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米Google、Androidをテレビ、腕時計、車にまで拡大し密接に連携
~デザインの共通化、容量無制限の「Google Drive for Work」も発表
(2014/6/26 11:28)
米Googleは25日、米国サンフランシスコで開発者会議「Google I/O 2014」を開幕し、キーノートスピーチで次期Androidリリースのプレビューや新機能を含む様々な発表が行われた。
次期Androidバージョンは「リリースL」と呼ばれ、新APIが5000以上追加される。腕時計から自動車まで、全く異なるサイズや使用環境でも共通して利用できるように、「マテリアルデザイン」と呼ばれる新デザインが導入され、画面デザイナー用のスタイルガイドも公開された。画面色、画面の遷移、アニメーション、タッチフィードバックなどを分かりやすくしている。紙の印刷物にインスパイアされたデザインであり、陰影やアニメーションを効果的に使用している。
Android Wear発表
Googleが発表済みのAndroid版スマートウォッチ「Android Wear」では、初の商品となる韓国LG社製のLG GWatchとSamsung Gear Liveが今日からGoogle Playで注文できるようになった。Motorola製の「Moto 360」は数カ月先の今年夏頃に発売される見込みだ。
Googleは、ほとんどの人が毎日150回以上スマホを確認すると言う数字を上げ、そのために費やされる時間は膨大だが、スマートウォッチならその時間を減らせると紹介。「“OK Google”と話しかけるだけで必要な情報が得られる」。スケジュールの通知、友人からのメッセージ、天気予報なども時計に目をやるだけで確認できるメリットがあるとアピールした。
Android Autoを発表
新たに自動車に搭載するAndroidプラットフォーム「Android Auto」が発表された。YouTubeで動画を見ることもできる。AndroidスマートフォンをAndroid Autoと接続することで、Googleマップによるカーナビ、Google Play Musicによる音楽やラジオ再生、Google Nowによる音声検索やリマインダー通知などが、スマートフォンよりもはるかに安全に、車のダッシュボードで操作できるようになると紹介。Googleは、今年後半にもAndroid Auto搭載車を発表する予定だとしている。
ChromecastとAndroid TV
Chromecastは機能がアップデートされた。友人が家に遊びにきた時に、同じWi-Fiネットワーク上にいなくても、部屋のテレビにキャストが可能になった。また、ホームスクリーンのカスタマイズ、Androidスマートフォンやタブレットからテレビへのミラーリング機能も追加されたことが発表された。
テレビに搭載されるAndroidプラットフォーム、「Android TV」も発表された。テレビ番組検索に音声認識を使用できるほか、Google Playによるミュージックビデオ再生やYouTubeの動画再生も可能。Androidゲームで遊ぶこともできる。
開発者はAndroid TV向けにネイティブアプリやゲームを開発することができる。アプリやゲームはテレビのリモコンや接続したゲームパッドで操作可能。また、Android LデベロッパープレビューSDKには「Leanback」サポートライブラリーが含まれる。これを使用することで、リビングルームで使用することを前提とした、受動的にコンテンツを消費するようなリビングルーム専用アプリを開発しやすくなるという。
さらに、Googleのキャスト機能をアプリ、スマートフォン、リモコン、Android Wearスマートウォッチなどから利用できるようにするAPIを今秋に公開する見込み。Android TVセットトップボックス等のパートナー企業も合わせて発表されたが、ソニーやシャープなどの日本企業のほか、TP Vision、ASUS、Rasorも含まれている。
Android Oneイニシアチブ
Googleは、新イニシアチブ「Android One」を発表した。スマートフォンやインターネット接続を利用できないでいる何十億もの人々に向けた、低価格スマートフォン推進の試みだ。Googleでは100ドル未満の価格帯でAndroid Oneスマートフォンをパートナー企業とこの秋にもインドで提供したい考えで、その後インド以外の国にも拡大していく計画だ。そのためにパートナー企業と共にハードウェアレファレンスプラットフォームを含む包括的なソリューションを開発していくとしている。
Google Drive for Work
Googleドライブも大幅な機能改良を発表。ビジネス用途に向け、新プランが発表された。
ビジネス向けには新たな有料プラン、「Google Drive for Work」を発表。1ユーザー月額10ドルで無制限のストレージ容量、高度な監査報告、新しいセキュリティーコントロールを含むサービスが受けられる。
これによりデスクトップシンククライアントをインストールできる従業員の指定、監査ダッシュボードからファイルの移動、削除、共有状況の監視、監査用のAPIも提供される。またコンプライアンスのためにGoogle App Vaultサービスが含まれており、Drive以外にも、Docs、Sheets、Slidesを含む他のすべてのファイル形式も含まれるようになる。
特に注目されるのは“無制限”のGoogle Driveストレージ容量だ。アップロードするファイルサイズの上限も5TBに拡大される。また、Googleドライブにアップロードされるファイルは、今日からGoogleデータセンターのサーバーに至るまで、「すべて暗号化される」と発表した。
Google DriveとQuick Officeの統合も発表された。これによりAndroidまたはChromeブラウザーのOffice互換モードを使用すると、Google Docs、Sheet、Slidesの中からMicrosoft Word、Excel、PowerPointファイルを編集できるようになった。この機能は間もなくiOSにも対応する。
このGoogle Drive for Workは今日から全世界で利用可能だ。現在Google Apps利用者は、管理者コンソールからアップグレード可能だとしている。
なお、今日のキーノートスピーチには、Googleに抗議する人が複数乱入するというハプニングも起こった。