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人質Androidを遠隔から奪還する新機能も、セキュリティアプリ「ウイルスバスター モバイル」新バージョン発売

 トレンドマイクロ株式会社は、Android/iOS用のセキュリティアプリ「ウイルスバスター モバイル」の最新バージョンを9月7日に発売した。まずはダウンロード版の提供となり、パッケージ版の店頭発売は10月5日の予定だ。

ランサムウェア感染からの復旧支援機能、Android版に搭載

 新バージョンでは、多様化するモバイル脅威への機能を拡充したという。その1つが“モバイルランサムウェア”への対策だ。

 トレンドマイクロが今年1~6月に全世界で確認した新種のモバイルランサムウェアは23万5200種類に上り、昨年同時期の約4.9倍に増加した。同社によれば、モバイル端末を狙うランサムウェアの手法は、端末内のファイルを暗号化して人質に取るのではなく、画面をロックしたり、端末のパスワードを勝手に変更するなとして、端末を利用できないようにする手法が多いという。

 万が一、こうしたモバイルランサムウェアに感染した場合でも、遠隔で画面ロックを解除できる機能をAndroid向けの新機能として搭載した。

 ウイルスバスター モバイルには端末の最適化機能が搭載されており、バックグラウンドで動作しているアプリやサービスを停止することができるようになっているという。その機能を、ウイルスバスターユーザー向けの管理ウェブサイト(盗難/紛失時の対策Web)上から遠隔で動作させることで、端末画面を占有するタイプのモバイルランサムウェアを停止させる仕組みだ。

「盗難/紛失時の対策Web」(画面向かって右)から、ランサムウェアが起動しているAndroid端末(左)の画面ロックを遠隔解除するデモ

 すべてのモバイルランサムウェアに対応できるわけではないが、同機能によってモバイルランサムウェアをうまく停止させることができれば、その間にアンインストールするなどの操作が可能になるとしている。端末のパスワードを勝手に変更するタイプのモバイルランサムウェアに対しても同様に、ウイルスバスター モバイルがさらに強制的にパスワードを変更することで対処する。

iOS版の不正サイトブロック機能、SafariやLINEなどのアプリ内ブラウザーでも動作

Safari上での不正サイトブロック機能

 iOS版では、不正サイトへのアクセスをブロックする機能を拡充した。これまでも、トレンドマイクロが提供する「セーフブラウザ」アプリを使うことで、不正サイトへのアクセスブロックや、URLフィルタリングが可能だったが、今回の新バージョンでは、iOSの標準ブラウザーであるSafariや、Facebook、LINEなどのアプリ内ブラウザーでも機能するようになった。ウイルスバスター モバイルの「保護者による使用制限」機能から設定できる。

 トレンドマイクロによると、Androidと異なり、iOSではSafariなど他のアプリに対して直接的にウェブページをブロックすることなどができない仕様になっているという。iOSにおけるこの制約に対して新バージョンでは、Appleへの申請により利用できるNetwork ExtensionというAPIを活用。Safari、Chromeといったブラウザーアプリや、LINE、Facebookのアプリ内ブラウザーなど、ブラウザー関連アプリにおけるアクセス先URLを端末ローカルでモニターすることで、不正サイトなどをブロックする仕組みを採用した。ただし、一部のブラウザーやアプリ内ブラウザーにおいては、アプリの仕様によって動作しない場合があるとしている。

 なお、ウイルスバスター モバイルのAndroid版ではすでに標準ブラウザーやChromeにおいて、同様の機能が動作するようになっていた。また、Android 4.1以上では、LINE、WhatsAppといったメッセンジャーアプリでやり取りされるURLをウイルスバスター モバイルが読み取り、危険性が高いURLを検出すると警告する機能も提供されている。

マルチデバイス対応「ウイルスバスター クラウド」にもバンドル

 ウイルスバスター モバイルの「トレンドマイクロ・オンラインショップ」での販売価格(税込)は、1年版が3065円、2年版が5637円。このほか、Android版はGoogle Play、iOS版はApp Storeでも購入でき、1年版・2年版のほか、月額版もある。Google Playでの販売価格(税込)は、1年版が3065円、2年版が5637円、月額版が300円。App Storeでの販売価格(税込)は、1年版が3000円、2年が版5800円、月額版が360円。

 単体販売のほか、マルチデバイス対応の「ウイルスバスター クラウド」にも、ウイルスバスター モバイルが含まれており、Windows、Mac、Android、iOSの端末で最大3台まで利用可能だ(ウイルスバスター クラウドについては、2017年9月8日付関連記事『ランサムウェアを機械学習した「ウイルスバスター クラウド」新バージョン発売』参照)。