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「IGF京都2023」の開催が迫る! 日本からの提案セッションを紹介

「日本インターネットガバナンスフォーラム2023」の公開動画より

総務省のIGF京都2023ウェブページ

 9月25日に「日本インターネットガバナンスフォーラム2023」の動画が公開された。このイベントでは、京都で開催されるIGF 2023の日本提案セッションの紹介を中心に、各トピックの背景説明や議論が行われた。IGF参加者には予習として、そうでない方にはIGFへの興味を持つきっかけとしてご覧いただきたい。

IGF京都2023の開催迫る!

 インターネットについて議論する国際会議「インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)」の京都開催がいよいよ来月に迫っている。

 IGFとは、グローバルリソースとして発展を遂げたインターネットのガバナンスについて、さまざまな立場の人々が対話を行う場だ。毎年開催されており、2022年はエチオピアのアジス・アベバで、2023年は日本がホスト国となり、10月8~12日に京都市の京都国際会館で開催される(オンラインでも参加可能)。現在、総務省や民間企業、インターネットコミュニティの人々が準備を進めている。

 IGFの特徴は「誰でも議論に参加できる」こと。仕事などでインターネットに関わっている人はもちろん、一人のユーザーとしてインターネットを使う立場でも参加して構わない。参加費は無料だが、参加申込のためには国連認定システムでの登録が必要となる。申込期限は日本時間の10月4日9時59分(UTCの10月3日23時59分)なので、オンラインも含めて参加する方は早めに登録しよう。

日本からの提案セッション紹介――日本インターネットガバナンスフォーラム2023より

 IGFの日本開催決定を受け、国内を盛り上げるために2021年から「IGF 2023に向けた国内IGF活動活発化チーム」という有志コミュニティが活動している。2023年9月7~8日には「日本インターネットガバナンスフォーラム2023」を開催した。

 このイベントは、IGF 2023に日本から提案されたセッションの紹介と議論が中心となっており、言わばIGFの前哨戦のようなもの。そのセッション動画と要約が9月25日に公開された。当日行われた全6セッションの動画を視聴できるので、興味のあるものを見て、ぜひ10月の京都にも参加してほしい。

 なお、日本インターネットガバナンスフォーラム2023のウェブページでは、イベント概要や開会・閉会あいさつの動画各セッションの要約が掲載されているので、そちらもチェックしよう。

【セッション1】日本におけるオンライン上の児童ポルノ対策-国連をはじめとする国際的観点から見た日本の対策の意義:法的、技術的等の観点から

 児童ポルノは世界的に深刻な問題であり、その対策は必須だ。インターネット上での規制手段の1つとして、プロバイダーによるブロッキングがあるが、情報検閲や憲法違反の観点から慎重な対応が求められる。この問題と日本での対策について議論する。

【セッション2】サイバーインシデント対応者とのグローバルな対話

 サイバーインシデントの数は年々増加しており、2022年度は2019年度の3倍以上となっている。その中でも増えつつある国家によるサイバー犯罪に対応するため、グローバルなCERT間連携の重要性について議論する。

【セッション3】ビデオオンデマンドに関する規制

 大容量コンテンツの配信負担を、通信会社だけでなくコンテンツ事業者にも公平に分担してもらうべきではないかという「フェアコントリビューション」(ネットワークのコスト負担の公平性)、自国のコンテンツ保護のために海外配信事業者に規制を課す「ローカルコンテンツへの貢献」について議論している。

【セッション4】AI戦略をめぐる国際的な議論

 AIについて、国内外の規制や技術的な動きなどを紹介し、(1)「AIとリスク」、(2)「相互運用性」、(3)「関係者と責任」について、法律や条約、国連安全保障理事会の討論、企業による自主規制などを踏まえながら、様々な議論を行っている。

[IGF 2023での関連セッション]

【セッション5】発展途上国の開発に寄与する、信頼できるデータ流通構築に向けての課題と機会

 データを安全に信頼できる形で国内外で流通させることは、利点だけでなく個人情報保護やサイバーセキュリティ、データ寡占に対する懸念もある。自由なデータ流通に向けた取り組み「Data Free Flow with Trust(DFFT)」について解説したうえで、開発途上国にも寄与する在り方について議論している。

【セッション6】社会的、経済的、環境的責任を担うキャンパス/IoTに関するグローバルな成功事例

 IGFの2つのセッションを紹介。1つ目は、ネットに関連する製品・部品(IoT)のセキュリティや倫理についてのプラクティスを共有する「Dynamic Coalition #9」。2つ目は、大学キャンパスにフォーカスしたスマートシティ構築活動を紹介する「Open Forum #159」。

 世界各国から参加者が集まる国際会議のIGFでは、議論は基本的に英語で行われる。今回紹介した日本から提案したセッションも京都では英語となる。ただし、今回は日本開催ということもあり、主要なセッションには日本語同時通訳が用意される予定だ。興味はあるが英語に不安があるという人も、これらのセッションなら気後れすることなく参加できるだろう。

SDGsとも関係の深いIGF

 インターネットを含むデジタル技術は、SDGs達成への貢献をはじめ社会に影響力を持つ。2021年に国連は、デジタル分野での協力を改善するための盟約を「グローバル・デジタル・コンパクト(GDC)」として掲げ、その合意と実装に向けた貢献がIGFに期待されている。D for Good!でも、SDGメディア・コンパクト加盟メディアとして、GDCとIGFを支持していく。

インターネットを使うあらゆる人々が参加して意見する場にしてほしい――IGF2023京都に向けたパネルディスカッションより(「D for Good!」2023年6月1日付記事)

「D for Good!」2023年9月27日付記事より)

「D for Good! by Impress Sustainable Lab.」について

このコーナーは、インプレスホールディングスの研究組織であるインプレス・サステナブルラボがnoteで連載中の「D for Good!」から記事を転載しています。D for Good!では「デジタルで未来を明るく!」を掲げ、書籍「インターネット白書」「SDGs白書」を編集するインプレス・サステナブルラボ研究員が、サステナビリティが身近になる話題を発信しています。