中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」
ニュースキュレーション[2020/10/8~10/15]
村井純氏が内閣官房参与に就任、デジタル政策分野を担当 ほか
2020年10月16日 15:25
1. 日本銀行が「中央銀行デジタル通貨に関する取り組み方針」を公表
日本銀行が「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」と題した文書を公開した(日本銀行)。
「中央銀行デジタル通貨」とは、中央銀行が発行するデジタル通貨のことで、現時点ではまだ具体的な発行計画はないものの、世界的な動向を踏まえて、調査・研究・実験などの準備が必要としている。まず、フェーズ1として、2021年度の早い時期にはシステム的な実験環境を構築して、中央銀行デジタル通貨の基本機能(発行、流通、還収)についての検証を行うとしている。その後、フェーズ2で付加機能の実装や実現可能船の検証、その後、パイロット実験を行う計画だ。
日銀では、「中央銀行デジタル通貨」にはユニバーサルアクセス、セキュリティ、強靭性、即時決済性、相互運用性などの特性を備える必要があるとし、デジタル社会にふさわしい決済システムの構築につながる可能性があるとしている。
ニュースソース
- 中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針[日本銀行]
2. 村井純氏が内閣官房参与に就任、デジタル政策分野を担当
国も都も、デジタル化に対する取り組みはこれまでにないようなスピード感で動いているようだ。
まず、「インターネットの父」とも称される慶應義塾大学の村井純教授が内閣官房参与に就任した。菅政権下におけるデジタル政策分野での助言を行う(ITmedia)。
また、行政のデジタル化など意見を募るウェブページ「デジタル改革アイデアボックス」がオープンした(ITmedia)。記事によれば「10月9日午後5時にオープンし、12日午前10時半までに1200人以上が登録し、900以上のアイデアと1300以上のコメントが寄せられた」としている。今後、さらに活況になることが見込まれる。
そして、東京都の小池知事はオンラインで開催された「日経クロステック EXPO 2020」で講演し、「都民の生活から働き方、行政サービスまでをデジタル技術を駆使して改革するビジョンを示すとともに、進行中の具体的なプロジェクトを紹介」したと伝えられている(日経XTECH)。
3. アルファベット社の新プロジェクト「Mineral」、農業の改革により生産性の高い食料生成システムの構築を目指す
米国アルファベット社は農業のデジタルトランスフォーメーションを進めている。全人類にとって基本的な食料の課題をいかにして解決しようとしているのだろうか。多くの人にとって興味深いテーマではないか。
グーグル社の親会社であるアルファベット社は、新プロジェクト「Mineral(ミネラル)」を発表した。このプロジェクトの目標は、「農業を改革し、生産性の高い食料生成システムを構築すること」(ITmedia)だという。この記事中ではカメラやセンサーを搭載し自律的に走行しながら、畑の農作物を観察し、データを収集するロボット「プラントバギー(Plant buggy)」を紹介している。収集したデータは衛星画像、気象データ、土壌情報などの他のデータセットを組み合わせることで、効率的な農作物の生産パターンを求めるという。
ニュースソース
- Alphabetの次のムーンショットは“農業” 畑ロボットでデータ収集中[ITmedia]
4. 5Gとブロックチェーンに関する経済指標
5Gとブロックチェーンという2つの注目技術に関して、その経済効果に関する予測が各社から発表されている。経済規模が具体的にイメージされ始めたということは、新技術の実装が進んだり、製品が発売されたりし始めたことにより、その利用イメージも明らかになりつつあるということか。
5Gについてはノキアとノキアベル研究所が「5G Business Readiness」というレポートを発表している(ZDnet Japan)。これによると、5G関連産業は2030年までに世界経済に8兆ドルの価値をもたらすと予測している。日本企業の5Gへの投資は韓国、米国に次ぐ水準で、「日本企業のほぼ半数(49%)が、新型コロナウイルス感染症の大流行の影響でデジタル化を加速しており、41%の企業が、5Gでの労働生産性の向上に対して最も望ましい影響を及ぼすと回答している」と記されていて、新型コロナの影響下において企業活動を続ける上でも5Gが重要な投資項目であるということを示している。
そして、ブロックチェーンの経済波及効果についてはプライスウォーターハウスクーパース(PwC)が発表をしている(coindesk)。これによると「ブロックチェーン技術が世界中で広く採用された場合、2030年までに世界のGDP(国内総生産)に1.76兆ドル(約186兆円)の経済効果をもたらす」との予測をしている。とりわけ、大きな経済価値を生み出す可能性がある分野として、製品のトラッキングやトレーシング(9620億ドル)、金融サービスや決済(4330億ドル)、IDセキュリティや認証(2240億ドル)、契約や紛争解決(730億ドル)、顧客エンゲージメントとロイヤルティプログラム(540億ドル)を挙げ、さらに行政、教育、医療分野では「ブロックチェーンがIDと認証にもたらす効率性を活用する」と指摘をしている。
ニュースソース
- 5Gの経済波及効果は2030年までに8兆ドル--ノキア最新調査[ZDnet Japan]
- ブロックチェーンの経済効果、2030年までに190兆円:PwCが予測[coindesk]
5. アップルが「iPhone 12」発表――記事を総まとめ
アップル社がiPhone 12の発表を行った。注目点は大容量・低遅延をうたう5Gへの対応だが、いますぐにはそのメリットは享受できそうにない。
端末の仕様としては、「米国版ではミリ波に対応する一方、日本版は非対応となり、Sub6(6GHz帯以下の周波数)のみサポートする形となっている」(ケータイWatch)としている。なお、対応キャリアとしてはNTTドコモ、au、ソフトバンクの大手3キャリアの名前があるが、楽天モバイルは含まれていない。
また、現在のところ、各社の5Gに対応するエリア展開は十分ではないようだ。「国内キャリアの5Gネットワークは、モバイル通信として満足に使えるほどのエリア展開に達していない」(ITmedia)と指摘する記事がある。この記事によれば、「NTTドコモは21年3月までに、全国500都市に5Gエリアを展開」「KDDIは21年3月末に全国で約1万の5G基地局を展開」「ソフトバンクも同様に21年3月末時点で1万局」という目標を掲げている一方、KDDIとソフトバンクは4G(LTE)向けの周波数帯域を5Gでも同時に利用する技術を利用するとしていて、5G本来の高速通信が実現できるかどうかという課題も指摘している。
このように考えると、当面は通信速度よりも、端末そもものの高性能化が訴求ポイントとなろう。
ニュースソース
- 「iPhone 12」シリーズ、付属ケーブルはLightning~USB-Cに[ケータイWatch]
- 「iPhone 12」シリーズはドコモ、au、ソフトバンクに対応、5GはSub6対応[ケータイWatch]
- 「iPhone 12」の画面を守る新素材「Ceramic Shield」--落下耐性は4倍に[CNET Japan]
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- アップル、「iPhone 12 Pro Max」を11月13日発売[ケータイWatch]
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- アップル、5.4インチの5G対応「iPhone 12 mini」[ケータイWatch]
- アップル、5G対応の「iPhone 12」発表[ケータイWatch]
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