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国内のフリーランス経済規模が20兆円を超える、1人あたり年間186万円へと生産性が向上

ランサーズが「フリーランス実態調査2018年版」発表

ランサーズ株式会社代表取締役社長の秋好陽介氏
ランサーズ株式会社取締役CSO/CFOの曽根秀晶氏

 日本国内におけるフリーランスの人口は1119万人、経済規模は20兆1200億円に上るとの推計結果を、ランサーズ株式会社が4日、発表した。フリーランス人口は2017年の1122万人から横ばいだが、経済規模は18兆4800億円から9%成長した。フリーランスの1人あたりの年間報酬額が、平均165万円から186万円へと12%増加したという。

 株式会社マクロミルによるオンライン調査を今年2月に実施し、その結果をもとにランサーズが「フリーランス実態調査2018年版」を取りまとめた。オンライン調査は、直近1年間に仕事の対価として報酬を得た全国の20~69歳の男女を対象に行われ、有効回答数は3096人、そのうちフリーランスが1550人。

 これによると、直近1年間に報酬があった人は5986万人で、このうち非フリーランスが4867万人、フリーランスが1119万人と推計されている。フリーランスは、日本の労働力人口の約6人に1人(17%)を占めるまでになり、その20兆円超の経済規模は、日本の企業が支払った給与の総額(200兆円)の1割程度にあたるという。

 なお、この調査におけるフリーランスの定義は、「自由業系フリーワーカー」「自営業系独立オーナー」といった旧来からのタイプのほか、新時代のタイプだとする「副業系すきまワーカー」「複業系パラレルワーカー」という“副業フリーランス”も加えた広義のフリーランスを指している。

 フリーランス人口1119万人の内訳は、自由業系フリーワーカーが53万人(5%)、自営業系独立オーナーが322万人(29%)、副業系すきまワーカーが454万人(41%)、複業系パラレルワーカーが290万人(26%)。

 副業フリーランスの職種としては、従来より副業というイメージが強かった接客・作業系が依然として最も多いが、営業・経理・人事などのビジネス系の仕事も半数を超えるなど、職種が多様化しているという。

 また、従来は主婦など女性のパート従業員のイメージが強かった副業系すきまワーカーだが、現在は男性が進出してきており、64%を占めるようになったほか、他の3タイプに比べて20代・30代の若年層が多く、半数を占めているという。

 フリーランスの仕事による平均年収は、自営業系独立オーナーが356万円、自由業系フリーワーカーが157万円、複業系パラレルワーカーが154万円、副業系すきまワーカーが74万円。ランサーズによれば、自由業系フリーワーカーと副業系すきまワーカーにおいて生産性が向上しており、昨年比で20%以上伸びているという。

 フリーランスが仕事を探す経路(複数回答)としては、人脈(知人の紹介含む)が57%、過去・現在の取引先が18%、広告宣伝(Web・SNS)が15%、クラウドソーシングが12%、広告宣伝(雑誌・新聞)が8%、エージェントサービスの利用が6%、シェアリングサービスが2%など。人脈が大半を占めており、特に旧来タイプのフリーランスでこの経路が多いという。一方で、クラウドソーシングやシェアリングサービスの割合が増加傾向にあり、特に副業フリーランスにおいてオンライン利用のケースが増えているとしている。

 ただし、オンラインでフリーランスの仕事を見つけ、受注し、納品したことのある人の割合は15%(推定169万人)にとどまる。

 米国の調査会社が2017年7月に行った調査では、米国のフリーランス人口は5730万人で、労働力人口の約3人に1人(35%)。また、仕事を探す経路のオンライン化率についても、米国は59%(推定3380万人)に上っている。

 ランサーズでは、日本のフリーランス経済規模の伸びしろはまだまだあるとする一方で、フリーランスのオンライン化のように、日米で構造的な差がまだ大きい点について課題を解決していく必要があるとしている。