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パナソニックで失われた“多品種少量生産”を目指す元Cerevoの岩佐氏、「Shiftall」社内はエッヂの効いたプロダクトだらけ!

木製“名札掛け”をIoT化→勤怠管理ボットと連携

株式会社Shiftall代表取締役CEOの岩佐琢磨氏

 IoT製品の開発・販売を手掛ける株式会社Shiftallは25日、報道関係者向けに同社オフィスを公開し、今後の事業方針について説明会を行った。

 Shiftallは、4月にパナソニックがハードウェアスタートアップのCerevoから買収した新会社で、オフィスは東京大和化成ビル(東京都中央区)の4階に構えている。代表取締役CEOには元Cerevoの岩佐琢磨氏が就任しており、6月時点で27人の従業員を抱える。今後はパナソニックのビジネスイノベーション本部などと連携した製品開発を行っていくという。

 なお、Cerevoではこれまで培ってきたIoT製品の技術やリソース、ノウハウなどを、より広範囲な顧客に提供するため、ハードウェアプロダクトの共同開発、製造および設計の業務比重を高めるとしている。

ニヤッと笑ってネタになるプロダクトを作りたい

 岩佐氏によると、Shiftallでは独自ブランドの製品開発のほか、パナソニック製品の開発のサポートを行っていくという。Cerevoで培ってきたIoT製品の開発のノウハウを生かし、パナソニックが企業規模の拡大によって失われたという、多品種少量生産を目指すという。すでに中国・深センで工場候補の視察も行ってきたそうだ。

 「Cerevoの一部を切り出すかたちでパナソニックに売却した。『こんなの作ったのね』とニヤッと笑ってネタにしていただけるような、エッヂの効いたプロダクトを作っていきたい」と岩佐氏は意気込む。

 すでにパナソニックのエンジニアもShiftallのオフィスに常駐しており、共同開発を行っている製品もあるそうだ。

 なお、同日にはShiftallの企業ロゴも公開された。「俊敏に変化する」をキーワードに、左端の“S”の文字には赤青黒の3色をずらして疾走感を出すデザインにしたそうだ。なお、岩佐氏によると赤青黒の3色は「ほとんどの家電メーカーが企業ロゴに採用している色」という。

同日公開されたShiftallの企業ロゴ。左端の“S”の文字には赤青黒の3色をずらして配置

昭和テイストな勤怠管理用名札掛けをIoT化、ゴミ当番もボットが決定

 “エッヂの効いたプロダクト”を体現するものは、社内用に開発したというIoT製品や勤怠管理システムにも見て取れた。

 例えば、出勤状況をボットに話しかけることで出勤簿にログが記録される勤怠管理システムが導入されているが、このシステムと連動した専用の名札掛け「勤怠管理BoT連動名札くん」がオフィスに設置されている。社員は、木の札に赤・黒で名前が書かれた名札の裏表を掛け替えることで出勤/退勤申請ができるようになっており、各社員の出勤状況はウェブ上の座席表にもリアルタイムで反映される。チャットボットを使った勤怠申請も便利だが、書き込み自体を忘れがちになることから生まれたアイデア製品だそうだ。

チャットで出勤申請が可能な勤怠管理システムだが、書き込みを忘れることも…
入り口付近には勤怠管理システムと連動した専用の名札掛けを設置。出勤者は名札の裏表を変えるだけで申請できる
名札掛けの裏面

 このほか、ゴミ当番をボットが自動的に決める専用スイッチ「五味捨代スイッチ」や、ZigBee対応に改造された訪問者用の金属製ベル「WeChime」がある。ベルはオフィスの入り口付近に設置されているが、社員の作業スペースまで音が届きにくい問題があったという。そこで、ZigBee接続の腕型装置を制作し、これが自動的に連動して、オフィス内部に置いてある別の金属製ベルを叩き鳴らすようにしたそうだ。あえてアナログなベルを採用しているところにも同社の遊び心が感じられる。

五味捨代スイッチ
訪問者用ベル「WeChime」

 オフィスのレイアウト設計や一部の改装工事には社員が携わるなどこだわりを持っている。天井は開放感を出すために天井材が取り払われており、一部エリアには手作りの机などが設置されている。机は9×400cmの角材を木工用ボンドで圧着し、電動カンナによる表面処理も行ったそうだ。

天井部分は取っ払い、開放感を出すようにした。社員の机とは別のエリアにある作業スペースには各種工具が並べてある
改装前の状態
机は社員の手作り