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大賞はTBSの金曜ドラマ「最愛」に決定、2021年の「AMDアワード」

「“テレビの強さ”が少し出てきたかな」と夏野剛審査員長が総評

「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'21/第27回AMDアワード」受賞者と審査員

 一般社団法人デジタルメディア協会(Association of Media Digial:AMD)は3月14日、「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'21/第27回AMDアワード」の授賞式を東京都内で開催した。

 AMDアワードは、最新のデジタルコンテンツの中から優秀作品・サービスを選定し、制作者を表彰するもので、作品の質的向上と人材育成の促進を目的として開催している。2021年1月1日~12月31日の間に発売・発表されたデジタルコンテンツおよびサービスを対象とした年間コンテンツ賞「優秀賞」の11作品および「功労賞」「江並直美賞(新人賞)」「リージョナル賞」はすでに発表されており、今回の授賞式では優秀賞の中から「大賞/総務大臣賞」および「AMD理事長賞」を選出した。

授賞式には吉高由里子さん、山田裕貴さん、「いらすとや」のみふねたかしさんらが登場

 大賞/総務大臣賞は、「TBS 金曜ドラマ『最愛』」(TBSスパークル/TBSテレビ)に決定。AMD理事長賞には「東京リベンジャーズ」(講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会/ポニーキャニオン/ライデンフィルム/映画「東京リベンジャーズ」製作委員会/フジテレビジョン)が選出された。

「最愛」主演の吉高由里子氏

 「最愛」は見逃視聴配信の初回配信数が286万7362回と歴代ドラマの配信記録を塗り替え、全話総配信数でも2665万4976回で1位となった。純愛と謎をモザイクのように描くオリジナルストーリーや一瞬一瞬の俳優の演技と功名な映像カットがインターネットでも話題となり、テレビとオンラインの双方で盛り上がりを見せた。

 授賞式では、主演の吉高由里子氏が登壇。吉高氏は「この作品はゼロから生みの苦しみから始まったドラマで、本当にひとつひとつ丁寧に紡いで作ってきた作品だと思っていて、その作品を見てくださった皆様の中で育んでくださって、ここまで大きく広がって、長く残る作品になったと思います。このような作品に携われたことに大変感謝しています」とコメントした。

「東京リベンジャーズ」実写映画に出演した山田裕貴氏

 「東京リベンジャーズ」は、原作漫画が累計5000万部を超えるヒットとなるとともに、実写映画も実写による邦画の2021年トップの興行収入となった。実写およびアニメを同時期に展開し、両方がヒットするのも珍しく、暴走族チームが登場する古典的なヤンキー漫画にタイムリープや歴史改変などのSF要素を絡めた設定の妙から、女性からの支持も高く幅広い人気を博した。

 授賞式では実写映画に出演した山田裕貴氏が登壇。山田氏は「このご時世の中、撮影がとても大変でした。撮影が止まりそうなときに、ここにいる岡田プロデューサーが涙を流しながら言葉を掛けてくれましたし、監督も『申し訳ない』とぼくたちに声を掛けてくれました。主演の北村匠海君をはじめ、スタッフのみんなでとても熱い気持ちで現場にいられたのは、みんなの思いだと思います」と語った。

「いらすとや」のみふねたかし氏

 なお、大賞/総務大臣賞およびAMD理事長賞の発表に先立って、優秀賞の授賞式も行われた。インターネット関連のサービスとしては、「いらすとや」(みふねたかし氏)が受賞。みふね氏はビデオメッセージで、「いらすとやに限らず、小さな挿絵であったり、ロゴマークといったものは、あまり目立ちませんが、みなさんの生活を影ながら支えている部分というのも少なからずあると思います。これを機会に、ぜひそういったものにも興味を持ってもらえるとうれしいです」と語った。

文化庁の中原裕彦氏

 また、今回は「放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関する制度改正」(文化庁)も優秀賞として選出された。放送同時配信などについて放送と同様に権利処理を円滑化し、ネットで活用しやすくする制度改正で、2022年1月1日に施行された。授賞式では文化庁の審議官を務める中原裕彦氏が登壇。「この制度改正は、放送と同様の円滑な権利処理を可能にする観点から、権利制限規定の拡充、許諾推定規定の創設、レコード/レコード実演の利用円滑化、映像実現の利用円滑化、協議不調の場合の裁定制度の拡充といった5つの制度から成り立っており、総合的な対策を講じています。制度改正については多くの関係者の皆様のご尽力とご理解のもとに成り立っており、この場を借りてお礼を申し上げます」と語った。

eかみしばいコンテスト実行委員会実行委員長の米谷雄介氏

 このほか、リージョナル賞として、「eかみしばいコンテスト~まちのデータ地図ちーず~」(香川大学創造工学部講師/eかみしばいコンテスト実行委員会実行委員長 米谷雄介氏)も選出された。実行委員長の米谷氏は授賞式にて「『eかみしばい』と『まちのデータ地図ちーず』はデジタルメディアコンテンツでもあり、地域のコンテンツ制作プラットフォームも目指しています。高齢者、子ども、外国人などさまざまな人から感じた地域をかたちにしてもらって、それを地域の中でみんなで共感する、そういう場づくりを大事にしています」と語った。

AMDアワード審査員長の夏野剛氏

 AMDアワード審査員長の夏野剛氏(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別招聘教授)は総評として、「今年の特徴として、“テレビの強さ”というのが少し出てきたかな、と思っています。テレビで制作しているみなさんがデジタルやインターネットを意識されていて、インターネットやSNSを積極的に、いろいろなかたちでドラマやアニメ、映画を視聴者の目に触れるようなかたちで利用し、しかもそれがクリエイティビティにもつながっているということが非常に力強いなと思いました」と語った。

作品名/団体名受賞者/制作・関連会社等
▼優秀賞
いらすとやみふねたかし
ウォーリー木下ウォーリー木下
ウマ娘 プリティーダービー株式会社Cygames
最愛株式会社TBSスパークル
株式会社TBSテレビ
THE FIRST TAKETHE FIRST TAKE
シン・エヴァンゲリオン劇場版株式会社カラー
新宿東口の猫株式会社クロススペース
株式会社オムニバスジャパン
株式会社ユニカ
東京リベンジャーズ株式会社講談社
アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会
株式会社ライデンフィルム
映画「東京リベンジャーズ」製作委員会
株式会社フジテレビジョン
日本沈没ー希望のひとー株式会社TBSテレビ
歌姫 Belle(映画『竜とそばかすの姫』)Belle(中村佳穂)
放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関する制度改正文化庁
▼功労賞
森岡毅(株式会社刀 代表取締役CEO)
▼江並直美賞(新人賞)
Ado(歌手)
▼リージョナル賞
eかみしばいコンテスト
~まちのデータ地図ちーず~
米谷雄介(香川大学創造工学部 講師/eかみしばいコンテスト実行委員会実行委員長)