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7割が在宅勤務、セキュリティ監視センターもテレワーク~「見えてきた課題と事業を止めないためのヒント」をラックが公開

 株式会社ラックは、同社が一斉に取り組んでいるテレワークにおいて見えてきた課題とその対応、社内アンケートの結果を公表した。ラックでは約70%がテレワークを行っており、セキュリティ監視も在宅勤務できるという。ラックでは「私たちのテレワーク定着への取り組みをご紹介するとともに、社員へのアンケートを通じて明らかになった課題をご紹介し、テレワークの導入や推進をしている皆さんの参考としていただけたらと考えている」としている。

「社外からの接続はVPN」を頑なに守るだけではダメ

 ラックでは、1月下旬ごろから新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止対応を検討していたという。その後、3月27日には首都圏の拠点についてテレワークの移行を決定。さらに、その直後、対象を全国に広げた。

 4月末現在、部門別で見ると、コーポレート部門(総務・人事・業務など)は90%、セキュリティ事業部門は80%、システム開発事業部門は70%がテレワークを行っている。コーポレート部門が出社するのは、契約書類への押印や郵便物の仕分けのため。これらの作業は交代で出勤をしていたため、テレワーク率が高くなっている。

ラックの事業部門別のテレワーク率

 ラックの重要な事業として、セキュリティ監視があり、日頃から災害を想定した訓練を実施。テレワークに移行しても問題なく事業を継続している。これらのテレワークは主に自宅で行うことになるが、日常から従業員に対して教育を行っているためスムーズに移行できたとしている。また、従業員に最新のセキュリティ情報を伝えることも重要だとしている。

 このように、さまざまな準備や教育を行っていたラックでも、VPNでの接続が急激に増え、事業に支障を来す事態が起きた。しかし、一部のクラウドサービスの構成を変更し、VPNを使わなくてもセキュリティレベルを落とすことなく利用できるように設定を変更した。「社外からの接続はVPNを使わなくてはならないといったセキュリティポリシーを頑なに守るだけでは、業務を滞りなく行える環境が実現できなくなる」としている。

 また、テレワークを開始した3月23日は、新入社員が入社するまで1週間しかなかった。しかし、4月1日の入社までに全新入社員にリモートワークの環境を整え、リモートで新入社員の研修が行えた。

テレワークで「雑談」が減少、毎朝の「オンライン雑談」でコミュニケーションを

 社員へのアンケートの結果では、テレワークにおけるコミュニケーションに関して、75%は「特に問題ない」と答えている。さらに、6%は「むしろスムーズに意思疎通できるようになった」との回答もあったため、「合理的に仕事が進められるという傾向がうかがえる意見があった」としている。

 その一方で、18%は「コミュニケーションに問題があり、業務に支障が出た」と回答している。理由としては「ブレインストーミングなど発散型の会議はやりにくい」「ちょっとした頼み事がしづらい」「打ち合わせ後や、席に立ち寄って会話する雑談の機会が無くなった」が挙げられている。

アンケート結果のワードクラウド

 このようにテレワークでは雑談が少なくなる傾向がある。そのためラックでは、毎朝オンラインで雑談をしているという。ここでは、日々の生活や趣味の話など、テーマを決めないで行っている。「チャットツールの活用は、業務上の用件を片づけるためだけでなく、多様な使い方があるのだと実感している」「むしろ以前よりもコミュニケーションの量は増えているようにも感じる」という。

 テレワークによる生産性だが、「環境の変化に伴い、一時的に生産性が低下した」という従業員もいたが、90%を超える社員は「以前より生産性が向上した」と回答している。理由としては、「通勤や打合せの移動時間が無くなり時間的・体力的に圧倒的に余裕ができた」「自主学習の時間に充てることができるようになった」といった主に通勤時間がかからないというメリットを挙げている。