イベントレポート
ワイヤレスジャパン2013
今年最大の展示ブースはIIJ、法人向けのSIMカード事業をアピール
(2013/5/30 20:45)
5月29日~31日に東京ビッグサイトで開催されている「ワイヤレスジャパン2013」では、展示会に216社が出展(併催イベント含む)。各社のモバイル/ワイヤレス製品・技術を紹介している。ワイヤレスジャパンは1996年から開催されている展示会で、ひところは携帯キャリア各社が巨大なブースを構えて携帯電話新機種をアピールするような華やかな時代もあったが、今年は最新通信技術/モジュール/ソリューションをモバイル/ワイヤレス関連企業向けに紹介するB2Bの落ち着いた雰囲気が濃い。
例えば株式会社NTTドコモは今回、併催イベントである「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2013」の一画に、日本電信電話株式会社(NTT)との共同ブースで出展しているが、展示内容は基地局設備に関するもの。実用化は国内で初めてだという5つの周波数帯に対応した「700MHz帯対応マルチバンド基地局アンテナ」や、LTE/3G両対応の「Xiフェムトセル」を展示している。
LTEフェムトセルについては、富士通株式会社のブースで「BroadOne LTE Femtocell」を展示している。LTEのほか、IEEE 802.11a/b/g/nの無線LAN機能も搭載しており、干渉やロードバランスを考慮して自動的に切替制御を行うという。通信速度は、帯域幅が10MHzでは最大75Mbps、15MHzで最大150Mbps。家庭用がすでに出荷可能で、公共施設・企業向けが第3四半期出荷開始予定。ただし、日本ではフェムトセル自体がまだ普及段階に入っておらず、同社製品の導入を決定している国内キャリアもまだないということだ。
株式会社KDDI研究所のブースでは、LTEの数倍のデータを送信できる技術として先週発表した技術「Advanced MIMO」をデモ。周波数利用効率がLTEの約3倍の20bps/Hzを実現するとしており、実際に通信速度をモニターに大きく表示してアピールしている。
会社単独としては今回最大と思われるブースを構えていたのが、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)だ。自動販売機のワイヤレスM2Mソリューションやスマートデバイス/モバイル向けのセキュリティサービスなど法人向けソリューションを紹介しているが、最も目立っているのは「IIJmio高速モバイル/Dサービス」などのモバイル通信サービスだ。ブースの壁の一画が巨大なSIMカードをかたどったデザインになっているほか、同サービスを販売するイオン店舗の様子を再現したり、Hi-Ho、BB.exciteなどOEMとなる各社のモバイル通信サービスを紹介している。
とはいえ、今回は個人向けサービスを紹介しようというものではなく、MVNOプラットフォームおよびNVNEとしてのIIJの法人向けSIM事業をアピールする材料だ。自社ブランドでモバイル通信サービスやSIM販売を行いたい通信事業者、あるいはイオンのような小売事業者はもちろん、SIerやM2Mソリューション事業者がそれぞれ自社ソリューションにモバイル通信機能を組み込む際にも対象顧客層や用途に応じてスペックなどを柔軟に対応できるとしており、今後、法人市場向けのSIM事業におけるパートナー展開を強化していく戦略だ。
Android端末にもつないで使えるメガネ型カメラ「viewっとめがね」
インフィニテグラ株会社は、既存のUSBウェブカメラとAndroid端末を接続するための「Android USBカメラソリューション」を出展。同社によると、AndroidはUVC(USB Video Class)およびカメラで使われるアイソクロナス転送方式に未対応のため、市販のUSBウェブカメラをそのまま利用できないという。
インフィニテグラでは、対応するUSBウェブカメラは限定されるものの、Androidのカーネルに手を入れることなく、アプリのみで既存のUSBウェブカメラとAndroid端末を接続できる「USBカメラ」を開発し、Google Playですでに公開(無料のトライアル版と有料版がある)。ただし現在は映像を保存する機能単独のアプリのため、今後、インターネットのライブ配信サービスの公式アプリなどへの組み込みも目指したいとしている。同社ではこのほか、カメラ側をカスタマイズすることでAndroid対応化する事業も展開。ブースでは、ファイバースコープの内視鏡や、肌を拡大撮影するエステ用スコープとの接続デモを披露していた。
また、ブースで最も目立っていたのは、メガネ型ウェブカメラデバイス「viewっとめがね」だ。福井県鯖江市にある株式会社三工光学が製造しているもので、メガネのブリッジ部分にカメラが内蔵されており、かけている人が見ている風景を撮影可能。マイクおよび骨伝導スピーカーも備えている。単体ではWindows/Mac OS X対応の製品だが、インフィニテグラではこれをAndroid端末で使えるよう、専用アプリ「VTMカメラ」とあわせて販売している。