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BSA日本担当事務局長の松尾早苗氏
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BSAの2009年活動基本方針
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ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)は29日、2009年の活動基本方針を発表した。BSAでは、景気後退による企業の業績悪化に伴い、企業によるソフトウェアの不正使用が広がる恐れがあると指摘。BSAが運営する組織内違法コピーの情報提供窓口の認知を高めることで、被害を最小限にとどめたいとしている。
BSAでは、「政策提言」「教育・啓発」「権利保護支援」の3分野における基本方針を発表。政策提言では「日本のイノベーションへの貢献」、教育・啓発では「自治体や大学などにおけるソフトウェア資産管理(SAM)の普及強化」、権利保護支援では「組織内違法コピーに関する情報提供窓口の認知拡大および悪質なネット販売の取締り強化」を掲げている。
政策提言についてBSAでは、SaaSをはじめとするIT技術による新たなビジネスモデルにおいても、知的財産を保護するために法的論点を迅速に議論する必要があると指摘。また、米国のオバマ新政権発足や中国の法整備・法改正など、イノベーションをめぐる世界の情勢が大きく変化しているとしていることから、方針を「競争力の源泉であるITの価値を共有し日本のイノベーションに貢献する政策提言を強化する」と定めたという。
教育・啓発に関しては、2007年にBSAへ寄せられた組織内違法コピーの情報提供数は過去最多の544件だったが、このうち中央省庁、地方自治体、およびそれらの外郭団体や独立行政法人、国立大学法人、地方独立行政法人、学校法人などの「パブリックセクター」に関する通報が32件と3番目に高かったと説明。こうしたことから、パブリックセクターにおけるSAM普及を強化する必要があるとしている。
権利保護支援については、組織内におけるソフトウェアの違法コピーによる権利侵害の被害を最小限にとどめるため、組織内違法コピーの情報提供窓口とその安全性の認知拡大を積極化すると説明。活動の一環として29日、情報提供を呼びかけるためのサイト「違法告発.com」を開設した。また、ネットオークションや不正サイトによる違法販売の対策強化も急務として、オークションサイトのパトロール活動などの取締りを強化する考えだ。
組織内違法コピーの動向についてBSA日本担当事務局長の松尾早苗氏は、「昨今の景気後退の影響で、企業によるソフトウェアの不正使用が広がる恐れがある」と懸念を表明。BSAでは、今後も組織内違法コピーに関する情報提供を求め、違法コピーに対するBSA参加企業の権利行使を支援していきたいとした。
BSAが2008年5月に発表した調査によれば、日本における2007年の違法コピー率は23%(前年比2ポイント減)で、調査対象108カ国のうち4番目に低かった。その一方、違法コピーによる損害額は約2112億円(前年は約2140億円)で世界ワーストの8位だった。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.bsa.or.jp/press/release/2009/0129_01.html
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( 増田 覚 )
2009/01/29 15:39
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