中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2020/10/1~10/8]

活発化する「行政デジタル化」に向けた動き ほか

eHrach/Shutterstock.com

1.「CEATEC 2020 ONLINE」の参加登録開始

 既報の通り、今年のCEATECは10月20日から23日まで全てのプログラムはオンラインで開催される。いよいよその参加登録も始まった(INTERNET Watch)。今年のスローガンは「CEATEC-Toward Society 5.0 with the New Normal(ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC)」で、オンライン上に「ニューノーマルエリア」「企業エリア」「Co-Creation PARK」の3つの展示エリアが設けられ、それに加えて「コンファレンスエリア」と「公式イベントエリア」という5つのエリアで構成される。なお、会期終了後も12月31日まで、オンデマンドでも視聴が可能だ。

 基調講演にはソニーの石塚副会長、慶應義塾大学の名誉教授である村井純氏、NECの遠藤信博会長が登壇し、それぞれの観点からニューノーマル社会に向けた提言などが行われるという。さらに、ビデオ会議システムで注目を浴びるZoom Video Communicationsのエリック・ヤンCEOら、「ニューノーマル社会の旬な企業のトップ」の方々が多数登壇する予定になっている。

 また、竹中工務店の佐々木正人社長、清水建設の井上和幸社長、戸田建設の今井雅則社長という大手ゼネコン各社のトップによる講演、山梨県知事らによる「地域DX」のセッション、5Gやスマートホームなどのセッション、省庁連携のセッションなどもある。

 オンラインということから日本全国で参加が可能になることから、多くの参加があることも期待される。

ニュースソース

  • 初のオンライン開催「CEATEC 2020 ONLINE」の内容発表、来場者登録を開始 基調講演では村井 純氏も登壇、ZoomのCEOとトレジャーデータ創業者の対談、建築各社、山梨県知事の講演も[INTERNET Watch

2. 活発化する「行政デジタル化」に向けた動き

 菅内閣の看板政策の1つである行政のデジタル化について、さまざまな動きが報じられている。

 平井卓也デジタル改革担当大臣は義務教育で使用する教科書を原則デジタル化するよう、萩生田光一文科大臣に提案したことと報じられている(ITmedia)。萩生田大臣は「(実現に向け)前向きに検討したい」と応じたとし、さらに萩生田大臣からは、「生徒の学習データや学校での健康診断のデータを各生徒が個人で活用する条例改正に向けた提言」があったとされている。

 また、平井担当大臣は「マイナンバーカードのセキュリティを向上させるため、カードを使って電子申請などを行う際に複数の要素で本人確認する『多要素認証』の仕組みを導入することを検討している」ことが報じられている(SaneiBiz)。現在の暗証番号に加え、顔認証などの生体認証を追加することが想定されているようだ。

 民間からの動きも活発だ。「日本の経理をもっと自由に」プロジェクト(賛同企業100社)が経済産業省に対し「IT導入補助金拡充と経理部門の働き方改善を実現する産官学連携の促進に関する嘆願書」を提出した(INTERNET Watch)。主旨としては「IT導入補助金の拡充」と「経理部門におけるDX推進の為の産官学連携」である。コロナ禍で露呈した経理部門のデジタル化遅れを解消するための政策を求めている。

 それに加え、日本ブロックチェーン協会(JBA)とFintech協会は平井担当大臣と面談し、ブロックチェーンの重要性、フィンテックの重要性について訴えた(ITmedia)。

ニュースソース

  • 「教科書は原則デジタル化を」平井デジタル担当相、文科相に提言 課題は[ITmedia
  • 「経理の書類の電子化」に補助金と産官学の連携を! 100社が共同で経産省に嘆願書を提出[INTERNET Watch
  • マイナンバーカードのセキュリティ向上へ 生体認証追加し多要素化検討[SaneiBiz
  • 業界団体が続々と平井デジタル担当大臣詣で――Fintech、ブロックチェーンも[ITmedia

3. GAFAは市場支配力を濫用――米下院司法委員会が調査報告書を公表

 米国では市場で強大な影響力を持つGAFAに対する厳しい目が向けられつつある。

 まず、GAFAに対する米下院司法委員会の反トラスト小委員会は、フェイスブック、アマゾン、グーグル、アップルに対して行ってきた各社の商慣習などに関する調査結果をまとめた報告書を公表した(CNET Japan)。この調査報告書はこれまでも報じられてきたフェイスブックのザッカーバーグ氏、アマゾンのベゾス氏、アップルのクック氏、アルファベットのピチャイ氏らの経営トップに対する公聴会などを踏まえたもの。報告書の結論として、4社が「支配力を濫用」しているとして批判をしている。

 また、これとは別に米上院の通商科学運輸委員会でもフェイスブックのザッカーバーグ氏、ツイッターのドーシー氏、グーグルのピチャイ氏らを召喚し、オンラインでの発言を保護する最も重要な条項である通信品位法(CDA)230条の改定に関して聴聞するとしている(CNET Japan)。

 こういった一連の動きは日本での政策に少なからず影響を与えることになると思われ、今後の動きには注目だ。

ニュースソース

  • 「GAFAは市場支配力を濫用」、米下院司法委員会が調査報告書を公開[CNET Japan
  • Facebook、Twitter、グーグルの各CEO、10月28日に議会で証言へ[CNET Japan

4. ビデオ通話で手話を認識――グーグルの研究者ら

 一般的なビデオ会議システムでは、3人以上の参加者がいた場合、話者にハイライトする機能がある。これを実現するのに音声をトリガーとしていることは明らかだ。しかし、手話のような音声を伴わない会話の場合、話者の画面に切り替えたり、ハイライトしたりすることは技術的にそう簡単ではない。そこでグーグルの研究者らは動画内での手話を検知するシステムを開発したと報じられている(TechCrunch日本版)。とりわけ話者の画面の拡大表示が求められる会話手段であることから、こうした機能の実装は必須といえるのではないだろうか。

 記事によれば、手話を通訳するような技術ではないようだが、今後の課題は手話の通訳システム、しかも多国語対応ということか。

ニュースソース

  • グーグルの研究者がビデオ通話で手話を認識して画面を切り替える技術を披露[TechCrunch日本版

5. さよならiモード公式サイト

 NTTドコモがiモード公式サイトを2021年11月30日に提供を終了すると発表した。なお、すでに2026年3月31日にiモードサービスを終了することを発表している。

 iモード公式サイトは1999年2月にサービスを開始し、インターネットバンキングや動画、着メロ、デコメ絵文字、ゲームなどのコンテンツへのアクセスを提供してきた。いわば、いまのモバイルサービスの原型ともいうべきもの。このサービスからはさまざまなライフスタイル、ビジネス、そしてデジタル経済も生み出されてきた。

ニュースソース

中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。