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CEATEC 2020 ONLINE、開催概要を発表、「ニューノーマル社会と共に歩む CEATEC」目指す

「このような状況だからこそ、CEATECには果たすべき役割がある」

CEATEC実施協議会 エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏

 今年はオンラインで開催することが決定した「CEATEC 2020 ONLINE」の開催概要が、6月30日に発表された。

 CEATEC 2020 ONLINEの開催期間は、2020年10月20日~23日の4日間。12月31日までオンデマンド配信を行う予定だ。

 オンライン上に、「ニューノーマルエリア」、「企業エリア」、「Co-Creation PARK」の3つの展示エリアを用意。「コンファレンスエリア」、「公式イベントエリア」を加えた5つのエリアで構成する。

 CEATEC実施協議会 エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は、「オンライン開催は、これまでのCEATECでは出来なかったことにチャレンジする機会。これまでのCEATECは、来場者が足を運ぶものだったが、今回は皆さんのもとにCEATECが行くことになる。これまで以上に、より幅広い多くの人にCEATECとの関わりやつながりを持ってもらいたい」とした。

 参加は無料。9月から来場者の事前登録を開始する予定である。また、出展申し込みの受付は6月30日から開始し、7月31日が締め切りとなっている。

 現時点では、出展者数や来場者数の目標については明らかにしていない。

 「過去20回のCEATECの開催した経験を生かすことができない。昨年のCEATEC 2019では、787社/団体が出展し、14万4491人が来場しており、これを超えたい。想像以上に数が増えるという期待もある」と述べた。

オンラインを舞台とし、これまでにない場に

 CEATECは、一般社団法人電子情報技術産業協会、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会の 3 団体で構成するCEATEC実施協議会が主催。今年で21回目を迎えるCEATECは、2016年に家電見本市から脱却して以降、「CPS/IoT Exhibition」、「Society 5.0の総合展」として進化。IT/エレクトロニクス業界だけでなく、自動車、航空、建設、住宅、金融、流通などの異業種企業からの出展が多いのも特徴だ。

 当初は、千葉市の幕張メッセでの開催予定としており、2020年1月には、出展者向け説明会を開催し、出展募集も開始していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、5月にオンラインでの開催を決定し、名称も「CEATEC 2020 ONLINE」とした。

 開催テーマの「つながる社会、共創する未来」はそのままに、新たなスローガンとして、「CEATEC - Toward Society 5.0 with the New Normal(ニューノーマル社会と共に歩む CEATEC)」を掲げ、3つのコンセプトとして「New Normal (Society 5.0 の実現と共に新たな社会への提案)」、「Digital Transformation(オンライン開催ならではの DX 実現の提案)」、「Anytime & Anywhere(いつでも、どこからでも参加できる新たな枠組みの提案)」を掲げ、「出展者と参加者が、これからのニューノーマル社会を考え、共創していくための場」にする考えだ。

 鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「このような状況だからこそ、CEATECには果たすべき役割がある。CEATECの使命は、『テクノロジーで社会や暮らしを豊かにする』ことである。ニューノーマルと呼ばれる新たな社会、暮らしにおいて、テクノロジーをどのように社会実装していくか、テクノロジーをどう活用していくかが重要である。そこで、21回目を迎える今年のCEATECは、ニューノーマルとはなにかを考え、共創していくための場に位置づけ、オンラインを舞台にして、これまでにない場を作っていく」とした。

オンライン上に3つの展示エリアを用意

 CEATEC 2020 ONLINEは、公式WEBサイトから入場登録したあとに、ログインが可能になる。来場者は、各エリアを自由に行き来できる。

【サイトイメージ】

 オンライン開催の中核となる出展エリアは、「ニューノーマルエリア」、「企業エリア」、「Co-Creation PARK」の3つが用意される。

 「ニューノーマルテーマエリア」は、新型コロナウイルス感染症がもたらした「新たな暮らし(ニューノーマル)」をキーワードに、持続的かつ豊かな暮らしを実現するための新たなソリューションやテクノロジー、サービスを紹介する。

 医療やヘルスケア、教育、食、エンターテインメント、働き方、流通/小売りなどのテーマで構成する「ニューノーマルソリューションズ」、IPSを形成する非接触/遠隔コミュニケーション、ビッグデータ、デジタルツイン、デバイス&テクノロジーなどをテーマにした「ニューノーマル社会を支える要素技術・デバイス」、地域が持つ課題に対して解決に資するソリュ―ションを持つ企業、スマートシティ、街づくりに資する技術やソリューションを持つ企業、地方自治体と連携した地域活性化に資する事例を持っている企業が出展。自治体と協力し、地域の課題解決をテーマに、SDGsの達成を視野に入れ、サステイナブルなデジタルまちづくりソリューションを提案する「デジタルまちづくり」の3つのカテゴリーを用意し、テーマごとに複数の出展者でページを構成する。

【ニューノーマルの様々な切り口がテーマ】

 「オンライン教育や在宅勤務が増加したり、食がテイクアウトや宅配が一般化するなど、生活そのものが大きく変わっている。ニューノーマルテーマエリアでは、それぞれがニューノーマルを考え、共創するための場にしたい。これまで参画していなかった産業や業種の企業の参画も期待している」(鹿野エグゼクティブプロデューサー)とした。

 「企業エリア」は、ニューノーマルおよびその先のSociety 5.0 の実現を見据えた製品やソリューション、テクノロジーなどを、企業ごとに紹介するエリアだ。IT/エレクトロニクス産業をはじめ、モビリティ、工作機械、運輸、住宅、建設、金融、観光、エネルギー、サービスなどのテクノロジーを活用するあらゆる産業や業種も出展の対象となる。「企業のビジョンを発信する総合的なものから、ひとつの事業に特化した専門的な内容まで、大小さまざまな企業が出展する予定である」(鹿野エグゼクティブプロデューサー)とした。

 「Co-Creation PARK」では、2011年10月以降に設立したスタートアップ企業や、研究成果の社会実装を目指す大学、教育機関を出展の対象とした「スタートアップ&ユニバーシティゾーン」と、海外諸機関による「グローバルエリア」で構成。それぞれの製品やソリューションを紹介する。

 「次世代のフロントランナーとして期待される国内外の企業や大学、教育機関の参画を期待している」(鹿野エグゼクティブプロデューサー)とした。

 なお、これらの出店エリアの出展者ページには、展示内容の紹介動画や資料などを掲載するとともに、リアルタイムチャット機能によって、出展者と来場者が双方向でコミュニケーションすることができる。「来場者には、幕張メッセの会場と同様に、自由にブースを回ってほしい」としている。

【ブースイメージ】

コンファレンスエリアと公式イベントエリアも用意

 また、「コンファレンスエリア」では、国内外のキーノートのライブ配信をはじめ、ニューノーマルをテーマとしたコンファレンスや連携企画などを企画しているという。

 コンファレンスのプログラム内容の詳細については、9月頃に発表する予定だが、現時点で決定している内容として、日本経済新聞社が主催する「AI/SUM & TRAN/SUM」と連携を明らかにした。同コンファレンスは、AIの活用や、交通および移動手段とITとの融合をテーマにした内容となっている。

 「公式イベントエリア」の概要についても、後日公開することになる。

将来のハイブリッド開催も視野に

 鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「CEATEC 2020 ONLINEは、オンライン『でも』できることと、オンライン『だから』できることを兼ね備えたものになる」と位置づけ、次の4つの特徴を示す。

 ひとつめが、リアルタイムコミュニケーションだ。「出展者と来場者がコミュニケーションをリアルタイムに実施できるよう、ライブ配信やリアルタイムチャット機能を実装している。とくにチャット機能は今回のオンラインイベントならではの大きな特徴になると考えている」という。

 2つめが言語対応であり、日本語だけでなく、英語ページも用意。入場時に選択することができる。「オンラインによって、物理的な移動がなく、海外からでもアクセスが可能になる。時差の関係で、日本では夜中の時間帯でも、海外から参加できる。海外からの参加者の増加にも期待したい」としている。

 3つめはリアルタイムなフォローを支援する機能であり、出展者は、自社ブースへの訪問者リストをいつでも取得することが可能になっているという。「出展者は、リアルタイムで確認できるログデータを活用して、来場者にアプローチすることができる。会期後に行われるオンデマンド配信のログも取得できる。出展者にとって、最も価値のある機能になると考えている」とした。

 そして、4つめが、今年のオンライン開催で活用したツールを、今後も経年的に使用できるという点だ。

CEATEC実施協議会の吉田俊ディレクター

 今回の「CEATEC 2020 ONLINE」に関して、CEATEC実施協議会の吉田俊ディレクターは、「単に、代替手段としてオンラインで開催するわけではない。家電見本市からCPS/IoTをテーマとするSociety 5.0の総合展にシフトしてきたCEATECが、今回を契機に、さらに新たなステージに進むことになる」とする。

 鹿野エグゼクティブプロデューサーも、「今回はオンラインでの開催となるが、今年だけのためのオンライン開催ではない。重視した考え方のひとつが、リアルとの接続性である。そして、その先に描いているのは、リアルとオンラインのハイブリッドでの開催である。ニューノーマル時代におけるCEATECのあり方を考える意味においても、オンラインでの新しい取り組みへのチャレンジは、これからの重要な試金石になると考えている。今年経験したものが、来年以降のCEATECにも生かせる」とする。

 そして、「新型コロナウイルスの収束次第では、現時点でも一部をリアルで開催できないかということも考えている。その際にも、リアルでの内容をオンラインで配信するハイブリッド方式を活用したい」とした。

 また、「新型コロナウイルスにより、数々の展示会が大きな影響を受けている。今回のCEATEC 2020 ONLINEを展示会の改革の大きなステップのひとつとし、新たな展示会の形をしていきたい」とも述べた。

 今回のオンライン開催での経験を、今後のCEATECの開催や、その他の展示会の開催にも生かしていく考えを強調した。

 IT/エレクトロニクスの業界団体が、自らの得意分野であるオンラインを活用して開催する大規模イベントが「CEATEC 2020 ONLINE」。それがどんな形で開催されるのか。その点でも、日本および世界からも注目が集まっている。

出展締め切りは7月31日に

 一方、CEATEC実施協議会では、6月30日午後2時から、CEATEC 2020 ONLINEに関する出展説明会を開催するとともに、出展申し込み受付を開始する。

 「オンライン開催ということもあり、出展しやすいように、手頃な価格設定を用意した。ニューノーマル社会を共に歩み、テクノロジーの活用をリードする、あらゆる産業、業種におけるフロントランナー企業や団体の出展を幅広く募集したい」としている。

 ニューノーマルエリアでは、1テーマあたりの参画料が55万円(税込)。企業エリアでは、展示数によって、プレミアム、スタンダード、ベーシックの3つのプランを用意。プレミアムプランは、トップページの最も上に大きく表示され、展示チャンネル数は最大10点で、出展料は220万円。展示チャンネルが1点のベーシックプランは33万円。また、Co-Creation PARKの出展料は、特別価格を設定し、13万2000円となっている。いずれも税込。

 なお、出展者をサポートする仕組みを用意。出展者に対して、コンソールと呼ぶツールを提供してオンライン出展を支援。さらに、展示エリアのブース内で利用できる映像の撮影などを支援するパートナーを紹介することも予定しているという。

 出展申し込み締め切りは7月31日。8月には出展者向け説明会を開催する(CEATEC 2020 ONLINE出展募集サイトはこちら

【プレゼンテーション】