米Adobe「Flashはオープンだ」、Appleに真っ向から反論


Adobe Systemsが新たに開設した「選択の自由」と題するページ

 米Adobe Systemsは12日、「選択の自由」と題する新たなページと、同社の共同創業者であるChuck Geschke氏とJohn Warnock氏の2人による書簡を公式サイトで公開した。その中で同社は「Flashがオープンである」との主張を展開している。

 米AppleのCEOであるスティーブ・ジョブズ氏は4月29日に、FlashがAdobeの管理下にあり、「100%プロプライエタリである」と述べ、Webに関係するすべての標準はオープンであるべきだとの内容を中心とする書簡を公開していた。

 AppleのiPhone/iPadなどにはFlashが搭載されておらず、これが両社の間で、またユーザーの利便性の観点から、大きな問題となっていた。今回のAdobeによる公開書簡およびキャンペーンは、ジョブズ氏の書簡よりもいくぶん上品に見えるが、内容は率直であり、企業や消費者にどのように受け入れられるかが注目される。

 Adobeは新たに開設した「選択の自由」と題するページの中で、「イノベーションが生まれるのは、人々が自由にテクノロジーを選択でき、オープンに自分の考えを表現し、いつでもどこでも望むように情報にアクセスできる時だ。テクノロジーの障壁がアイデアの交換を妨げる時、すべての人が負けることになる」と述べる。

 そして、Adobeが「PostScript」や「PDF」を標準規格として仕様を公開したオープンな企業であるとし、オープンであることを重んじるからこそ、HTML4、HTML5、CSS、H.264といった標準規格テクノロジーをサポートしてきたのだと主張している。

 ジョブズ氏は4月29日の公開書簡の中で、「FlashがMacのクラッシュの第1原因である」と述べたり、モバイル端末におけるFlashの性能が低いこと、タッチスクリーンにそぐわないことなど、Flash Playerの性能面でも激しい批判を加えていた。

 Adobeは公開書簡の中で、暗にこのことを批判。例えば、かつてPostScriptは仕様を公開したために、初期には72のクローンメーカーが誕生したが、Adobeは自らイノベーションを続けることによって、市場におけるリーダーシップをとり続けたと説明。そして現在でも、Flashの仕様は公開されているため、誰でも自分のFlash Playerを開発できると反論した。また、「Adobe Flashテクノロジーがマーケットリーダーであり続けるのは、我々従業員の絶え間ない創造性と技術的革新のためである」と述べ、「我々は、Appleが正反対のアプローチを取っていると考えている」と激しく批判した。

 Adobeは公開書簡の最後で、「誰がワールドワイドウェブを支配しているのでしょうか? その答えは、誰でもなく、すべての人だと我々は信じています。しかし明らかに、1つの企業ではありません」と締めくくっている。


関連情報


(青木 大我 taiga@scientist.com)

2010/5/14 11:27