エコシステムで成長するTwitter、ボットマーケティングもあり?


 オンラインゲームとコミュニティサービスをテーマにしたカンファレンス「OGC 2010(Online Game & Community Service Conference)」で17日、デジタルガレージの佐々木智也氏(TwitterカンパニーEVP)が「Twitter」の特徴やマーケティングの成功事例を紹介した。

Twitterエコシステムで成長

デジタルガレージの佐々木智也氏(TwitterカンパニーEVP)

 Twitterの特徴としてはまず、ユーザーが数秒前に発信した情報が検索結果に反映されることだと説明。また、つぶやきが一覧表示される「タイムライン」には、フォロワーによる「ソーシャルフィルタリング」がかけられているため、自分の関心に近い情報を受動的に収集できるとした。

 さらに佐々木氏は、「オープンプラットフォーム」であることも特徴だと説明。PCや携帯電話、ゲームなど端末を問わず投稿・閲覧できるほか、「Facebook」や「MySpace」などの他社サービスと連携を図っている。

 オープンプラットフォームを支えるのは、API公開により開発されたサードパーティ製のアプリケーションやサービスだという。携帯電話用の「Movatwitter」やiPhone用の「EchoFon」、PC用の「Twit」などのTwitterクライアントは、ユーザーが作り出したものだ。

 「Twitterを使った新しい価値観はユーザーが開発してくれている。これは、API公開による『Twitterエコシステム』が機能しているためだ。Twitter関連の書籍が次々と発売されるのも、『Twitterエコシステム』によるものといえる。」

 このほか、他のユーザーのつぶやきを転送する「リツイート」(RT)により、情報を「バケツリレー式」に拡散できると説明。「もともとRTは、ユーザーが自発的に作ったもの。Twitterは、この機能を自社サービスとして採用したに過ぎない」。

GoogleやYahoo!などの検索エンジンとの比較サードパーティ製のTwitterアプリ

Twitterマーケティングの成功事例

 「Twitterの価値」として佐々木氏は、1)速報性/伝搬性、2)双方向性、3)即応性、4)属人性、5)簡便性(プラットフォーム化の可能性)を挙げ、これらをマーケティングでうまく活用した事例を紹介した。

 例えば、靴下やストッキングなどの商品情報を配信する福助は、消費者からの質問に丁寧に返答し、消費者が気軽に質問できる関係を構築していると評価。従来は電話やメールなど「1対1」で行われていたやりとりが開示されることで、企業姿勢を見せられるとした。

 海外では、消費期限切れ間近のピザを安く提供するなど、リアルタイムならでは情報を配信する地域密着型のピザ屋の事例を紹介。こうしたタイムセールなどが奏功し、同社の売り上げの68.6%は、「Twitterを見て来た」というユーザーで占められるという。

 なお、Twitterを活用したキャンペーンでは、UCC上島珈琲が「コーヒー」や「懸賞」などのキーワードを含むつぶやきを機械的に判定し、ボットにより自動的にキャンペーンの告知メッセージを送信したことが問題となり、同社が謝罪する事態となった。

 この件について佐々木氏は、Twitter側ではボットによるメッセージの自動送信を推奨してないと語る一方で、「ユーザーに役立つものは作ってもらいたい」とコメント。ただし、「Twitterは人間性が表れる場」だとして、ユーザーの心情を考慮すべきと訴えた。

 「Twitterは、Googleのように『技術的な勝利』ではなく、『人間性の勝利』といえる。Twitterは、みなさんの力で盛り上がっていくものだ。」

 なお、佐々木氏によれば、Twitterのユニークユーザー数は全世界で6000万人以上、日本では300万人以上。米Twitterはユーザー数を公表していないため、ビデオリサーチインタラクティブやネットレイティングスなど第三者機関の発表に基づいている。

福助のマーケティング事例米国のピザ屋のマーケティング事例

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(増田 覚)

2010/2/17 20:08