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地図サイト「マピオン」が大リニューアル、ウェブメルカトルを採用、世界測地系へ移行

 株式会社マピオンは26日、地図サイト「マピオン」のPC版をリニューアルしたと発表した。近年のウェブ地図の投影法として世界標準だという「ウェブメルカトル」を採用。地図座標を示す測地系は「世界測地系(WGS84)」へと移行した。これに伴いズームレベルの段階が増えたほか、地図デザインの変更もあわせて行っている。

 従来のマピオンでは、旧アルプス社の仕様によるメルカトル図法を採用していた。新たに採用したウェブメルカトルは、Googleによって作られた投影法。通常のメルカトル図法では歪みが大きくなる北極・南極周辺の地図を表現することをあきらめることで、世界全体を正方形の画像として表現できるようになっているという。ズームレベルが1上がると、タイル数は南北および東西方向にそれぞれ2倍と なる、四分木の構造を持っていることも特徴。マピオンによれば、ウェブ地図サービスは正方形の地図タイル(地図画像)を配信することでスクロール移動や高速な表示を実現しているため、その目的にかなった投影法だとしている。

旧仕様新仕様(ウェブメルカトル)
メルカトル図法(回転楕円体)メルカトル図法(真球)
空間参照系: EPSG4326空間参照系: EPSG3857(EPSG900913)

 測地系とは、地図上の特定の位置を示すために緯度・経度を用いる際の基準。マピオンがこれまで使用していた「日本測地系」は明治時代に日本独自の基準で作られた測地系で、東京都港区麻布台の旧国立天文台跡地を基準として測量し、各地の緯度・経度を求めている。日本国内だけで利用する分には大きな問題はなかったが、海外との往来やGPSによる測位が一般化してくると位置情報のやり取りに支障をきたすようになり、世界的に標準化された測地系への移行が必要になったとしている。

 世界測地系は、地球の重心を座標系の原点としており、世界で共通に利用できる。日本測地系と世界測地系では座標系の基準が異なるため、同じ位置を緯度・経度で表す場合、座標値も異なる。

日本測地系世界測地系
北緯35度39分17秒5148北緯35度39分29秒1572
東経139度44分40秒5020東経139度44分28秒8759

 さらにマピオンでは「近年のウェブ地図の国際標準を取り入れ、今後は、外部連携や外部ライブラリの活用を視野に入れつつ、サービス改善につなげていきたい」とコメントしている。

 地図画面のズームレベルは従来の10段階から14段階に増え、中間レベルの縮尺が追加されたほか、最大縮尺側で1/846相当の地図まで見られるようなった(従来は1/1500が最大縮尺)。ズームスライダーのUIも、Google マップなどで見られるタイプに変更している。

旧レベル縮尺新レベル対応縮尺
1全国(1/780万)61/6933500
(無し)(無し)71/3466750
2広域(1/150万)81/1733375
31/90万91/866687
41/30万101/433343
51/15万111/216671
121/108335
61/75000131/54167
71/21000141/27083
151/13541
81/8000161/6770
91/3000171/3385
101/1500181/1692
(無し)(無し)191/846

 マピオンによれば、同社の地図の特徴である情報量の多さは、一方では「ごちゃごちゃしている」という印象を与えていたという。新たな最大縮尺で表示することで、情報量はそのままで、1画面内に表示する文字情報を減らすことができるようになり、より見やすくなったとしている。

旧レベルの最大縮尺の例
新レベルの最大縮尺の例

 地図デザインは、建物の色彩、アイコン、交差点や一方通行表記の色などを変更。具体的には、紙の地図のような色味が特徴のマピオンだったが、ユーザーからは「密集地では目がチカチカする」という声もあり、色鮮やかだった建物の彩色を淡い彩色に変更した。また、交差点の名称が長く、交差点が密集しているエリアでは、交差点名が目立ちすぎないよう改善した。

 マピオンによれば、今回のPC版地図のリニューアルは、2009年に詳細縮尺(1/1500)表示の全国対応や検索システムの刷新を行って以来の大きなリニューアルだとしている。

旧デザインの交差点表示の例
新デザインの交差点表示の例
旧デザインの色味
新デザインの色味

 PC版マピオンのリニューアルにあわせて、ミニゲーム企画「ウォーリー マピオン地図へおでかけ」を3月31日13時まで実施する。地図上に隠れたウォーリーや巻物を制限時間内に探すというもので、5つのステージを用意。参加者にはウォーリーの壁紙をプレゼントする。新しくなったマピオンの地図を、目を凝らして見てもらうのが狙い。

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(永沢 茂)