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近代科学社が「教科書発掘プロジェクト」、理工系の授業で使っている原稿を先生から募集、書籍化して市販

 理工学書などを手掛ける出版社の株式会社近代科学社は1日、同社の創立60周年を記念した「教科書発掘プロジェクト」を開始した。大学や高等専門学校などで実際に授業で使っている原稿を募集し、電子書籍およびプリントオンデマンド(POD)による印刷書籍として同社から出版する。

 大学・高等専門学校などの学生に向けた理工系教科書10タイトルを募集する。募集期間は7月31日まで。応募資格として、すでに自身の授業で使用している原稿であること、2020年4月から授業で教科書として使用する予定があることなどの条件がある。

 50ページ以上であれば出版可能のため、クォーター制授業の教科書などにも対応できるという。また、電子書籍とPOD書籍ということで、任意のタイミングで改訂でき、品切れの心配もないとしている。

 近代科学社では昨年8月、大学などの理工系研究者から原稿を募り、電子書籍とPOD書籍で出版するレーベル「近代科学社Digital」を立ち上げている。教科書発掘プロジェクトも、その仕組みを利用するものだ。ただし、通常は著者が負担しなければならない「出版分担金」が、このプロジェクトでは無料となる。

 「何度も授業で使って、学生からも『分かりやすい』と評価されている原稿を教科書にして出版する。書籍の出版経験がない、また、地方在住で相談できる出版社がない先生方に、デジタルパワーを活用して広く出版の門戸を開き、世の中の教科書の選択肢を増やしたい。」(近代科学社)

「近代科学社Digital」の既刊書籍(参考画像)

 自費出版/セルフパブリッシングとの違いとしては、原稿に編集者の目が入り、必要に応じて市販書籍に適した内容・体裁にブラッシュアップされること、近代科学社のISBNコードが付与された書籍として発行されるたことなどを挙げている。電子書籍はAmazonなど各種オンラインストアで販売されるほか、POD書籍は大学生協をはじめとする書店でも販売。国会図書館にも納本するという。販売部数・金額に応じた印税(電子書籍:売上金額の25%、POD書籍:販売価格の10%×販売数)も支払われる。