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参加13団体と総務省の代表者らが発足式で登壇した
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IPv4アドレスの枯渇時期の予測
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インターネット/通信関連13団体と総務省は5日、「IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース」を正式に発足した。新規割り当て用のIPv4アドレスの在庫があと2年半で枯渇するとの予測を受け、広い業界に早急な対応を呼び掛ける。
タスクフォースに参加するのは、IPv6普及・高度化推進協議会、インターネット協会、次世代IX研究会、情報通信ネットワーク産業協会、テレコムサービス協会、電気通信事業者協会、電気通信端末機器審査協会、日本インターネットプロバイダー協会、日本ケーブルテレビ連盟、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)、日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ、日本UNIXユーザ会、WIDEプロジェクト。
JPNICによると、約43億個あるIPv4アドレスのうち、未分配のアドレス空間(在庫)は、/8単位で39ブロック(1ブロックはアドレスが約1677万個)。しかし、現在の需要ペースでいくと、これが2010年~2011年までにすべて分配されてしまうことが予測されている。すでに分配済みのアドレスの未使用空間を返却してもらう対応方法も進められているが、この“中古IPv4アドレス”によりまかなえる量も需要ペースにはほど遠く、また、分配済みのアドレス空間を移転できる制度も検討されているものの、実現の可能性は不透明だという。
そうなると、2010年~2011年以降は、新規に設置するサーバーや新規ユーザーに割り当てるIPv4アドレスを確保できなくなる。代わりにIPv6アドレスを割り当てることが考えられるが、従来のIPv4アドレスも使われなくなってしまうわけではなく、継続して利用されるという状況になる。
● 「IPv6の普及が目的ではない」が、最も適切な対応はIPv6への移行
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IPv6普及・高度化推進協議会の専務理事や次世代IX研究会の代表などを務める江崎浩氏(東京大学大学院情報理工学系研究科教授)
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IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースの活動分野と内容
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5日に行われた発足式において、IPv6普及・高度化推進協議会の専務理事や次世代IX研究会の代表などを務める江崎浩氏(東京大学大学院情報理工学系研究科教授)は、「IPv4アドレス枯渇による不安や負担を最少にするのがタスクフォースの最大のミッション」だとして、「IPv6の導入・普及が目的ではない」と説明。特に一般のユーザーや、インターネットでビジネスを展開する企業などに不便や負担をかけることがないよう、関連団体で対応を進めていくという。
とはいえ、「最終ゴールとして現在使えるものは、IPv6にならざるをえない」(江崎氏)。IPv4とIPv6が併存することを認識した上で、エンドユーザーに迷惑をかけないように移行プランをデザインしていくスタンスだとした。
IPv6普及・高度化推進協議会の常務理事を務める荒野高志氏(インテック・ネットコア代表取締役社長)は、IPv4アドレス枯渇に対応する最も適切な方法がIPv6への移行を推進することだとした。特にISPにおいて対応しないのはリスクだとし、そのコスト負担はリスク管理のためのコストととらえ、IPv6アドレスの対応が必須だとした。
また、グローバルIPv4アドレスが割り当てられなくなって最も困るのはサーバー事業者だとして、「枯渇をうまく乗り切るかどうかでデータセンタービジネスや国際競争力に大きな差が出てくる」(荒野氏)と指摘。この問題の認識が薄いというデータセンター事業者に対して、正しく理解し、知識を蓄積していく必要あると訴えた。
タスクフォースでは、ISP、ASP、CSP、データセンター、宅内用機器を含むベンダー、システムインテグレーターなど、参加団体の各分野における技術面・経営面での課題検討のほか、テストベッドの準備、人材育成、広報・啓発活動などを推進する。
さらに、インターネットが社会のインフラとなっている現状では、13団体だけでは不十分だとして、他の団体にも広く参加も呼び掛け、対応を進めていきたいという。江崎氏は、企業においてIPv4アドレス枯渇への対策をとるかどうかが、ビジネスを継続できるかということにつながるとし、「企業のリスク管理としてとらえていただきたい。対策しない企業はビジネスに傷手を受けざるを得ない」とも指摘した。
関連情報
■URL
IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース
http://www.v6pc.jp/v4exh/index.phtml
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( 永沢 茂 )
2008/09/05 17:38
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