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「視て」「聴いて」「感じて」「考える」CEATEC 2020で“2030年のまちづくり”を発信

4つの観点「政策」「産業」「次世代」「海外」で共創を促す

 一般社団法人電子情報技術産業協会、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会で構成するCEATEC実施協議会は、2020年10月20日~23日に、千葉県千葉市の幕張メッセで開催する「CEATEC 2020(CPS/IoT Exhibition)」の概要について説明した。また、出展募集を2月12日午前10時から開始する。

CEATEC 2020は「キーパーソンと次世代を担う層が集う場」「CPS/IoT」と「共創」をテーマに超スマート社会を実現

 CEATEC運営事務局の菊嶋隆史事務局長は、「CEATEC 2020では、MaaSやCASEといった次世代モビリティ、食品やアパレルといった産業を含めた次世代ライフスタイル、Society 5.0を支える5GやAIを注力テーマに掲げる。キーパーソンが一堂に会し、次世代を担う層が集う場として開催することになる」と述べた。

CEATEC運営事務局の菊嶋隆史事務局長

CEATECは、あらゆる産業、業種による「CPS/IoT」と「共創」をテーマに、ビジネス創出のための人と技術、情報が一堂に会する場とし、経済発展と社会的課題の解決を両立する超スマート社会(Society 5.0)の実現を目指す展示会に位置づけられている。

 テーマは、「つながる社会、共創する未来」。

家電見本市を超えて、テクノロジーで未来の社会や暮らしをデザインする場として、「視て」「聴いて」「感じて」「考える」といったCEATEC体験を提供するという。

 CEATEC 2020では、「政策」「産業」「次世代」「海外」の4つの観点から共創を促す展示会を目指している。

Society 5.0 TOWNでは「SDGs達成を見据えた2030年のまちづくり」を発信

 「政策」では、省庁や団体と連携したコンファレンスを開催し、Society 5.0に関する経過や成果といった最新情報を発信。「産業」では、業界の枠を超えて連携を実現するSociety 5.0 TOWNにより、「SDGs達成を見据えた2030年のまちづくり」を発信することになるという。ここでは、医療などとの新たな連携も計画しているという。

 また、「次世代」では、Society 5.0の実現に必要なIoT人材の不足や、IoTをはじめとする最新の学際領域を教えられる教育やカリキュラムの不足といった社会課題の解決や、大学が持つ課題の解決に取り組むための展示やプログラムを実施。

 CEATEC 2020では、大学教授や有識者などで構成するアドバイザリーボードを新設。Society 5.0に関するオープンキャンパスやTo be IoT人材応援プログラムのほか、授業プログラムの実施をサポートしたり、学生を対象にした企業トップによる特別講演、関連団体との連携による学生向け各種プログラムを実施する。

 「学生にフォーカスした活動を強化する。Society 5.0などの共通テーマに沿って見学できるようなプログラムも考えている。理系や文系に関わらず学ぶ場を提供したい」とする。

CEATECを授業に活用、学生の新たなインスピレーションに

 学生の教育の一環として、2年間に渡ってCEATECを利用している東京医科歯科大学医学部附属病院臨床試験管理センターの長堀正和氏は、「授業の一環として、医学部医学科の約100人の学生を対象に、CEATECを利用している。

東京医科歯科大学医学部附属病院臨床試験管理センターの長堀正和氏

 デザインシンキングの手法を用いて、社会課題の解決に向けたインスピレーションを、CEATECの会場から得ている。見学をした学生からは、自分たちのアイデアに役立つインスピレーションを得られたという声があがっていた」などと述べた。

国内外のスタートアップ企業などが集う「Co-Creation PARK」ステージでのピッチ数を増やし企業とのマッチングを

 そして、「海外」では、スタートアップ企業などが出展するCo-Creation PARKのほか、2020年には、Global Pavilionの規模を拡大し、世界中の超スマート社会に向けた施策を集結させることになるという。

 2019年から、Co-Creation PARKのパートナーとして協業しているPlug & Play JapanのMarketing/Communications VPである藤本あゆみ氏は、CEATEC 2020における海外企業との連携について説明。

Plug & Play JapanのMarketing/Communications VPである藤本あゆみ氏

 「パートナーシップは3年計画で進めている。昨年は、45社がCo-Creation PARKのステージに登壇して、ピッチを行った。1位になった企業には、アクセラレーションプログラム選考会への出場権や、CEATEC 2020のイベントブーススペースの提供などを行った。

 CEATEC 2020では、ステージでのピッチの数を増やしたり、コラボレーションステージを引き続き実施をしたりといったことを考えている。ステージに登壇する企業は、Plug & Playが採択した企業のほか、一般公募も行う。さらに、海外スタートアップ企業とのマッチングの場も強化したい」と述べた。

スタートアップを含め増え続ける出展企業「情報発信やビジネスルート開拓に役立つ場」との声も

 CEATECは、2000年にスタートして以来、今年で21回目を迎える。

 「2000年は、IT革命が流行語大賞に選ばれた年である。それ以来、家電見本市として開催してきたが、2016年からは、CPS/IoTによる新たな産業を創出するためのテクノロジーを活用した社会や暮らしを提案する展示会となり、共創のきっかけをつくれる場、キーパーソンが集結する場、次世代を担う層が集う場になっている」(菊嶋事務局長)とする。

 昨年開催されたCEATEC 2019は、787社/団体が出展。海外からも24カ国/地域から250社/団体が出展したほか、スタートアップ/大学研究機関も170社/団体が出展した。

 「新規出展者は304社/団体となり、スタートアップ企業も増加している」という。

 出展者を対象に実施したアンケートによると、CEATECがCPS/IoTを提案するのにふさわしい場所と回答した出展者は85.0%、各メディアなどと連携し、情報発信の場として役立つ場とした出展者が77.0%、新しいビジネスルート開拓に役立つ場との回答が77.9%、様々な意見などにより、今後の製品、技術開発などに役立つ場という回答が74.3%に達しており、出展者にとっても効果が高いという評価がある。

 「CPS/IoTの展示会として我々が目指す方向と、出展者の方向性が一致してきたのではないか」(菊嶋事務局長)とした。

Wovn TechnologiesのBusiness Developmentである山下航平氏

 2018年には東京ビジネスフロンティアとしてグループ出展し、2019年には単独出展したWovn Technologiesの Business Developmentである山下航平氏は、「当社は、インターネットを多言語化するサービスのWovn.ioを提供している。出展の狙いは新規リードの獲得であったが、CEATECでは、既存商談の活性化、既存顧客のロイヤリティの向上、新規協業の可能性といったメリットがあった。

 また、Wovnが目指す世界観を共有できたという点でのメリットも大きかった。CEATEC 2020では、多言語体験ができる場とし、課題解決のヒントを得たり、より身近に感じることができるブースとしたりといった取り組みに加えて、海外出展者との共同企画を実施することも考えている」とした。

来場者の滞在時間にも変化が、学生たちにも活用される場に

 また、CEATEC 2019の会期中には、14万4491人が来場。海外からは、2069人が来場したという。

 来場者の滞在時間が前年よりも長くなっており、一日中という回答が18.7%を占め、前年より3.6ポイント増加。62%以上が半日以上をかけて見学しており、1時間や2時間の見学に留まる人が減少している。

 「体験型の展示が増加したり、カンファレンスに参加する人が増加していることから滞在時間が伸びていると分析している。Society 5.0(超スマート社会)の実現に向けた技術、未来の社会や未来の暮らしなどの展示に注目が集まるとともに、新たな共創を生み出す場としても話題を集めた」とした。

 さらに、82.6%の来場者が満足と回答。また、初めて来場した人が30.7%を占めたという。

 幅広い業種や産業からの来場者があるのもCEATECの特徴で、製造・機械・精密機器では2万1000人以上、情報通信機器・電子部品・電子デバイスでは2万1000人以上が訪れたほか、住宅・建設・不動産からは4500人以上、自動車・輸送機器では4000人以上、官公庁・自治体では3500人以上、医療用機器・健康用機器では1000人以上が来場。

 さらに、学生の来場は7500人以上となり、未来の社会に触れて、体験できる場として、学生たちに活用されていることが裏付けられた。

 さらに、来場者の関心では、人工知能、5G、自動運転、スマートシティ、スマートホーム、ヘルスケア、エネルギー/環境、スマートファクトリ/産業用ロボット、スマート農業、観光×AIが上位10項目となっている。

 「2020年やその先に期待されるテクノロジーや産業の情報を得ることに期待が集まっている」とした。なお、同説明会は、1月31日に、大阪・梅田のグランフロント北館でも開催される。