米連邦取引委員会(FTC)は20日、米Googleがインターネット広告サービス大手の米DoubleClickを買収する取引を承認したと発表した。
Googleは2007年4月、DoubleClickを31億ドルでプライベートエクイティファームから買収することで合意しており、規制当局の承認を待っているところだ。この買収に対しては、米Microsoftや米通信会社大手のAT&Tをはじめ、プライバシー保護団体なども反対意見を公にしていた。
これに対してFTCは、この買収が競争を阻害する要因にはならないと認定し、無条件で取引を完了させることを認めた。決定の根拠としてFTCは、GoogleとDoubleClickが競合関係ではないことを指摘した。Googleが主にテキスト広告を販売するのに対して、DoubleClickはディスプレイ広告を配信し、それに関連するレポートツールを提供している。このように両社のビジネスは補い合う関係にあり、両社が競争することが必ずしも一般消費者の利益にはならないと認定した。
それだけでなく、広告配信ビジネスが激烈な競争にあることも認めた。例えば、MicrosoftはaQuantiveを60億ドルで買収し、さらにAdECNを買収した。Yahoo!はRight Mediaを、AOLはADTECH AGとTACODAを、WPP Groupは24/7 Real Mediaをそれぞれ買収しており、これだけでもこの業界に激烈な競争があることがわかる。
仮にGoogleがDoubleClickの地位を利用して、Google AdSense広告に有利になる行動をとるとするならば、それはこの市場における競争を阻害する要因となる。例えば、両社のサービスをバンドル販売するなどの行為に及んだ場合だが、しかしこのような戦略は、合併した企業が市場で力を持って初めて反競争的であるということができるとFTCは指摘した。
さらにプライバシー保護団体からも、この買収に反対する意見が出されていたが、プライバシーに関連する問題は企業同士の合併を審査する対象とはならないという考えをFTCは示した。
最終的にFTCは、5人の委員による投票を行ない、4対1で買収が承認された。この投票時に、委員の1人であるPamela Jones Harbour氏は反対に投票した。その理由として、「私が反対するのは、この市場が向かっている方向と、もしこの提案されている買収が承認された場合にGoogleとDoubleClickが果たす、業界構造を一変させる役割に関して、異なる予測をしているからだ」とする反対意見書を提出した。また、別の委員Jon Leibowitz氏は、買収を承認する投票を行なったが、結論に至る理由が異なるとして補足意見書を提出している。
FTCの承認に先立ち、Googleは既にオーストラリアとブラジルの規制当局からの承認を受けている。しかしこのことで、買収手続きが完了するわけではない。Googleは今後、欧州委員会による承認を得る必要があり、この承認が完了すればDoubleClickの買収を完了したい考えだ。
関連情報
■URL
米連邦取引委員会のニュースリリース(英文)
http://ftc.gov/opa/2007/12/googledc.shtm
米Googleのニュースリリース(英文)
http://www.google.com/press/pressrel/20071220_doubleclick.html
米Google最高法務責任者によるGoogle公式ブログの該当記事(英文)
http://googleblog.blogspot.com/2007/12/analysis-ftc-clears-our-acquisition-of.html
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・ GoogleがDoubleClickを31億ドルで買収(2007/04/16)
・ GoogleのDoubleClick買収は「広告の支配をもたらす」MSが声明発表(2007/04/16)
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2007/12/21 11:43
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