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創作者団体協議会、著作権者情報検索のためのポータルサイト構築を発表

各団体がデータベースを整備し、2009年1月の運用開始を目指す

(左から)JASRACの加藤衛氏、日本文藝家協会の三田誠広氏、日本漫画家協会の松本零士氏、日本美術家連盟の福王寺一彦氏
 日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本文藝家協会など権利者団体17団体からなる「著作権問題を考える創作者団体協議会」は31日、著作物の権利者情報や作品情報を検索するための「創作者団体ポータルサイト」(仮称)の構築に向けて、基本構想をまとめたと発表した。各団体では今後、データベース化と検索システムの構築を進め、2009年1月にポータルサイトの運用開始を目指す。

 著作権問題を考える創作者団体協議会では、著作権保護期間を現在の「著作者の死後50年」から「死後70年」への延長を求めて、2006年9月に要望書を文化庁に提出している。これに対して、保護期間が延長されれば権利処理がさらに困難となるという意見があることから、協議会では権利処理を簡便化するポータルサイトの構築により、こうした問題を解消したいとしている。

 創作者団体ポータルサイトは、各権利者団体が整備するデータベースへの入口となり、著作者名や作品名などから著作物の利用条件や問い合わせ先を検索できるようにする。サイトは一般に公開し、誰でも無料で検索が可能。データベースや検索システムは各団体が構築する形となるが、なるべく統一された形で利用できるようにするとしている。

 ポータルサイトの構築に向けては、2007年中にシステムの具体的検討を行ない、2008年中にシステムを開発、この間に各団体がデータベースを整備し、2009年1月からポータルサイトの運用開始を目指す。ポータルサイトは、創作者団体協議会の幹事会を主体とした「運営会議」が運営し、日本経団連が中心となって構築されたポータルサイト「ジャパン・コンテンツ・ショーケース」などとも連携していく。


 創作者団体協議会の議長を務める作家の三田誠広氏は、「著作者の中には、自分の著作権はフリーにしてほしいという人や、この作品については自由に使ってもらって構わないといった条件を挙げる人もいるだろう。そうした細かい条件についても、利用者に情報として伝わるようなデータベースを作る」と説明。データベースの整備を進めるとともに、著作権者が不明な場合の裁定制度を簡便化することを求めていき、利用者の利便性を確保したいとした。

 また、ポータルサイトの開始時期については、保護期間を延長する法改正が最も早く実現する場合を想定して、2009年1月の運用開始を目指すとした。

 保護期間が延長されなかった場合はどうするのかという質問には、JASRACの加藤衛常務理事が「保護期間が50年のままであったとしても、ポータルサイトは作る。70年への延長問題があるからということではなく、本当はもっと早く作るべきだった」とコメント。データベースには、既に保護期間が終了してパブリックドメインになった作品の情報なども含め、最大限努力して情報を集めて公開していきたいとした。

 また、ポータルサイトは権利者データベースへのリンクだけでなく、不明な著作権者を探すための「尋ね人」のようなコーナーなど、著作物を利用したいと考える人のための総合的なポータルサイトを目指すと説明。各団体のデータベース構築にあたっては、構築支援や作業の共同化ができるような仕組みがあった方がいいという意見は挙がっているが、こうした点については今後協議を進めていくとした。


創作者団体ポータルサイトの役割・機能 創作者団体ポータルサイトのイメージ

ポータルサイトの運用開始に向けた日程の予定 ポータルサイトの運営計画

関連情報

URL
  日本音楽著作権協会(JASRAC)
  http://www.jasrac.or.jp/
  日本文藝家協会
  http://www.bungeika.or.jp/

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( 三柳英樹 )
2007/08/31 21:17

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