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遠隔操作ソフトは利用目的を理解してからインストールを、IPAが注意呼び掛け

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は4日、遠隔操作ソフトの悪用によるトラブルが発生しているとして、第三者に言われるがままにPCに遠隔操作ソフトをインストールすることは避けるよう、注意を喚起した。

 2014年4月には、知り合った女性にセキュリティソフトと偽ってインストールさせた遠隔操作ソフトを悪用して、個人情報を窃取するという事件が発生した。この事件で使われた遠隔操作ソフトは、ウイルスや不正なソフトではなく、一般に市販されている正規のものだった。

 IPAでは、第三者の言葉を鵜呑みにして遠隔操作ソフトをインストールしてしまうことは、見知らぬ訪問者を家に招き入れる行為と同じようなものだと指摘。遠隔操作する側に悪意があれば、PC内のデータが窃取されるなどの被害の恐れがあると警告している。

遠隔操作を悪用した被害に遭う例

 また、IPAの安心相談窓口には2014年8月以降、「勧誘電話でプロバイダー料金が安くなると言われ、遠隔操作ソフトをインストールしてパソコンの設定を変更してもらったが、PCをこのまま利用していても問題ないのか」という相談が相次いで寄せられているという。

 国民生活センターにも、遠隔操作によるプロバイダー変更の勧誘トラブルに関する相談が寄せられている。遠隔操作で手続きを行うなどとして遠隔操作ソフトをインストールさせられ、別のプロバイダーに契約を変更させられてしまうといった手口で、国民生活センターへの相談件数は、2012年度の187件から2013年度には1596件に急増。2014年度の相談件数も、9月5日時点で1537件に達している。

遠隔操作によるプロバイダー変更勧誘トラブルに関する相談件数(国民生活センターの発表資料より)

 IPAでは、遠隔操作ソフトはPCメーカーがユーザーサポートに利用するといった目的で利用されるが、悪用された場合には第三者からメールの内容を盗み見られたり、本人になりすまして掲示板やSNSに書き込みをされたりという被害に遭う可能性があると指摘。利用目的を理解せずに遠隔操作ソフトをインストールしてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性が考えられるため、言われるがままパソコンに遠隔操作ソフトをインストールしてしまうことは絶対に避けるよう呼び掛けている。

 遠隔操作ソフトを利用したサービスを受ける際の注意点としては、以下の5項目を実践することを推奨している。

・遠隔操作を行う担当者の企業名、所属、名前、連絡先をできるかぎり確認する
・作業の内容や目的を事前に確認する
・遠隔操作ソフトの名称、開発元、ダウンロードサイト(URL)、主な機能を確認する
・遠隔操作による作業実施中はPCから目を離さず、操作内容を確認する
・作業完了後は、遠隔操作ソフトを確実にアンインストール(削除)する

 また、作業途中に事前説明のない操作がされるといった、不審な動きが見られた場合には、無線LAN機能をオフにしたり、ネットワークケーブルを抜くといった、PCのネットワークを切断することで、それ以上の遠隔操作を強制的に中断させることができると指摘。こうした場合は、改めて作業内容を確認し、十分に理解、納得した上で遠隔操作の継続可否を判断することを求めている。

(三柳 英樹)