朝日新聞社が「CNET Japan」や「ZDNet Japan」を事業継承


(左から)朝日新聞社の大西弘美氏、同じく和気靖氏、CBS Interactiveのアダム・パワー氏、シーネットネットワークスジャパンの神野恵美氏

 朝日新聞社と米メディア大手CBSのウェブ事業部門であるCBS Interactiveは1日、シーネットネットワークスジャパンが運営するIT専門情報サイト「CNET Japan」および「ZDNet Japan」などの事業を朝日新聞社が引き継ぐことで合意したと発表した。

 朝日新聞社は、CBS Interactiveからシーネットネットワークスジャパンの事業を継承するとともに、「CNET」「ZDNet」などに関するライセンス契約を結ぶ。事業の引き継ぎは2009年9月1日を予定し、今後手続きに入るという。

 朝日新聞社が引き継ぐのは、「CNET Japan」と「ZDNet Japan」のほか、ゲーム情報サイト「GameSpot Japan」、鉄道関連情報サイト「鉄道コム」など。朝日新聞社は今後、同社が運営するニュースサイト「asahi.com」や情報サイト「どらく」などとの連携を図り、ウェブ事業を強化するという。

 また、今回の事業継承を機に、朝日新聞社とCBS Interactiveはウェブ事業分野でのパートナーシップを築き、今後さまざまな協業の可能性を検討するとしている。

CBSは「日本市場でのブランド強化」、朝日は「デジタルビジネスの幅広げる」

 CBS Interactiveでインターナショナル部門のプレジデントを務めるアダム・パワー氏は、今回の事業継承について「日本市場において、CBS Interactiveブランドを今まで以上に強化・浸透させる機会を得た」と評価。また、朝日新聞社とは過去6カ月にわたって交渉を行ってきたことを明らかにし、「今後はさらにエキサイティングな環境でビジネスを展開できる」とした。

 一方、朝日新聞社デジタルメディア担当の和気靖氏は、「国際的な影響力を持つCNETなどの日本語サイトを運営することで、朝日新聞社としてデジタルビジネスの幅を広げたい」としてメリットを説明。「まずは、シーネットネットワークスジャパンが展開する日本語サイトをそのまま引き継ぐ」とした上で、事業継承(9月1日)の前後でユーザーがこれらの日本語サイトを見比べても「変化はない」とも補足した。

 2社のコンテンツ連携の具体例は明らかにされなかったが、今後は、CBS Interactiveが展開する英語サイトや中国語サイトを通じて、朝日新聞社のコンテンツを翻訳して発信することも視野に入れているという。

 和気氏は、広告営業面での相乗効果も期待していると説明した。「朝日新聞社のウェブ広告担当者は、新聞広告の経験者。一方、シーネットネットワークスジャパンはウェブ専業でやっている。さらに、IT関連のイベントも開いているが、こうしたリアルなイベントについてもシナジー効果を出していきたい」。

 事業継承に当たっては、知的財産や人材を含むCNET Japanなどの事業を新会社に分割して、新会社の株式を朝日新聞社が100%取得する。朝日新聞社の出資額は非公表としたが、「CNET JapanやZDNet Japanなどが積み上げた実績、現状の実力、今後の発展性を踏まえた上で、相応の評価で合意した」(和気氏)としている。


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(増田 覚)

2009/7/1 16:13