中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」
ニュースキュレーション[2020/9/17~10/1]
NTTがドコモを完全子会社化 ほか
2020年10月2日 14:30
1. デジタル庁発足への準備が進む
菅内閣の看板政策の1つといえるのがデジタル庁の設置である。政府はデジタル庁を2021年秋までに新設する方針で、2021年1月に召集する通常国会にIT基本法改正案などを提出するとしている(日本経済新聞)。このデジタル庁では「最新のデジタル化の動向に対応するため、民間人をトップに据える」という案を検討するとしている。平井卓也デジタル担当大臣はデジタル庁新設に向けた準備室を立ち上げるとし、そのコンセプトが「Goverment as a Startup」、略してGaaS(ガース)であると紹介した(ケータイWatch)。
こうした動きを踏まえ、日本経済団体連合会(経団連)は「国や地方のデジタル政策を一元的に管轄し、各省庁へ命令権を持つ“司令塔”となる組織を創設」するよう提言した(ITmedia)。
さらに、河野太郎行政改革担当大臣はデジタル改革閣僚会議の初会合で「はんこをすぐなくしたい」と述べ、平井卓也デジタル改革相も賛同したと伝えられている(日本経済新聞)。
今春の新型コロナウイルス対策のためのさまざまな活動において、日本のデジタル化の遅れが露呈したが、これを契機とし、デジタル化を一歩進めることができるのではないかという期待が各方面で高まっているように感じる。民間でもそれにのっとった動きになってくれば、社会全体の最適化にもつながるだろう。
2. 各産業団体で始まるブロックチェーンへの取り組み
各産業団体でもブロックチェーンの技術を検証する動きが活発化している。
1つは、一般社団法人新経済連盟(新経連)が内閣官房IT総合戦略室とともに「ブロックチェーン官民推進会合」を開催した。新経連は「ブロックチェーンを活用したデジタル変革と社会経済の発展に向けて官民の架け橋となれるよう、今後も積極的に政策提言活動を行ってまいります」と発表している(ZUU online)。
また、日本損害保険協会(損保協会)とNECはブロックチェーン技術を活用した契約情報交換に関する共同検証を行い、その有効性の評価や課題の洗い出しを行うことを発表している(マイナビニュース)。
そして、Healthcare Blockchain Collaborationコンソーシアムを母体とした医療データプラットフォーム研究会は、さまざまな疾病データを登録・活用するための「疾患レジストリプラットフォーム」について、ブロックチェーンによる実装を検証する。参加企業である第一三共は「疾病情報をブロックチェーンによって非中央集権的に一元集約できれば、関係者すべてに有益なプラットフォームが実現できる。そこに、患者や医療機関が情報を登録すれば、新薬開発が加速あい医療全体の質の向上につながる。患者にも治験の参加機会が増える」(@link|https://dcross.impress.co.jp/docs/usecase/001762.html|デジタルクロス|bn@@)と述べている。
これまでもブロックチェーンに対する検証は先進的な企業などによって散発的に行われていた例が報じられてきたが、産業団体の単位でブロックチェーンを検証テーマとして取り入れ動き出したと感じる。
ニュースソース
- 新経済連盟、「ブロックチェーン官民推進会合」発足[ZUU online]
- ブロックチェーン活用した共同保険の契約情報交換の検証[マイナビニュース]
- 第一三共ら、医療データプラットフォームの実現に向けブロックチェーンを検証[デジタルクロス]
3. KDDIとソフトバンクがそれぞれ5Gの体験スペースをオープン
5Gのサービスエリアも拡大しつつあり、さらには端末もそろい始めている。あとは販売シェアから本命ともみられるアップル社のiPhoneの新型モデルが待たれるところだ。
そのようななか、auは5Gを体験できる施設「GINZA 456 Created by KDDI」をオープンした。場所は山野楽器銀座本店ビル(東京都中央区銀座4丁目5番6号)の地下1階~2階の3フロアである。また、ソフトバンクも5Gを体験・検証できる「5G X LAB OSAKA」をオープンした。こちらは法人を対象とし、完全予約制とのことだ。
大容量・低遅延をアピールする5Gだが、これまでのモバイル端末の使い方、これまでのコンテンツへ適用するだけではなかなかその魅力は感じ取れない。特性を生かした新たなコンテンツやサービスを体験すること、そしてそれをいち早く実装することが次のフェーズへ対応する最良の方法ということか。
4. 経済産業省と総務省が「データ流通取引に関する検討事例集」を公表
経済産業省と総務省は、BtoBでのデータ流通取引を検討している事業者を後押しすることを目的に、各事業者からの相談事例についてIoT推進コンソーシアムのデータ流通促進ワーキンググループの委員による助言が行われている。その相談事例と助言を整理した「新たなデータ流通取引に関する検討事例集【第1分冊】」を資料としてまとめ、配布を開始した。これは平成30年8月、すでに公表されている「新たなデータ流通取引に関する検討事例集ver2.0」に続く8件のユースケースを題材としたものだ。
データの流通は社会のデジタル化にとっての重要な要素である。しかし、どのようなデータがどう流通し、どう役立つのか、あるいはどういう懸念があるのかということについて十分なコンセンサスは形成されていないように感じる。ここで挙げられているいくつかのユースケースについては、法的課題、配慮すべき事項などについて簡潔にまとめてあることから、事業者のみならず、多くの人にとって、どのようなデータが、どう流通し、どう役に立つのか、その利点や課題がどこにあるのかなどについて具体的なイメージを得るための資料としても活用できそうだ。
ニュースソース
- 「新たなデータ流通取引に関する検討事例集【第1分冊】」を取りまとめました[総務省]
5. NTTがドコモを完全子会社化
NTTがドコモを子会社化することが発表された。株式公開買付(TOB)で年度内にも完了させる。買付費用は4.3兆円という規模である(ケータイWatch)。さらに、NTTグループを再編し、NTTコミュニケーションズとNTTコムウェアを、NTTドコモグループに寄せる検討を始めたということも明らかにした。
これらの思惑については、さまざまな見方もあるが、「GAFAなど異業種からのプレイヤーとの競争が加速しているという。また、社会の変化やユーザーニーズの多様化や高度化、複雑化があり、市場環境が大きく変化している」(ケータイWatch)ということが最大のポイントか。さらに、政策として携帯電話料金の値下げ圧力なども強まることなどから(ケータイWatch)、国内最大の電気通信事業者として、資本力や技術力のさらなる強化、グループ内での事業領域の有機的な拡大などを目指して総力を結集するという意思を示したともいえそうだ。
ニュースソース
- 「新しいドコモを創業する」--新社長に井伊氏が就任へ、吉澤氏は「特命担当」に[CNET Japan]
- NTT、ドコモ完全子会社化を正式発表、TOBで4.3兆円[ケータイWatch]
- NTTのドコモ完全子会社化記者会見――GAFAと戦える総合ICT企業を目指す[ケータイWatch]
- NTTの澤田社長、ドコモ子会社化に「法制度上の問題なし」[ケータイWatch]
- NTT澤田氏、ドコモの完全子会社化で「結果的に料金値下げにつながる」とコメント[ケータイWatch]
- ドコモ新社長 井伊氏、「移動通信事業だけでない会社に成長させたい」[ケータイWatch]
- NTTによるNTTドコモの完全子会社化 KDDIとソフトバンクの反応は?[ITmedia]