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SOCを一般家庭にも、30周年のトレンドマイクロが2018年の新たな事業戦略

トレンドマイクロ株式会社代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏
トレンドマイクロ株式会社取締役副社長の大三川彰彦氏

 The Best of SOCを提供する会社になる――。トレンドマイクロ株式会社が27日、事業戦略発表会を開催、同社代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏、取締役副社長の大三川彰彦氏らが登壇し、創業30周年となる2018年の事業戦略の1つとして、SOC(セキュリティオペレーションセンター)事業の展開を発表した。自社でSOCを保有しているような大企業向けの支援ツールのほか、中堅企業がSOCをアウトソーシングできるマネージドセキュリティサービスパートナー(MSSP)向けのソリューション、さらには、中小企業やコンシューマーがサブスクリプション制で利用できるSOCサービスも展開するという。

 IoTの進展などによりインターネットに接続されるデバイスが増加する中、そうした“つながる世界”を安心して利用できるようにするためには、日々発生するさまざまなサイバー脅威を一元的に可視化し、迅速に対応するためのSOCが重要になってくるとの考えからだ。

 一方で、現状のSOCでは、大量のアラートの監視、個々のイベントの管理、脅威へ対応するためのレポートの作成といった各プロセスで課題を抱えているという。これに対してトレンドマイクロでは、未知の脅威を迅速に検知し、インシデントの根本的な原因・影響の分析や、脅威への自動化された対応を迅速に行えるようにするツールを提供することで、SOCの運用効率化を支援する。

 自動車、監視カメラ、IoTゲートウエイ、ロボット、スマートシティ、ヘルスケアなど、IoTデバイスの分野・業種に応じた監視機能・脅威への対応機能を、通信事業者やIoTサービスプロバイダー、IoTデバイスメーカーなどに提供する「IoT SOC」も展開する。

 中小企業やコンシューマー向けのサブスクリプションサービスは、キャリアグレードのSOCソリューションを開発し、ISPやキャリアなどに提供。ISPやキャリアが加入者向けに月額数百円程度でサービスを提供する形態を想定している。また、トレンドマイクロ自身もセキュリティ製品パッケージの付加サービスとしても提供する予定だ。

 トレンドマイクロでは従来より、セキュリティソフト「ウイルスバスター」の上位パッケージとして、デジタルライフのトラブルなどに対応するプレミアムサポートサービスを提供しているが、インシデントの発生後に連絡を受けてサポートするものであり、また、全ユーザーに対して共通のソリューションが提供されていたという。

 これに対して新たに展開する“コンシューマーSOC”では、インシデント発生以前に各家庭の環境が安全かどうかを検査するほか、ユーザーが気付いていない疑わしい脅威を発見し、インシデントが発生する前に通知してソリューションを提供するなど、プロアクティブなサポートを実現する。また、ユーザーのプロファイルに応じてカスタマイズされたソリューションも提供するということもいう。現在、実験中だとしており、2018年中のサービス提供開始を予定している。