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EU、無線周波数の管理のあり方に大きな改革が必要との認識


 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、携帯端末などの無線通信によるインターネット網の発展のため、無線周波数の管理には大きな改革が必要との認識を有していることを明らかにした。欧州委員会の情報技術担当委員であるViviane Reding氏が2月27日、スウェーデンで開催された周波数管理に関する会議で言及した。

 挨拶の冒頭、スウェーデンの携帯通信事情について紹介。全人口の5%弱にあたる40万人がモバイルでインターネットにメガビット級の通信速度でアクセスしており、その料金が他のEU諸国のADSL並みの料金とされている。スウェーデンは欧州でもインターネット先進国と言われており、EU全体の将来像について目標となるモデルであると言える。

 Reding氏は、無線部門の経済における重要性が増しているとの認識を示した。世界の通信市場は世界生産の3%にあたる1兆ユーロの市場規模を有しており、その中で無線サービス市場は2010年には55%に達していると予測されている。また、ブロードバンドの5倍の年間10%で成長しているとされている。欧州では携帯端末でのメールはまだビジネス用途が中心であり、メールの2%を占めるにとどまっているというが、これが2010年までに3億5,000万アドレスに増大し、20%を占めるまでに急増すると予測されている。

 そんな中、無線周波数の割り当て・管理は、旧来の無線通信の感覚で行なわれているため、今後、携帯端末などの普及・促進を考慮すると、現在のやり方では立ちゆかなくなると指摘する。地域別や技術分野別などの硬直した縦割り行政による管理体制を抜本的に改革することによって、周波数ライセンスの取り引きなども可能にするなど、自由化を大幅に促進するべきだという。

 さらに「Wireless Europe」というプロジェクトを立ち上げ、今後は全体として管理を柔軟なものとし、自由化を促進する施策をとる計画であることを明らかにした。ただし、これらには各国の当局の協力が不可欠であることから、出席していた加盟各国政府に対して協力をするよう要請する一幕も見られた。


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URL
  ニュースリリース(英文)
  http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=SPEECH/08/117&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en

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( Gana Hiyoshi )
2008/03/03 16:02

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