楽天市場がアカマイ導入、「今後は動画での商品紹介も増える」


楽天の杉原章郎取締役

 アカマイは4日、楽天が運営するインターネットショッピングモール「楽天市場」に、アカマイのコンテンツデリバリーシステム「Dynamic Site Solutions」が採用されたことを発表した。

 これにより、楽天市場にある画像などのコンテンツは、世界に分散するアカマイのキャッシュサーバーに保存され、配信されるようになる。

 ユーザーは、楽天のサーバーまでアクセスすることなく、自分に近い地域のアカマイサーバーへアクセスしてコンテンツを読み込むため、ページ表示を速くすることが可能。また、ユーザーの帯域に最適化して配信できることも特徴としている。

 楽天ではこれまで、「infoseek楽天」「イーバンク銀行」「ShowTime」といった楽天グループのサービスや、「楽天市場台湾版」などの海外展開においてアカマイのネットワークを採用していた。これらの取り組みを通じてアカマイの有効性が確認できたことから、今回、「楽天市場」本体への導入に踏み切ったとしている。

キャッシュサーバーは増強が追い付かない状態だった

アカマイの小俣修一代表取締役社長

 楽天の杉原章郎氏(取締役常務執行役員開発部長)は、「今まで自前のキャッシュサーバーでやってきたが、店舗やユーザーの増加に伴い、システムの増築が追い付かなくなった。商品データや検索のサムネイルデータなどをアカマイネットワークに乗せることで、ユーザーは安定して見られる」と説明した。

 また、楽天の黒河内倫氏(開発部グループインフラ構築・運用課ネットワーク構築・運用グループマネージャー)は、「キャッシュサーバーは増強してもすぐいっぱいになる状態だった」と話す。加えて、店舗から高精度の画像や動画を使いたいという要望もあり、サーバーやネットワーク増強に伴うコストも課題になっていた。

 アカマイを導入することで、コスト削減および今後のサービス拡充に向けたスケーラビリティを確保できると説明。さらに、国際展開においても有効としており、事前に行った試験では、海外からアクセスする際のレスポンスが向上したという。これにより、海外から日本の楽天市場で商品を買ったり、日本から海外の楽天市場を利用するときに、スムーズなアクセスが可能になるとした。

 アカマイの小俣修一代表取締役社長(アカマイ・テクノロジーズ日本担当副社長)は、「国内のECサイトでアカマイを導入しているところは数社あるが、楽天のように大規模なサイトは初めて」だと話す。また、アカマイでは、リッチコンテンツのスムーズな配信だけでなく、DDoS攻撃などに対するセキュリティも確保できると説明。コンテンツはアカマイサーバーから配信されるため、攻撃者はオリジンサーバーのIPアドレスがわからないほか、オリジンサーバーへ到達するまでに、アカマイサーバーが壁の役割を果たすという。

ECサイトにおけるアカマイの有効性事前の試験ではトラフィックの削減などを確認


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(野津 誠)

2009/11/4 16:47