「Office 2010」テクニカルプレビュー版、米MSが限定公開

ブラウザ版「Office Web Application」も用意


 米Microsoftは13日、ニューオーリンズで開催中の「Worldwide Partner Conference 2009」において、「Office 2010」のテクニカルプレビューを限定公開すると発表した。同カンファレンスの出席者はテクニカルプレビュー版をテストするための招待状を受け取ることができ、それを使って専用サイトにログインできる。

エディションは5つ、ブラウザ版はWindows Liveでの無料提供も

Microsoft Office 2010専用サイト

 今回発表された「Office 2010」では、共同作業が重要なテーマとなっている。特にWebブラウザで動作する「Office Web Application」が提供されることによって、WordやPowerPoint、Excel、OneNoteの軽量版をブラウザ上で動作させることができる。デスクトップ版に搭載されている全機能が使えるわけではないが、共通のリボンインターフェイスや統一したドキュメントのルックアンドフィールを提供する。また、Internet Explorerだけでなく、FirefoxやSafariにも対応している。無料で提供されることから、同じく無料の「Google Docs」や「Zoho Apps」の有力な対抗馬になると考えられる。

 Microsoftでは、提供するOfficeのエディションをこれまでの8種類から5種類へと減らした。また、「Office Web Application」は3つの形態で提供される。1つめは、Windows Liveを通じた無料提供。2つめは、企業がボリュームライセンスのもとで自社運用で利用できるもの。3つめは、クラウド上の「Microsoft Online Services」で有料サブスクリプションサービスとして利用できるものだ。

 「Office 2010」は、今年後半にはより広範なベータテストが行われる予定だ。さらに発売は、その後の2010年前半に予定されている。

デスクトップ版PowerPointにブロードキャスト機能

 デスクトップ版のWordやPowerPoint、OneNoteには、共同編集機能が用意されている。また、PowerPointでは動画や画像の編集機能が強化された上、ブロードキャスト機能も搭載された。これは、招待したユーザーのブラウザ画面にプレゼンテーションをほぼ同時に配信できる機能だ。

 ブロードキャスト機能を使う際は、招待する相手のメールアドレスやURLなどを用意する。これによってユーザーは、リアルタイムに多くのユーザーに対してプレゼンテーションを行うことができる。しかも携帯やノートPCのブラウザにも対応しているため、相手が同じ部屋にいる必要すらない。

 デスクトップ版のWordやExcelにも多数の新機能が追加されており、Wordではコピー&ペーストのプレビュー機能が用意された。例えば、Webページの一部をコピーしてWord文書に張り付けた場合、レイアウトが崩れるなど、思ったようにペーストできないことがしばしばある。しかしペーストのプレビュー機能によって、あらかじめどのような状態になるかを確認できるため、テキストだけ、または画像や色を含めるかといったことを選択してからペーストできるようになった。

 Excelでは、「スパークラインズ」や「スライサー」と呼ばれる新機能が搭載された。「スパークラインズ」は、セル内のデータの時系列的変化を簡単なグラフで表示する機能だ。これによって大げさなグラフを作成するまでもなく、状況を把握できる。「スライサー」は、ピボットテーブルで、どの項目を選択対象にしているかをビジュアルに表示するための機能で、より簡単にピボットテーブルの分析を可能にする。

 Outlookではユーザーインターフェイスが改良され、同じスレッドがWeb掲示板のように一覧できるようになった。また、読みたくないスレッドがある場合、スレッド全体を無視し、該当するメールを直接ゴミ箱に送ることも可能になった。たくさんのメールの中から、該当するメールを探し出す機能も改良されている。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2009/7/14 12:39