺が1,327件と83.1%を占めている。また、児童の性的被害に係わる犯罪(児童買春、児童ポルノ、青少年保護育成条例違反、児童福祉法違反)は合計978件で、前年の約1.5倍に増加した。
警察庁では、インターネットによる共犯者の募集や他人名義口座の調達、フィッシングによるIDやパスワードの入手など、犯行の組織化と高度化の傾向を指摘している。
報告書では、主なサイバー犯罪の事例も紹介されている。ネットワーク利用犯罪の事例としては、詐欺や著作権法違反、名誉毀損、特定電子メール送信適正化法違反などの事例に加えて、「牛肉トレーサビリティ法違反」の事例(10月、青森)も報告されている。これは、独立法行政人家畜改良センターが管理する牛個体識別台帳のサーバーに虚偽のデータを入力し、同台帳の電磁的記録を不正に作出したというもの。会社役員の男性(67歳)が検挙された。男性は従業員に対して、死亡処理済みの牛11頭のデータについて、他人に譲渡したことにして入力させていたという。
● ワンクリック請求など悪質商法の相談が大きく減少
2006年中に都道府県警の相談窓口で受理したサイバー犯罪などに関する相談は、6万1,467件で、前年の8万4,173件に比べて27.0%減少した。ワンクリック請求を中心とする詐欺・悪質商法の相談が2万1,020件へと、前年に比べて49.3%減少したことが大きいという。
そのほか、インターネットオークションに関する相談が1万4,905件(前年比14.6%減)、迷惑メールに関する相談が2,930件(同26.3%減)、違法・有害情報に関する相談が4,335件(同18.5%減)、不正アクセス・コンピュータウイルスに関する相談が3,323件(同16.2%減)と軒並み減少している。その一方で、名誉毀損・誹謗中傷などに関する相談が8,037件へと39.0%増加した。
関連情報
■URL
平成18年のサイバー犯罪の検挙及び相談状況について(PDF)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h18/pdf34.pdf
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( 永沢 茂 )
2007/02/23 16:26
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