D for Good! by Impress Sustainable Lab.
#何もしないともっと暑くなる――デジタルのサービスやアプリを活用して節電意識を高める
「1.5℃の約束」個人アクション実践編
2024年9月12日 16:50
今夏、「#何もしないともっと暑くなる」というフレーズの下、国連と各メディアが共同で展開する気候キャンペーン「1.5℃の約束」が実施されている。前回の記事では、地球温暖化を1.5℃以内に抑えるための「個人でできる10の行動」を紹介した。今回はその実践編として、筆者が実際に取り組んだ具体的な「行動」についてお伝えするとともに、節電への意識付けに役立ったサービスやアプリ機能を紹介する。
「個人でできる10の行動」と合わせて日常生活を振り返る
まずは、日々の生活の中でどれくらい環境に配慮した行動をしているのか、「個人でできる10の行動」のリストを参考に自分の行動をチェックしてみた。
- 家庭で節電する ✔
- 徒歩や自転車で移動する、または公共交通機関を利用する ✔
- 野菜をもっと多く食べる ✔
- 長距離の移動手段を考える ✔
- 廃棄食品を減らす ✔
- リデュース、リユース、リペア、リサイクル ✔
- 家庭のエネルギー源を替える
- 電気自動車に乗り替える
- 環境に配慮した製品を選ぶ ✔
- 声を上げる ✔
筆者は車を持っていないため、普段から公共交通機関を利用している。また、長距離移動では「CO2排出量が少ない」と表示のある航空券や、CO2削減に取り組む航空会社を選ぶように心がけている。
徒歩や自転車の利用、野菜中心の食事などは健康維持にもつながるため、普段から自然と実践している。料理の工夫で廃棄食品ロスを減らし、スーパーでの「てまえどり」に協力している。不用品を「メルカリ」で売ることで、リユースやリサイクルに貢献している。こうしてみると、普段の生活の中に、自然と環境に配慮した行動が組み込まれていることに気が付く。
さて、これらの行動は習慣化されていて無理なく行えているのだが、自宅兼オフィスという環境では、仕事や家事に集中していて、ついつい「節電」への意識が薄れてしまうことがある。そこで、東京ガスの「IGNITURE(イグニチャー)スマートアクション」プログラムに参加し、意識付けを行っている。
このプログラムは、節電やピークシフトを促すもので、電力供給の安定化に貢献できるだけでなく、ポイントなどの特典も受け取れるため、楽しみながら節電に取り組むことができる。
省エネアクション:IGNITUREスマートアクションへの参加
IGNITUREは「Ignite(灯す)」と「Future(未来)」を融合させた造語で、未来に向けた先進的な取り組みを目指す東京ガスのソリューションブランドである。その取り組みの一環として提供されているのが、IGNITUREスマートアクションだ。東京ガスが指定する電気契約があり、東京ガスが提供する無料のウェブ会員サービス「myTOKYOGAS」の登録者であれば参加が可能である。
具体的には、夏や冬の電力需要がピークを迎える時期にエアコンの温度設定を控えめにするなどの節電対策を行い、春や秋には再生可能エネルギーの発電量が増えることを見越して、電力使用のシフトを行う。これにより、電力の安定供給に貢献するとともに、「CO2ネットゼロ」に向けた再生可能エネルギーの普及推進にもつなげる。
今夏、2024年7月1日から9月30日までの期間で実施されている「夏の節電キャンペーン 2024」には、筆者も7月から参加している。「節電タイム」の通知は登録したメールアドレスに送信されるが、myTOKYOGASのウェブサイトや専用アプリにログインしても確認可能である。
節電タイムの節電達成度によって「スマートアクションポイント」が受け取れるほか、アプリの位置情報を使った「お出かけチャンス」機能では、指定された提携施設を訪れることでボーナスポイントを獲得できる。これらポイントはささやかではあるが、やはりもらうとうれしいものである。
さらに、東京都内で需給契約を結んでいる場合、東京都が実施する「家庭の節電マネジメント(デマンドレスポンス)事業」にも自動的に参加となり、節電達成度に応じてデジタルギフト券などの特典を受け取ることができる。
クールシェアスポットを探せる「NAVITIME」アプリの新機能も活用
もう一つ、日中の節電対策の検討する際に見つけた「NAVITIME」の機能についても紹介しておきたい。今夏追加された「クールスポット検索」である。街中の「クールシェアスポット」「クーリングシェルター」を検索できる機能だ。
クールシェアとは、家庭や地域で楽しみながらエアコンの使用を控え、涼しい場所に集まることで節電に貢献する取り組みである。各自治体が図書館やコミュニティセンターなどを「クールシェアスポット」として指定している。一方、「クーリングシェルター」は、2024年4月の気候変動適応法改正によって定められた、熱中症警戒アラート発令時に利用できる冷房設備付きの避難施設である。
クールスポット検索を使えば、現在地周辺のクールスポットを簡単に探し出すことができるとともに、施設の詳細情報も確認することができる。筆者は先の節電タイムに合わせ、いくつかのクールシェアスポットを訪れてみた。
個人の行動の影響力、ちりも積もれば…
さて、東京ガスの節電キャンペーンに参加した結果、個人としての節電効果は、1日の該当時間において、少ないときで0.2kWh、多いときで1.0kWhと微々たるものだった。しかし、今夏の参加者(36万6062人)全体で見てみると、8月30日時点で「235万6025kWh」の節電が達成されている。
さらに、これまでの過去のキャンペーンも含めた合計では、参加者は「183万6386人」となり「1921万4151kWh」の節電を達成している。これを「約2000万kWh」として概算し、一般的な家庭の年間電力消費量を「約4000kWh[*1]」として計算すると、約5000世帯の年間電力消費量に相当する。
個人一人ひとりの取り組みは、単体では気候変動に直接大きな影響を与えるものではないかもしれないが、こうして数字を見てみると「ちりも積もれば…」ということが実感できる。これからも日々の積み重ねを大切にし、無理なくできることを続けていこうと思う。
[*1]…… 環境省の「家庭部門のCO2排出実態統計調査」に基づく
文:遠竹智寿子 フリーランスライター/インプレス・サステナブルラボ研究員
編集:タテグミ
(「D for Good!」2024年9月4日付記事より)
このコーナーは、インプレスホールディングスの研究組織であるインプレス・サステナブルラボがnoteで連載中の「D for Good!」から記事を転載しています。D for Good!では「デジタルで未来を明るく!」を掲げ、書籍「インターネット白書」「SDGs白書」を編集するインプレス・サステナブルラボ研究員が、サステナビリティが身近になる話題を発信しています。