CGMがあればプロメディア不要? 本誌初代編集長が語る
オウケイウェイヴは17日、同社が運営するQ&Aサイト「OKWave」のユーザーを対象としたイベント「OKWaveファンミーティング09」を開催した。INTERNET Watch初代編集長で現在はインプレスR&D代表取締役社長を務める井芹昌信氏がゲストとして登場し、「メディアはどうなる?」というテーマをもとに、メディアの動向について語った。
「OKWaveファンミーティング09」は、OKWaveのユーザーと触れ合うことを目的として、オウケイウェイヴのオフィス内で開催しているもの。6月2日より5週・全5回にわたり、OKWaveのスタッフがユーザーからの質問に答えたり、ゲストを招いたトークイベントなどを実施する。これまでに、アジャイルメディア・ネットワーク代表取締役の徳力基彦氏、映画監督の筧昌也氏が登場しており、井芹氏は第3回目のゲスト。
メールマガジンとして1995年12月にINTERNET Watchをプレ創刊した当時について井芹氏は、「四国のうどん屋がECサイトを開設した」など、主に新しいWebサイトの情報を掲載していたと説明。クリスマスにECサイトを特集した際には、多くの読者がECサイトにアクセスしたことでサーバーが落ちたこともあったと振り返った。「ECサイトの運営者から『なんてことをしてくれるんだ』と怒られたこともありました(笑)」。
現在のメディアを取り巻く環境については、「ネットメディアがすくすく育つ一方で、紙メディアはこの十数年で反比例するように売り上げが落ちている」と説明。今後のメディアの動向に関しては、Q&Aサイトなどユーザーが生成するCGMコンテンツが膨大に増えることで、「極端な人はCGMさえあればプロが書いたメディアは不要」という人も出てくるかもしれないと話した。
その一方、このような考え方は「極論」と指摘。特に、著者が書く知識レベルの高い情報や、編集者が整理した情報などの需要はあるとして、今後もプロフェッショナルによるメディアはCGMと共存し続けるだろうと語った。「例えばノーベル賞受賞者の考え方は、誰かがそれをかみ砕いて伝えなければCGMには上がってこない。それは我々プロフェッショナルのメディアの役割だ」。
会場からは「今後のビジネスで面白いネタを教えてほしい」という質問が上がった。これに対して井芹氏は、「iPhoneやAndroidが出た段階でモバイルがオープン化され、通信ではWiMAXも始まり、来年からはLTEもスタートする。ケータイで100Mbpsの通信が可能になり、オープン系のOSが導入されれば業界が一変する」と語り、モバイルビジネスに可能性があるのではないかとアドバイスした。
オウケイウェイヴ代表取締役の兼元謙任氏は、Q&Aサイトをスタートしようと考えていた際に、INTERNET Watch編集部に創業の相談を持ちかけたエピソードを披露。「やってみたら」と後押ししてもらったことで、創業に踏み切れたと振り返った。イベントではこのほか、「OKWave」が2009年冬に大型リニューアルを実施し、夏をめどにベータ版を公開することも明らかにされた。
インプレスR&D代表取締役社長の井芹昌信氏 | オウケイウェイヴ代表取締役の兼元謙任氏 |
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(増田 覚)
2009/6/18 12:14
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