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昨年のPC出荷は1480万台で3割増、ただし今年は3割減? JEITAがAV&IT機器の需要見通しを発表

4Kテレビはいよいよ半数超える

 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、「AVおよびIT機器の世界需要動向調査~2024年までの展望~」を発表した。

 同調査は、1991年に開始して以来今年で30回目となるもので、PCやタブレット端末などの「IT機器」、フラットパネルテレビなどの「テレビ放送受信機器」、レコーダーやデジタルビデオカメラなどの「録画再生機器」、カーオーディオなどの「カーAVC機器」の各カテゴリーの世界需要動向をまとめている。

 今回は調査対象品目を大幅に見直し、音声機器は「スピーカーサウンドシステム」として調査。カーAVC機器では新たに「ドライブレコーダー」、「カーナビゲーションシステム(IVI)」、「カーナビゲーションシステム(PND)」を追加した。

 なお、同調査の報告書は、表紙の色が黒いことから、通称「黒本」と呼ばれている。調査協力は富士キメラ総研。

2019年の国内PC出荷は前年比35.2%増Windows 7のサポート終了と増税前の駆け込み需要が追い風に

世界のPC出荷数グラフ

 PCの2019年の世界需要は、前年比2.8%増の2億7290万台。Windows 7のサポート終了にあわせて、新OSへと切り替える駆け込み需要が増加の要因。

 だが、新たなPCへの買い替え需要の増加のピークが、2018年と2019年にまたがって発生したこと、主要部品のひとつであるCPUの一部製品がひっ迫し、生産および供給が需要に追いつかなかったことで前年比微増になったと分析している。

 日本では前年比35.2%増の1480万台。世界需要に比べて成長率が高いのは、Windows 7のサポート終了による特需が、日本では2019年に集中したのに加えて、消費増税前の駆け込み需要が追い風になったのが理由だ。

 形状別では、ノートPCの世界需要が前年比4.8%増の1億6450万台。日本では33.3%増の1000万台となった。これに対して、デスクトップPCは、世界需要が前年比0.1%減の1億840万台。

 日本では39.1%増の480万台となった。全世界では5台に2台がデスクトップであるのに対し、日本では3台に1台がデスクトップPC。海外でのデスクトップPCの比率が高いことがわかる。

2020年は「3割減」を見込むも、GIGAスクール構想などで今後上乗せ

 一方、2020年以降については、買い替え需要の反動により、前年比微減に転じると予測。2020年の世界需要は前年比1.8%減の2億6790万台と予測。ただし、日本では2019年に需要が集中したことからその反動が大きいと予測。前年比33.4%減の985万台にまで減少すると予測した。市場規模が3分の2まで縮小することになる。

 だが、同調査を行った段階では、政府主導によるGIGAスクール構想が盛り込まれておらず、生徒児童1人1台の実現に向けた端末整備の計画が、予測値に上乗せされると見た方がいいだろう。2020年の日本でのPC需要の落ち込みはもう少し緩和されそうだ。

 世界需要では、2024年まで微減傾向が続き、2024年の需要見通しは、2億5750万台。そのうち、ノートPCが1億6090万台、デスクトップPCが9660万台。日本でも2021年以降は微減傾向が続き、2024年には977万台。そのうちノートPCは722万台、デスクトップPCは255万台と予測した。

 世界需要では、「今後は、新OSへの切り替えを背景とした大規模なハードウェア需要増が発生する可能性が低く、耐用年数経過による買い替えが中心になる。だが、従来4~5年だった買い替えサイクルは長期化の傾向にある」としている。

 その一方で、「ノートPCからデスクトップPCへのシフトが進むが、デスクトップPCでは、eスポーツ人口の増加に伴い、高機能ゲーミングPCの需要が拡大。日本では働き方改革の進展に伴うノートPCへの買い替えが増加。

 特に日本では、薄型、軽量モデルの需要増加がノートPCの需要回復を後押しする」とした。日本においては、2021年以降、ノートPCは前年比で、1%台の微増で推移すると予測している。

需要減少のタブレット、小型は大画面スマホと競合

 タブレット端末は、市場規模が減少傾向にある。

 2019年におけるタブレット端末の世界需要は前年比7.6%減の1億7100万台、日本では前年比7.2%減の803万台となった。日本においては、個人向けが前年比10.9%減の570万台、法人向けが3.6%増の233万台。

 全体的に、6型などの大画面スマートフォンや、2in1ノートPCへの需要シフトがマイナスに影響。「10型以上の高機能タブレットでは一定の需要があるが、大画面スマホと競合する7型などの小型タブレットで需要が減少している。

 日本では、金融分野における需要増加が顕著であったが、この分野における新規需要は飽和しつつある。個人向けは、通信キャリアによる回線付きタブレットが需要を支えてきたが、今後は通信料金と端末料金の完全分離が定着することで、この販売手法が下火になる」とみている。

 2020年のタブレット端末の需要は、全世界が前年比4.7%減の1億6300万台、日本では、前年比3.5%減の775万台。そのうち、個人向けが7.0%減の530万台、法人向けが5.2%増の245万台。

 さらに、2024年に向けては、世界需要は1桁台の減少が続き、2024年には1億4000万台にまで縮小。日本でも、2024年には752万台にまで縮小すると予測している。2024年の国内個人向けは480万台、法人向けは272万台。

 国内法人向け市場は、2024年まで前年実績を上回る形で推移すると予測。「金融分野の買い替え需要、ICT化が進む文教分野、在庫管理端末や受付端末などの特定業務用端末を中心とした堅調な需要増加が見込まれる」としている。

 また、2021年には国内のタブレット需要が前年実績を上回ると予測しているが、これは5G通信のサービスが本格化することを背景としたものだ。2021年の国内需要は、前年比1.4%増の786万台と予測しているが、これは個人向け需要を中心とした一時的なものと予測。2022年からは国内タブレット市場全体は再び減少に転じると予測している。

今年のフラットパネルテレビ需要は26.6%増の616万台オリンピック/パラリンピックの影響で大幅成長か

 一方、フラットパネルテレビの世界需要は、2019年が前年比0.1%減の2億4111万台、2024年には2億5639万台に達すると予測。日本では、2019年が前年比7.9%増の487万台であったものが、2024年には510万台に拡大すると予測した。

 日本においては、2020年には東京オリンピック/パラリンピックにあわせてテレビ需要の喚起が見込まれ、前年比26.6%増の616万台と大幅な成長を遂げると予測しているが、その後は需要の反動や、スマホによる動画視聴との競合により、1家庭あたりのテレビ保有台数が減少すると見込まれ、前年割れで推移すると予測した。

4Kテレビは今年42.2%増の366万台と予測

 4Kテレビは、2019年には、全世界で前年比31.3%増の1億2178万台、日本では前年比29.6%増の258万台となった。

 日本では、2011年の地上デジタル放送への移行時に導入されたテレビが買い替え需要期に入っていることから、40型以上の製品への買い替え需要が高まっていること、新4K8K衛星放送チューナーを搭載したテレビのラインアップが増加していること、消費増税前の駆け込み需要が後押し。

 4K化率は半数を超えたという。2020年の国内の4Kテレビの需要は前年比42.0%増の366万台と予測。だが、2022年以降は市場が縮小。2024年には359万2000台になると予測した。

 「ストリーミング型の動画配信サービスの拡充や、光回線においてもパススルー方式で4K対応が進むなど、4Kテレビの需要増加が続く。2024年の日本での4K化率は70.5%に達する」と見ている。

 また、8Kテレビは、2019年における世界需要が前年比13倍となる37万台。日本では前年比2.7倍の8000台。2020年には世界需要が前年比4.3倍の157万台となり、日本では前年比4.4倍の3万5000台。2024年には世界需要が933万台、日本では42万台と予測。2024年の日本における8K化率は8.2%を見込んでいる。

ドライブレコーダーは認知度の向上で需要も増加

 カーナビゲーションシステムは、2019年の世界需要が前年比5.8%減の4242万台、日本では1.7%減の604万台。2024年の世界需要は3662万台、日本では581万台。新車販売台数の減少や、PND(Portable Navigation Device)やスマホとの競合などがマイナスに影響するとみている。

 今回から調査を開始したドライブレコーダーは、2019年の世界需要が前年比13%増の2536万台、日本が35.1%増の480万台。2024年は世界需要が3356万台、日本が800万台になると予測した。

 「衝突事故時や事件などの映像を記録として残し、証拠として裁判に用いることも可能である。日本では、ニュース報道などで映像が流れ、ドライブレコーダーの認知度が向上したことで需要が増加している。

 後方撮影が可能な2カメラ製品や360°撮影が可能な製品の需要が増加している。ユーザーが市販品を装着する場合が6割、ディーラーオプションやメーカーオプションで装着する場合が4割となっている」という。