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宣伝効果はCM46億円相当、オバマ大統領のYouTube政治戦略とは


 グーグルは26日、報道陣向けの定例会見を開き、日本およびアジア太平洋地域で「YouTube」シニアプロダクトマネージャーを務める徳生裕人氏が、米国バラク・オバマ大統領によるYouTubeの活用事例を紹介。公式チャンネル、HD画質、字幕、ダウンロードなど、YouTubeをフル活用したオバマ陣営を評して徳生氏は、「ここまで戦略的にYouTubeを活用した政治チームはない」と絶賛した。


大統領キャンペーン「YouTube効果」はテレビCMで46億円相当

日本およびアジア太平洋地域で「YouTube」シニアプロダクトマネージャーを務めるグーグルの徳生裕人氏

オバマ大統領によるYouTubeの活用例
 今回の大統領選挙キャンペーンでオバマ陣営は、YouTubeに公式チャンネルを開設。キャンペーン中には約1800本の動画をアップロードし、動画の合計再生回数は1億回以上に達したという。「(YouTubeの宣伝効果は)米国のテレビ広告費に換算すると46億円相当。米国では約110人の政治家が公式チャンネルを開設し、合計2億回ほど動画が再生されたが、オバマ大統領の動画だけで全体の半分を占めている」。

 徳生氏は、オバマ大統領が「質より量」を意識してYouTubeを活用していたと分析する。「専用カメラによるテレビクオリティの動画も撮影していたが、Webカメラで事務所の雰囲気を伝えるなど、いかに頻繁に自身のメッセージを送るかを重視していた」。なお、オバマ陣営はキャンペーン最終の10月末の3日間だけで、合計52本の動画をアップロードしていたという。

 徳生氏によれば、オバマ氏の動画作成をサポートしていたのは、撮影班2人に加え、ボランティアを含めると30人以上。また、支持者による動画のアップロードも数多く見られたことも特徴としている。「アーティストが『Yes, We Can』をリスペクトして歌う動画や、オバマ氏をボリウッド映画風にマッシュした動画などが、オバマ氏の動画に対応するかたちで次々と出てきた」。

 しかし、オバマ氏の支持者による動画が増えるにつれ、「アップロード合戦」が勃発。反オバマ陣営が、オバマ氏のインタビューでの失言部分のみを編集した映像をアップロードし、オバマ氏をおとしめようと画策したのだ。これに対して支持者は、失言があったインタビューの全編をアップロード。失言の真意が伝わるようにするなどして、オバマ氏を擁護する動きを見せたという。


ここまで戦略的にYouTubeを使った政治チームはない

オバマ大統領の動画はHD画質に対応しているほか、多言語字幕機能もサポートしている
 「量以外の戦略もすばらしかった」と語る徳生氏は、オバマ氏がYouTubeとテレビの相乗効果を図った事例を紹介した。それによると、オバマ氏は自身の30分間のインフォマーシャルがテレビ放映される3時間前に、同様の映像をYouTubeにアップロード。YouTubeの自動告知機能を通じてインフォマーシャルの存在を知って動画を見た有権者が、テレビでも視聴する相乗効果があったという。「これまでのYouTubeの政治活用例で、ここまで戦略的にYouTubeを使った政治チームはないだろう」。

 オバマ氏のYouTube活用法としてはさらに、多言語字幕に対応していることも特徴だという。オバマ大統領は現在、YouTubeに開設した「ホワイトハウスチャンネル」を通じて動画を公開しているが、これらの動画には英語の字幕が付けられている。しかも、公開から2~3日でスペイン語の字幕も付与されるなど、「米国民すべてにリーチできるようになっている」。

 また、オバマ大統領の動画は、HD画質に対応しているだけでなく、ダウンロード機能もサポートするなど、「非常に進んだ機能を使っていただいている」(徳生氏)。現在、YouTubeでダウンロード可能なのはオバマ大統領の動画のみとなっているが、徳生氏によれば、ダウンロード機能の提供はGoogle側から提案、オバマ大統領は「国民の税金で動画を作っている」という理由から、動画のダウンロード提供を快諾したという。


関連情報

URL
  ホワイトハウスチャンネル
  http://www.youtube.com/whitehouse

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( 増田 覚 )
2009/01/26 17:57

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