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「PostPetVR」開発へクラウドファンディング、来年の誕生20周年に向け、原宿カルチャーとのコラボ展開も

Mac版に続いて1997年7月に登場したWindows版の「PostPet」(1997年7月10日付記事『ペットが飼える異色のメールソフト「PostPet」にWindows版が登場』より)

 来年1月の「PostPet」誕生20周年に向けて、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(So-net)がアニバーサリープロジェクトを始動した。きゃりーぱみゅぱみゅのMVの美術なども手掛け、“原宿kawaiiカルチャーの第一人者”とされるアートディレクターの増田セバスチャン氏とコラボレーションする。また、PostPetの生みの親であるメディアアーティストの八谷和彦氏が、PostPetの世界にユーザー自身が入り込める「PostPetVR」の提供に向けてクラウドファンディングを開始した。

 PostPetは、ピンクのクマがメールを運ぶというコンセプトの“愛玩電子メールソフト”として、1997年1月にベータ版ソフトとして登場したもの。PostPetのユーザー同士で、それぞれ飼っているペットを使ってメールをやり取りして楽しむ仕組みだ。その後、パッケージ版の「PostPetDX」「PostPet2001」「PostPet V3」へとバージョンアップされたほか、Windows CEベースのPostPet専用モバイル端末「Pocket PostPet」、ウェブメール版の「Webメールde PostPet」、さらに携帯電話向けのサービスやiアプリのゲーム、ニンテンドーDSソフトなども提供され、累計ユーザー数は1500万人以上になるという。また、PostPetの顔であるピンクのクマ「モモ」などのキャラクター展開も行われてきた。

 アニバーサリープロジェクトでは、増田氏とのコラボにより「おめでとう! 20歳のオトナとコドモたち」というテーマを設定。登場当時にPosPetを使っており、現在は30~40代になった古くからのユーザー層を「オトナ」、その子供にあたる年齢で、メールソフトというよりもキャラクターとしてPosPetを認知している層、あるいはまだPostPetを知らない層を「コドモ」とし、PostPetの新旧ファンに向けて、双方に喜んでもらえる企画を展開していくという。

 第1弾としては、原宿カルチャーを手掛けるアソビシステム株式会社とのコラボにより、年間を通じてアパレル展開を進める。人気古着店「サントニブンノイチ」のカリスマ店員・ゆうたろう氏とのコラボによる洋服も投入する見込みだ。24日に行われた記者会見では、増田氏によるPostPetの20周年記念ビジュアルが披露された。

アートディレクターの増田セバスチャン氏と、同氏によるPostPetの20周年記念ビジュアル
メディアアーティストの八谷和彦氏と、PostPetの20周年記念ロゴ
ゆうたろう氏が抱いているのは、タイトーのクレーンゲームの景品として来年4月より提供される予定の「モモ」のぬいぐるみ
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社PostPetプロデューサーの菊地大氏。アニバーサリープロジェクトの概要を説明した

 PostPetVRについては、株式会社ペットワークスが24日、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」でプロジェクトを公開し、支援者の募集を開始した。ペットワークスは、八谷氏らPostPetの開発メンバーが設立した会社で、So-netからの正式ライセンスを受けてPostPetVRを開発する。

 PostPetVRでは、ユーザーは、紙袋をかぶったキャラクター「アンノウン」になってVR空間に入り、PostPetのペットにおやつをあげたり、抱っこをしたりできるようになる。OSはWindows、VRゴーグルは「HTC Vive」「OculusRift CV1」に対応。今のところ、PlayStationVR版の予定はないという。

 支援コースは、1口5000円の「開発進捗ご案内コース」、9000円の「体験会ご招待コース」などのほか、ユーザーがPostPet V3で過去に飼っていたペットをPostPetVR内に召喚できる、1口3万6000円の「ドクターコース(V3ペット召喚付き)」もある。

 記者会見で八谷氏は、「ファンディングを達成できなくてもやりますが、支援してもらえるとうれしい」とコメント。一部コースの支援者へのリターンとして、モモのぬいぐるみとしてはいちばん最初に製造された「初代モモぬいS」を復刻することも明らかにした。

 さらに、CAMPFIREのプロジェクトページでは、目標額以上が集まった場合は、iOS/Android向けの「スマホ版PostPet」の開発費用に充てる考えを示している。

 かつて八谷氏らは、TwitterのDMの仕組みを使ってペットをやり取りするTwitterクライアント「PostPetNow」の開発を進めたものの、Twitter APIの仕様変更などもあり、これを中止した経緯がある。スマホ版PostPetは、PostPetNowをベースに開発。今回のPostPetVRのクラウドファンディングは、スマホ版PostPetのニーズを見極めるテストマーケティングでもあるとしている。

 さらにスマホ版PostPetの開発が正式決定した場合は、スマホ版PostPetから送信したメールを、PostPetVRでユーザー自身が運ぶ機能も実装するという。

24日に開催された「PostPet」誕生20周年アニバーサリープロジェクトの記者発表会

 アニバーサリープロジェクトのこのほかの商品展開としては、「モンチッチ」などのぬいぐるみを手掛ける株式会社セキグチとのコラボや、株式会社タイトーのクレーンゲーム向けの景品化などが決定している。国内にとどまらず、韓国や台湾でもぬいぐるみを販売するほか、カナダのアパレルブランド「SUPER BORED」でパーカーやニットキャップなども展開。そのほか、公式オンラインショップでのスマートフォンケースやTシャツの販売、LINEスタンプ化、手ぬぐいアーティストやフェルト作家、マンガ家とのコラボ、PostPetの内装のカフェのオープン(渋谷)などが予定されている。また、従来から行っている乳がん検診の普及・啓発運動「ピンクリボン」についても、2017年も引き続きサポートしていく。