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初のオンライン開催「CEATEC 2020 ONLINE」の内容発表、来場者登録を開始
基調講演では村井 純氏も登壇、ZoomのCEOとトレジャーデータ創業者の対談、建築各社、山梨県知事の講演も
2020年10月1日 14:10
CEATEC実施協議会は、10月20日~23日にオンラインで開催する「CEATEC 2020 ONLINE」の内容を発表した。また、10月1日正午から公式ウェブサイトをオープンし、来場者の登録を開始した。
初めてのオンライン開催となる今年のCEATECでは、「CEATEC-Toward Society 5.0 with the New Normal(ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC)」をスローガンに、オンライン上に、「ニューノーマルエリア」、「企業エリア」、「Co-Creation PARK」の3つの展示エリアと、「コンファレンスエリア」、「公式イベントエリア」を加えた5つのエリアで構成。これらの内容は、会期終了後も、12月31日まで、オンデマンド配信を行う予定だ。
会期中の来場者数目標は20万人超としており、リアルで開催された昨年の14万4491人の約1.4倍となる。CEATEC実施協議会 エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は、「過去最高が2007年の20万5859人。単純に比較できるものではないが、オンラインの特性を生かし、CEATEC史上最多の来場者数を目指したい」と意気込んだ。
また、現時点で、ニューノーマルテーマエリア、企業エリア、Co-Creation PARKの3つの展示エリア合計で、300以上の企業および団体の出展が決定しているという。昨年は39%だった新規出展者の比率は、今年は45%に拡大しているという。
「オンライン開催だからこそ、新規に出展するというケースが、ソフトウェアやソリューションの企業を中心にみられている。最終的には、昨年のリアル展示への申込数(共同出展を除く)とほぼ同程度になると見込んでいる。リアルからオンラインに変わっても、改めて、完全オンライン開催の実現に向けて確信を得ることができた」とする一方で、「今年は出展を見送った企業もたくさんある。主催者としては大変残念だが、新型コロナウイルス感染症によるビジネス上の影響は、やはり無視することができない。今年は、意欲的な出展者とともに、オンライン開催を実現したい」とした。
テーマや内容に分けてエリアを展開
ニューノーマルテーマエリアは、with/afterコロナ時代の新たな社会や暮らしとなるニューノーマルをキーワードに、持続的で、豊かな暮らしを実現するためのソリューションやテクノロジー、サービスを紹介するエリアとなる。
「ニューノーマルソリューションズ」、「ニューノーマル社会を支える要素技術・デバイス」、「デジタルまちづくり」の3つのカテゴリーで構成。各テーマのなかで複数の企業が出展し、共通のテーマのもとで、多くの課題解決型の提案が行われるとともに、それらのテーマと連携したコンファレンスが計画されている。
企業エリアは、出展する企業の展示サイトにアクセスできるエリアだ。鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「今回のオンライン開催のために、魅力的な動画コンテンツを用意している企業などがある。また、『オンラインだからこそ』と気合いを入れて準備をしている企業が多い。個人的にも、サイト全体のオープンをいまから楽しみにしている」とする。
出展内容の規模に合わせて、「プレミアムプラン」 、「スタンダードプラン」、「ベーシックプラン」を用意。リアルの会場での開催では、フロアスペースの大きさに違いがあるように、プランごとに、サイトに表示される企業ロゴやアイコンに違いがあり、これをクリックすることで、各企業の展示サイトにアクセスできる。なお、キーワード検索も用意しており、企業名やテーマなどから、企業の展示サイトに直接アクセスできる。
Co-Creation PARKエリアでは、国内外の100を超えるスタートアップ企業や大学、研究機関が出展を予定。JETROの協力により、海外スタートアップ企業も45社以上が参加する予定だという。
5つのチャンネルで展開するコンファレンス
一方、コンファレンスでは、5つのコンファレンスチャンネルを用意。出展企業によるセミナーも含めて、70を超えるセッションが行われる予定だ。
鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「新聞の番組欄のように、コンファレンス全体をみることができ、そこから基調講演やセッションに参加できる。コンファレンス会場の人数には制限がないため、何人でも同時に参加できる。会期後も、オンデマンド配信を行い、いつでも好きな時間に見ることができる」としている。
チャンネル1では、会期初日となる10月20日午前中に、オープニングセレモニーを実施。主催者代表として、CEATEC実施協議会の石塚茂樹会長(ソニー副会長)の挨拶のほか、経団連の山西健一郎副会長(三菱電機特別顧問)が挨拶。さらに、ソニーの石塚副会長、慶應義塾大学の名誉教授である村井純氏、NECの遠藤信博会長が、それぞれ基調講演に登壇。ニューノーマル社会に向けた提案などを行う予定だ。
また、初日午後には、Zoom Video Communicationsのエリック・ヤンCEOと、Treasure Dataの共同創業者である芳川裕誠氏による対談のほか、ZVC Japanの佐賀文宣カントリーゼネラルマネージャー、WeWork Japanの髙橋正巳CSO、ブイキューブの間下直晃社長兼CEOによるパネルディスカッションが行われる予定であり、「ニューノーマル社会の旬な企業のトップに集まってもらうことになる」とした。
さらに、会期2日目には、竹中工務店の佐々木正人社長、清水建設の井上和幸社長、戸田建設の今井雅則社長による講演も予定されている。「ユニークな講演になるものと期待している」としている。
そのほか、山梨県知事などが登壇し、「地域DX」をテーマとしたセッションを実施。5Gやスマートホームなどのセッション、省庁連携のセッションなどの各種プログラムも用意しているという。
新たな試みとして、日本経済新聞社が主催する「アイサム&トランザム(AI/SUM & TRAN/SUM)」とも連携。人工知能の活用や、交通および移動手段とITとの融合をテーマにしたプログラムも用意しているという。
なお、チャンネル5では、スタートアップ企業によるピッチイベントも計画されている。
また、コンファレンスは、日本語だけでなく、英語でも発信する。基調講演などの一部チャンネルにおいては、情報通信研究機構(NICT)の協力により、AIによる自動翻訳字幕を導入するとともに、同時通訳で英語でも聴講できるようにする。さらに、各企業のブースでも、英語による情報発信を予定しているという。
「今年のCEATECでは、『Anytime & Anywhere』をコンセプトのひとつに掲げており、それを具現化する取り組みのひとつになる」としている。
CEATEC 2020 ONLINEのアクセス方法
CEATEC 2020 ONLINEのアクセスは、公式ウェブサイトから入場登録完了後にログインが可能になる。
ログイン後、CEATEC 2020 ONLINEを構成する3つの展示エリアとコンファレンスエリア、公式イベントエリアへの入口が表示される。これがエントランスエリアとなる。ここで、目的のエリアをクリックして、展示をみることができるほか、その時に行われているコンファレンスやイベントも表示されており、来場者は、それぞれをクリックしてアクセスすればいい。多くの来場者を想定していることから、ユーザーインターフェースに工夫を凝らしており、直感的な操作で利用できるようになっているのが特徴だ。
また、展示エリアでは、チャット機能を使用して、出展企業と対話をすることもできる。「従来の幕張メッセでの開催とは異なり、いつでも、どこからでも参加できる新たな取り組みになる」としている。
一方、会期中には、今年10回目を迎える「CEATEC AWARD」も開催する。今回は、総務大臣賞、経産大臣賞に加えて、ニューノーマル関連の部門賞を新設することを明らかにした。「現在、審査委員会による選考の最中である。ニューノーマル関連の部門賞は、開催スローガンに基づいて新設したものであり、ニューノーマル社会の申し子となるような製品やソリューションに期待したい」と述べた。
CEATEC AWARDの受賞企業は、会期前日となる10月19日に開催される記者会見で発表されることになる。
オンラインならではの取り組み
鹿野エグゼクティブプロデューサーは、今回の会見のなかで、準備に向けた取り組みや、新たな「CEATEC体験」を実現するツールについても言及した。
「6月30日にオンラインでの開催を発表してからの3か月間は、まさに試行錯誤の連続だった。準備期間が短いなかで、オンライン開催を実現するためのプラットフォームを、CEATECのオリジナル版として準備を進め、同時に出展者の誘致や、コンファレンスの企画などを進めてきた」とし、「初めてのオンライン開催ということで、出展者からも多数の意見をもらい、プラットフォームの修正を何度となく繰り返し、やっと内容を発表することができた。開催まであと20日間であり、緊張感が高まっている」などと述べた。
その上で、「今年のCEATECは、『完全なオンライン開催を実現する』という決意のもとに準備を進めてきた。ニューノーマルを考える場として、オンライン開催を決めたあとも、ともすれば、リスクを考えて規模を縮小したり、対象者を限定したり、あるいは少しでもリアルで実施できないかということを考えてしまうこともあった。しかし、オンライン開催こそがニューノーマル社会における新たなチャレンジであり、中途半端ではない完全なオンラインに踏み切ることで、これまでにはない展示会の形を実現できるのではないかと考え、覚悟を決めた。オンラインのCEATECという新たな場で様々なトライアルをしたい。ぜひ一緒にチャレンジしてほしい」と述べた。
また、「CEATEC体験」については、これまで示してきたように、展示を「見て」、コンファレンスを「聴いて」、未来の社会を「感じて」「考えて」、共創に向けて「動き出す」こととしながら、「これまでのように、幕張メッセの会場だからこそ体験できたことを、オンラインの会場でも実現するために、3つのツールを新たに用意した」と述べた。
ひとつめは、「コミュニケーションチャット機能」だ。来場者が気になった展示があれば、出展者と1対1でコミュニケーションをすることができるようになるもので、「リアルの展示会では、ブースを訪れた際に、説明者に気軽に話を聞くことができる。オンイランでもこれと同様の機能を提供する」という。
2つめは、「ブース訪問履歴機能」だ。これは出展者向けの機能であり、訪問したブースの履歴を自動的に記録。同じ展示ブースのなかでも、人気のある展示と、そうでない展示がリアルタイムでわかるという。「これらのデータをもとに、会期中に展示内容を入れ替える企業も現れるのではないかと考えている」とした。
3つめが、「CEATEC GO」である。全展示チャンネルを対象に、ランダムで次々と展示内容などを表示する機能だ。各出展者の展示チャンネルの紹介画像を、メインビジュアルとして表示することになる。「総合展ならではの特徴は、会場を歩いていて、予想外の発見があること。展示会場でブラブラと歩きながら出会うのと同じように、検索やお勧めだけでは出会うことのできない、偶然、出会える場を実現する機能である」とした。
鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「オンラインならではの特徴を生かしながら、時間や場所を超えて、多くの人にCEATEC体験をしてもらいたい」としたほか、「CEATECにとって、今回のオンライン開催は今年限りのものではない。将来の展示会に向けた大きな変革のなかの最初のステップと捉え、来年以降も見据えて、新たな挑戦に取り組んでいく」とする。
CEATEC 2020 ONLINEは、業界団体が開催する大規模イベントであり、IT/エレクトロニクス業界にとっても、新たな挑戦といえる。そして、この成果が今後のCEATECの開催にも大きな影響を及ぼすことになりそうだ。新たな展示会の姿を模索する取り組みとしても注目される。