イベントレポート
Dell Technologies Forum 2020
デルが年次イベントを開催、「10社に8社がDXを加速している」
すべてをas a Serviceにする「Project APEX」も発表
2020年11月27日 20:32
デル・テクノロジーズ株式会社は11月27日、年次イベント「Dell Technologies Forum 2020」をオンラインで開催した。ライブセッションやオンデマンドセッションに加え、バーチャルエキスポも開かれた。
開会の挨拶に登場したDell Technologies 会長兼CEOのマイケル・デル氏は、新型コロナウイルスで世の中のすべてが変わってしまい、悲しいことも多数あったが、ビジネスのレジリエンスや人々の折れない心に希望を抱いているとコメントした。そして、デジタル改革(DX)を加速する組織は成功への道をたどっているとして、Dellはインフラによって企業のDXを推進すると語った。
「Dell Technologiesが未来のインフラを支える」
基調講演には、米Dell Technologies プレジデント兼最高技術責任者(CTO) プロダクト&オペレーションのジョン・ローズ氏、米Dell Technologies インターナショナルマーケット プレジデントのアンガス・ヘガティー氏、デル・テクノロジーズ株式会社 代表取締役社長の大塚俊彦氏が登場した。
ローズ氏は、未来のITインフラの姿と、そこにおけるDell Technologiesについて語った。
まず、コロナ禍による社会の変化として、60%の人がテレワークまたはハイブリッドな働き方を継続し、幼稚園から高校生までの50%が遠隔教育を受け、オンライン小売が44%アップしているといった数字を紹介した。
また、Dell Technologiesが定期的に実施している調査「Digital Transformation Index」によると、10社に8社がDXを加速していると回答。96%が、データの有効活用により変化に適応しやすくなったと回答したという。
続いてローズ氏は2023年までの未来予測を語った。5Gや自動化が進み、2025年までに75%のデータがデータセンター以外のエッジで生成・処理され、2023年の世界のGDPに占めるデジタルの割合が52%になるという。
その時代に求められるものとして、ローズ氏は6つの領域を挙げた。パブリッククラウド、プリベートクラウド、エッジにまたがる「ハイブリッドクラウド」。その「エッジ」に合わせたアーキテクチャの最適化。「5G」のワイヤレスとモビリティ。データを分析する「AI/ML」。相互接続してデータを迅速に処理する「データ管理」、そのデータを守る「セキュリティ」だ。
そしてこの6つの領域が完全に統合されたシステムになっていることが求められるとローズ氏は語った。
そこにDell Technologiesが提供するのが、クラウドソリューション群のDell Technologies Cloudだ。as-a-Serviceのモデルにより、組織がビジネスに集中し、DXを加速できるとローズ氏は言う。
ここからローズ氏は、未来のデジタル社会のビジョンを紹介した。
教育は、ビデオ会議にとどまらず複合現実(MR)で参加したり、それぞれの学生にパーソナライズしたり、VRのラボでロボットと作業したりできるようになる。また、リアルタイム翻訳や、AIとエッジのレンダリングによる世界中からの映像コンテンツ、視覚障害・聴覚障害・色覚障害などの障壁をなくすAIなども利用される。
ヘルスケアはグローバルになり、適切な医師と自分の予定にあわせて、バーチャルミーテイングルームと自動翻訳で受診できる。また、ウェアラブルデバイスなどからデータ分析して医療をパーソナライズする。予防においても、ウェアラブルデバイスなどのリアルタイムテレメトリーにより、喫煙の警告やダイエット、心不全のようなバイタルサインなどに対応する。
街については、コロナ禍により運送などの物理的なエコシステムは打撃を受けたが、トラックなどの自動運転車に寛容になり、スマートシティやスマートモビリティが実現する。そしてデータがこれらを実現する鍵となる。
そして、こうした未来のITシステムを支えるのがITインフラであり、Dell Technologiesのインフラがこれらを実現するとローズ氏はまとめた。「未来のテクノロジーを支える、それがDell Technologiesのミッション」(ローズ氏)
すべてをas-a-service化する「Project APEX」
ヘガティー氏は、Dell Technologiesが10月に発表したEverything-as-a-Service戦略の「Project APEX」について語った。
まず、コロナ禍で世界が変化したことに触れ、「将来のリスクに対応するには俊敏なテクノロジーが必要だ」とヘガティー氏は言う。
氏は、今の企業システムは、あまりに複雑で、ばらばらで相互に連携しておらず、展開に時間がかかり、コストを一度に前払いするCAPEXの形となっていると主張する。そして、シンプルなIT体験が求められているとして、一貫性のあるクラウド体験、一元化されたウェブインターフェイス、オンデマンドの拡張性、セルフサービスプロビジョニング、OPEXモデルが必要だと語った。
それに対するDell Technologiesの戦略が、「Everything-as-a-Serviceへのシフト」だ。ハードウェア購入からサービスまで、製品ポートフォリオ全体にわたってas-a-Service化するというものだ。
このアプローチは「Project APEX」として10月に発表された。IT活動のすべてを「Dell Technologies Cloud Console」(現在パブリックプレビュー)で管理し、必要なときに数回のクリックで導入できる。購入と支払いの形態が柔軟に選択でき、OPEXモデルとなる。そして、インフラと運用がコア、エッジ、クラウドで統一される。「すべてのポートフォリオが順次提供される」(ヘガティー氏)。
ここでDell Technologies Cloud Consoleのビジョンが動画でデモされた。Dell Technologies Cloud Console上の製品カタログから製品やサービスを注文し、たとえばVMwareのコンテナプラットフォームのTanzu Clusterをその場からマルチクラウドで起動できる。費用やパフォーマンス状況なども一元管理でき、必要に応じてスケールやセキュリティ対応もできる。既存の調達システムへの統合も可能。
また、Project APEXの一環として、「Storage as-a-service」も20201年上期リリース予定。オンプレミスに導入するストレージを、Dell Technologiesが管理し、使った分だけ課金される。
DXの定期調査の結果を報告
大塚氏は、Dell Technologiesが2年ごとに実施しているDXに関する調査「Digital Transformation Index 2020」の結果を紹介した。今回は世界18か国、12の業種で、4300人が回答した。
まずDXの進捗具合を5段階に分けると、グローバルでは「デジタル評価企業」「デジタル導入企業」を合わせて約8割で、前回から躍進している。日本でも、前回は「デジタル後進企業」が多かったのが今回は「デジタル評価企業」が多くなり、「デジタル導入企業」も増えている。
2020年にコロナ禍でDXが加速した状況については、グローバルでも日本でも「現在加速している」「ビジネスモデルを見直している」が多い。一方で、日本では「十分なスピードで変革できていない、と不安を感じている」も多く、「DXへの投資は成熟段階である」は少ない。そのほか、グローバルでも日本でも「現在、変革への困難な障壁に直面している」が9割以上となっている。
また2020年に加速したDX分野としては、グローバルでも日本でも「サイバーセキュリティの強化」「リモートワークの拡大」「デジタル体験の刷新」が上位に挙がった
DXの阻害要因としては、グローバルでも日本でも「データプライバシーおよびサイバーセキュリティーに関する不安」や「予算およびリソース不足」が上位に挙がった。また日本では「デジタル文化が未成熟」「脆弱なデジタルガバナンス/構造」もTop 5に入った。
今後1~3年における投資対象エリアとしては、グローバルでも日本でも、サイバーセキュリティ、マルチクラウド、5Gが挙がった。また日本では、AIやロボットが1・2位を占めた。
これを踏まえて、Dell Technologiesが企業の変革を支援していく4本柱を大塚氏は説明した。IT資産のモダナイズや自動化の「ITの競争力強化」、Work From Homeにとどまらない「xFHの実現」、新しいデジタルアプリケーションや人材育成による「デジタル競争力の確率」、ロングレンジの目標となる「社会インフラの変革」だ。
そして2030年までの社会貢献の目標として、サステナビリティー促進、インクルージョン(多様性)醸成、ライフシーン変革、倫理とプライバシーの維持を挙げた。