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バッファロー、3万円台の法人向けWi-Fiアクセスポイントを発表
法人向け事業戦略説明会を開催
2023年7月27日 16:26
バッファローは7月26日、法人向け事業戦略説明会を開催し、同社の法人向け製品の営業体制や、同社製品群の無料クラウド管理サービス「キキNavi」の紹介、さらに新製品として小規模ユーザー向けのWi-Fi 6対応無線LANアクセスポイント「WAPS-AX4」と「WAPS-AX4/Z」を発表した。
法人向けのサービスが成長中
まず、バッファロー 常務取締役 横井一紀氏が、最初に同社の法人向け販売とサポート体制について説明。
全国に営業拠点があるだけでなく、主要な8拠点にはフィールドエンジニアを配置しているほか、販売パートナーの支援体制の充実や、管理支援として「法人ポータル」があることなどを紹介した。
また、他企業との取り組みとして、他社のネットワーク機器との相互動作確認の実施や、他社ソリューションへバッファローの法人向け製品が組み込まれていることなども紹介。その結果、法人向け商品カテゴリーの売上は成長傾向を持続していることも明らかにした。
法人向け製品は過酷な環境でも安定稼働するモノづくり
続いて、常務取締役の石丸正弥氏が、法人向け製品の特徴について説明した。
2001年から法人向けの無線LANアクセスポイントを発売し、法人向けのNASとしてTeraStationは2004年に発売、その後も法人向け製品やサービスのラインアップを拡充させているという。さらに現在までにVPNルーターや法人向けのスイッチングハブも展開している。
石丸氏は法人向け製品の特徴として、最長5年という長期の保証や最長7年の保守を提供していることし、あわせて、安定稼働のために内部のパーツ選定からこだわっていることを紹介した。
安定稼働については、GIGAスクール構想で小中学校にタブレットが配備されたケースを実例に紹介。「40人生徒さんがいて、40台のタブレットがあって、先生がこの動画を見てくださいねと言って一斉に見る。これは普通の企業ではありえないくらい負荷が高い使い方」とし、通常なら、動画の再生の始まり方にバラつきが出たり、再生できる子供とできない子供が出て、途中で止まったりすることもあるという。
そこで、バッファローでは40台のタブレットを用意して教室の疑似環境をつくり、40台で再生して本当に遅延なく正常に見られるかといった検証にも力を入れているという。
また、法人向け製品の特徴として、例えば学校などでは、土日はエアコンを止めた室内に置かれ、一般家庭より高い温度にさらされるといった状況があると紹介。そこで家庭向け製品では想定する最高温度は40℃までだが、法人向け製品では、それ以上の温度でも安定して稼働することを目指しているという。さらに、「FREESPOT」という公衆無線LANサービスを展開しているが、そこでは屋外設置されることもあって、冬に氷点下になることもよくあり、マイナス25℃という環境下でも稼働しなければならない。そのために、ヒーターを内蔵した製品もあるという。「暑くても寒くてもしっかり5年や7年動作する、温度環境にも配慮したモノづくりをしている」とした。
さらに、管理のための無料のクラウドサービス「キキNavi」についても紹介。今年3月時点で7100社が使っているというキキNaviは、同社の法人向けネットワーク製品を管理するサービスだ。
キキNaviは、登録したネットワーク機器やNASなどの稼働状況が確認できるというもの。さらに不具合時には遠隔で再起動をしたり、ビルの保守などの停電に備えて、事前にシャットダウンさせるスケジューリングをしたりすることが可能。また、有償にはなるが、NASのデータのクラウドバックアップもライセンスとして用意している。
さらに、「キキNaviゼロタッチ」というサービスも展開。これは、対応製品の箱を開けることなく事前に設定を済ませておくことを可能にするサービスで、たとえば遠方の支社などに取り付ける場合、ネットワーク管理者が現地に赴かなくても、ネットワークに接続した時点で自動的に設定を反映させられる機能となる。
安定稼働させた上で、人手・IT人材不足、BCP対策、ハイブリッドワークに対応
続いて、事業本部 法人マーケティング部長の富山強氏が、商品戦略を説明し、あわせて新製品の法人向け無線LANアクセスポイントを紹介した。
富山氏は「基本となる部分、もしくは最も重要な部分というのは、安定稼働に尽きる」とした上で、3つの軸を中心に展開していくとした。
3つの軸とは「人手・IT人材不足」、「BCP対策」、そして「ハイブリッドワーク」。IT人材不足についてはキキNaviや法人ポータルなどでサポート、BCP対策には大容量で高性能のNASとデータ復旧サービスなど、そして、テレワークを含むハイブリッドワークではVPNルーターといったハードウェアから、電子帳簿保存法に対応するアプリ「電子帳簿マネージャー」の無料提供など、それぞれの軸に対応するバッファローのソリューションを用意しているという。
中でも、VPN対応ルータ-は要望に応じてラインアップ。10GbEに対応した有線モデル「VR-U500X」とWi-Fi 6対応の無線VPNルーター「VR-U300W」を用意する。さらにその両者には、UTM(統合脅威管理)機能に対応させるライセンスパックを今冬に販売開始予定という。ライセンス価格は未定だが、今のところイメージとしては、1台あたり年間1万円程度を想定しているとのこと。同社が掲げる「引き算の開発」によって必要な機能に絞ることで、低価格を実現していると紹介した。
小規模ユーザー向け3万円台のWi-Fi 6対応無線LANアクセスポイント「WAPS-AX4」
そして、今回の新製品、SOHO・小規模ユーザー向けのWi-Fi 6対応無線LANアクセスポイント「WAPS-AX4」と「WAPS-AX4/Z」を発表した。
バッファローの調査によると、中小企業のほぼすべてが、少なからず社内でWi-Fiを使っているという。しかし使用している機器は10年以上という回答も約2割あって、速度が遅い、つながらないなどの困りごとが聞かれたという。さらに、Wi-Fi機器のリプレイスを予定している、あるいは検討しているとの回答が合わせて6割あり、その理由の96%が「通信を安定させたい」となっていて、「WAPS-AX4」や「WAPS-AX4/Z」はまさにそうした要望に対応する製品になると紹介した。
両製品の特徴としてはコンパクトなボディでありながら、法人向けに対応する高い機能や耐久性、長期保証を持ち合わせていること。
Wi-Fi 6に対応し、最大通信速度が5GHz帯が1201Mbps、2.4GHz帯は573Mbps。有線LANはPoE対応の1Gbpsポートを持つ。最大接続台数は5GHz帯が64台、2.4GHz帯が64台の合計128台までカバーする。
本体サイズは110×150×35mm(幅×高さ×奥行き)。文庫本ほどのサイズと説明するとおり、コンパクトな筐体で、配線と有線LANポートを触らせないようにするセキュリティカバーが標準で付属する。
細かな部分にも配慮していて、従来品となる「WAPS-1266」からの置き換えでは、壁掛け金具が流用できるようにネジ穴の寸法を共通にしたと言う。LANケーブルもそのまま使えば、本体のみの付けかえでリプレイスが可能になっている。
安定した動作を実現するために干渉する電波を自動回避する機能を持たせていることや、来客向けに、社内ネットワークとは切り離した形でWi-Fiによるインターネット接続を提供するゲストポート機能を搭載していると製品の魅力を説明。また、従来モデルのユーザーであれば、壁掛けの機器を交換するだけでリプレイスが済んでしまうことは、現場から要望が非常に多いところで、ユーザーによろこんでいただける部分ではないかと自信をのぞかせた。
「WAPS-AX4/Z」は「WAPS-AX4」のキキNaviクラウドゼロタッチ専用型番で受注生産品となっている。キキNavi上で事前に設定した機器設定情報を、導入先でインターネット接続するだけで自動で反映できるもので、多くの機材を各所で導入する場合に設定作業の簡略化を実現することができる。
「WAPS-AX4」と「WAPS-AX4/Z」は、標準3年+Web登録による2年の延長保証を用意。また、動作環境温度は最高45℃に対応する。発売は8月上旬で、価格はいずれも3万8280円。