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KDDIなど12社、スマホ時代のポータル連合「Syn.」始動

共通サイドメニューで各社のアプリ/サービスをぬるっとつなげる

 KDDI株式会社は16日、新しいモバイルインターネット体験を創出するという「Syn.(シンドット)」構想を始動したと発表した。はてな、ナビタイムジャパン、ウェザーニューズをはじめとする国内のインターネットサービス企業11社とともに「Syn.alliance(シンドットアライアンス)」を設立。同日より、各社が提供するスマートフォン向けサービスに共通のサイドメニューを設置し、スマートフォン時代の“中心のないポータル”を構築する。

16日に都内で行われた記者発表会には、「Syn.alliance」メンバー企業の代表が集結した

 共通サイドメニューの「Syn.menu(シンドットメニュー)」は、Syn.メンバー各社のアプリ/ウェブサービス上のアイコンをタップして開くことができ、ユーザーが各サービスをシームレスに回遊できるようになる。

 具体的にはメニュー内に「ビューティー」「ゲーム情報」「天気」「ニュース」「カレンダー」「音楽」「コミック」「ノウハウ」「地図・交通」「ブックマーク」「ファッション」「ランキング」「タイムセール」といったカテゴリが一覧化されており、カテゴリごとにSyn.allianceのメンバー企業が提供するサービスにリンクする。

 各カテゴリでSyn.に参加しているメンバー企業およびサービスは、株式会社アイスタイルの「@cosme」、株式会社ウェザーニューズの「ウェザーニュース」、株式会社AppBroadCastの「ゲームギフト」、A3(KDDI)の「報道ヘッドライン」、株式会社ジョルテの「ジョルテ」、株式会社ナターシャの「音楽ナタリー」「コミックナタリー」、株式会社nanapiの「nanapi」、株式会社ナビタイムジャパンの「NAVITIME」、株式会社はてなの「はてなブックマーク」、株式会社VASILYの「iQON」、株式会社ビットセラーの「Qrank」、株式会社ルクサの「LUXA」。これらのサービスの月間ユニークユーザー数は合計4100万(スマートフォンのみ)に上るとしている。

 Syn.の各サービスの新着情報を通知する機能「Syn.notification」も備え、どのサービスを使用中であっても、共通メニューから他のサービスの新着情報の有無を確認できる。さらに、メニュー内にバナー広告「Syn.ad」を表示するスペースも設ける。

 KDDIでは、Syn.構想を実現するために総額120億円を投入。アライアンスのメンバー企業であるAppBroadCast、ジョルテ、ナターシャ、nanapi、VASILY、ビットセラー、ルクサへの出資などを通じて各社を支援する。企業ととの具体的な出資額は公表していないが、ナターシャ、nanapi、ビットセラーの3社についてはKDDIの出資比率が50%を超えるとした。

KDDI株式会社代表取締役社長の田中孝司氏

 16日に都内で行われた記者発表会で、KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、Syn.構想で目指すのは「日本中のアプリとアプリがつながる世界」だと説明。現状、スマートフォンによるモバイルインターネットが大きく普及している一方で、各アプリ/サービスが点在し、分断されているためにユーザーがスマートフォンのサービスや付加価値を使いこなせていないと指摘。Syn.構想により、それらが「ぬるっとつながると、この窮屈な世界から解き放たれるのではないか」とした。

KDDI株式会社新規ビジネス推進本部担当部長の森岡康一氏。Yahoo! JAPANのコンテンツプロデューサー、Facebook Japanの前副代表の経歴を持つ

 発表会では、Syn.構想の仕掛け人であるKDDI新規ビジネス推進本部担当部長の森岡康一氏も登壇。同構想の方向性などを説明した。

 森岡氏によると、「Syn」には、「Syn-apse:シグナル伝達などの神経活動にかかわる結合部」「Syn-chronize:同時性を持つ、同時である」「Syn-dicate:集合的、企業組合」「Syn-ergy:協力作用、共同」といった意味があると説明。各カテゴリのトップサービス企業がつながることで“中心のないポータル”を共同で構築し、スマートフォンの“価値倍増”に取り組む計画だとした。KDDIのモバイル通信事業「au」とは切り離したオープンなかたちで、今後、モバイルインターネットの利用シーンをカバーする20~30のカテゴリでメンバー企業/サービスをそろえていく考えで、海外企業との連携もありえるとした。

 なお、Syn.は当初、共通サイドメニューによる相互送客というゆるやかなつながりとして展開するが、近い将来には、例えばカレンダーと地図、ファッション情報とタイムセール情報のようなサービスの融合や、「Syn.DMP」も視野に入れているという。今後の国内スマートフォンユーザーの増加もふまえながら、2015年10月までに月間ユニークユーザー数1億人を目指す。

「Syn.構想」の公式サイト

(永沢 茂)