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「携帯でもナンバー1になる」株主総会でソフトバンク孫社長


 ソフトバンクは22日、第27回定時株主総会を開催した。参加した株主は1,751人。総会ではソフトバンクの孫正義代表取締役社長が、2006年のボーダフォン買収から現在までを振り返ったほか、携帯電話事業の戦略について語った。


携帯でもナンバー1を目指す

ソフトバンクの孫社長(写真は5月8日に行なわれた決算説明会のもの)
 経営近況については、2007年3月期決算で売上高が2兆5,442億円、営業利益が2,710億円、経常利益は1,534億円となり、創業来最大の利益を達成したことを報告。当期純利益は288億円で、前年から287億円減少した。

 事業分野別の売上高は、移動体通信事業が1兆4,420億円、BBインフラが2,642億円、固定通信が3,741億円、インターネット・カルチャーが1,942億円、イーコマースが2,715億円など。移動体通信事業は全体の半分以上を占めている。

 孫社長は、2006年のボーダフォン買収を振り返り、「当初、買収額1兆7,000億円は高い気がしていたが、今思えば安い買い物だった」と述べた。「自前で携帯電話市場に参入したらもっとお金がかかっていただろう。それに、ドコモさんは9兆円、auさんは4兆円の企業価値があると言われており、それを考えると1兆7,000億円は安い買い物」とした。

 ソフトバンクモバイルの最近のトピックとしては、契約者純増数が2007年5月期において、NTTドコモ、auを抜き、1位になったことを挙げた。その理由としては、3G端末の解約者率が1%を切ったこと、また、ボーダフォン買収時に打ち出した「ネットワーク拡大」「端末ラインナップ拡充」「コンテンツ重視」「営業体制の強化」といった4つの施策が成功したことを説明した。

 「ネットワーク拡大は基地局を増やし、半年で3万局を突破した。2007年上期中に4万6,000局を目指す。端末ラインアップは機種と色を充実した。ワンセグ端末は8カ月間も業界1位になっている。コンテンツはYahoo!ケータイを導入した。トップページへのアクセスは年間で61倍になった。営業体制は店舗数を増やした。スーパーボーナス制度や各種料金体系も好評を得ている」(孫社長)。

 今後については孫社長は、「ソフトバンクは創業以来、何でもいいからナンバー1になることを目標にやってきた。携帯電話でもナンバー1になる」とした。「これからの携帯電話はインフラからコンテンツの競争になる」との考えで、「ソフトバンクの強みは、固定通信のインフラとその上のコンテンツ、携帯電話のインフラとその上のコンテンツ、これら4つをあわせ持っていること。オセロのように4隅を取って他社に勝つ」と語った。


大人になったソフトバンクをアピール

 質疑応答では、「基本料が安い上、キャリア同士だと通話料が無料。これで収益は出るのか」という質問に対して孫社長は、「ドコモさんやauさんに比べ契約者数が少ないことで、他のキャリアに電話をかける人が多い。よって、ホワイトプランをしても儲けはある。また、3G対応のコンテンツを増やしたことで、パケットデータの収入が上がった」と話す。

 料金競争については、「これからは料金、コンテンツ、端末、回線品質といった4つをバランス良く提供していくことが重要だと思う。我々は総合力で勝負し、利益も上げていく」と述べた。「他社もそう料金を下げるわけにはいかないし、市場はある程度成熟している。これからは大人の戦いになるだろう。数年前に比べて少しだけ“大人になったソフトバンク”というスタイルでやっていく」とした。

 携帯電話のラインナップについては、「高齢化社会も重要なマーケットだと認識しており、シニア向けの携帯も準備している」としたほか、「若者が熱狂するような携帯を来年あたりに出したい」とも述べ、幅広いユーザー層をターゲットにする意向を示した。このほか、新しいインフラの開拓については、「WiMAXやFTTR(Fiber To The Remote terminal)、その他の光ファイバの技術も研究しており、採算性など、公正な競争ができるまでに精度面が整うよう準備をしているところ」と話した。

 株主からは、「売上が良かったのだから、配当金を増やしてほしい。1株あたり2円50銭は不満」との意見も挙がった。これについて孫社長は、「利益を今後の軍資金にするのか、配当するのかという選択肢がある。今は会社の成長のために使いたい」とした。「ソフトバンクは赤字の時も安定的な配当を行なっていた。アメリカではハイテク業界の急成長の会社ほど無配当を何十年も続けているところもある。株主の皆様には、株価が上がることの楽しみも選択肢に加えてもらいたい」。

 また、海外展開について孫社長は、「まずは国内を固めてから」と話す。「海外に進出する際、またコストをかけて基地局を増やすのはリスクが高い。そうではなく、国内で蓄積した技術やノウハウ、コンテンツを輸出したい。売上は上がらないが利益を上乗せできるような戦略を考えている」と語った。


関連情報

URL
  ソフトバンク
  http://www.softbank.co.jp/

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( 野津 誠 )
2007/06/22 18:33

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