読めば身に付くネットリテラシー

日本年金機構を名乗る「差押予告」メールからPayPay送金へ誘い込む、巧妙な罠に注意

 日本年金機構が5月7日、不審なメールへの注意喚起を行いました。国民年金保険料の未納を理由に財産の差押えを告げ、キャッシュレス決済へ誘導するメールが出回っているのです。PayPayも5月18日、公金の未納などをかたる同様の手口について注意喚起を出しました。ネット詐欺師は、嘘の未払い金や公金未納を口実に、PayPayの「送る・受け取る」機能で残高を送らせようとするのです。

 架空請求詐欺の一種ですが、国民年金保険料の未納という実際にありそうな切り口に、PayPayという手軽な送金方法が組み合わさっていることで、だまされてしまう人が出ているようです。今回は、この「PayPay送金詐欺」について解説します。

「差押え」や「最終通知」を強調、不審なメールの報告が5月上旬から相次ぐ

 この手口のメールの件名には「【重要】差押予告通知書(最終通知)」や「【重要】国民年金保険料のお支払いのお願い」「【至急】国民年金保険料の未納に伴う財産差押えの執行予告」など、見るだけで不安になる言葉が並んでいます。

日本年金機構が公開した、不審なメールの画面例です

 本文も手が込んでおり、差押えや強制徴収などの法的手続きが始まるかのように見せる文面もあれば、「行き違いの場合は破棄してください」と事務連絡風の表現を混ぜて役所からの通知らしさを出すケースもあります。請求額は1万7300円、1万8500円、2万6300円、2万9857円など、いかにもありそうな金額に設定しています。

 日本年金機構は「メールで支払いを促すことはない」と明言しているので覚えておきましょう。

 メール内に記載されているリンクを開くと、PayPayアプリの画面が表示されます。中継ページやQRコードのページを経由して開くこともあります。表示されるのはPayPayの個人間送金の画面ですが、送金先には日本年金機構のロゴを思わせるアイコンが使われていた事例も報告されていますが、ロゴを勝手に使っているだけで、無関係のなりすましです。

 しかし、PayPayを使った公金の支払いには「請求書払い」機能が使われ、「送る・受け取る」機能は使いません。この個人間送金の画面で支払わせようとする時点で、不自然だということに気が付きたいところです。PayPayの正規のアプリが起動したから安全、というわけではないのです。

※PayPay送金詐欺については、関連記事『PayPayを悪用した架空請求詐欺に注意! SMSのリンクは開かずに、公式サイトで確認しよう』でも取り上げているのでご一読ください。

 メールの差出人が「日本年金機構」などであっても、先述のように、日本年金機構は「メールで支払いを促すことはない」と明言しています。年金の納付・支払いを促すような件名や、未納に関する通知のような件名のメールが「日本年金機構」を名乗る差出人から届いても、開かずにゴミ箱に送ってしまって構いません。

 さらに、この手口は、日本年金機構をかたった国民年金保険料の名目のほかに、住民税や国民健康保険料などさまざまな名目でも行われています。同じように、未納や法的措置をちらつかせてPayPay送金へ誘導するパターンが確認されています。

 キャッシュレス決済サービスは便利な一方で、ふだん慣れた操作ほど、詐欺師側にも悪用されやすくなります。メールの文章がもっともらしく、決済アプリが本物で、送金先アイコンが公的機関風だったとしても、「送る」を押す前に立ち止まってください。焦るような文面であっても、リンクを開かず、公式サイトからアクセスして情報を確認する癖を付けましょう。そのひと手間により、被害を回避できるのです。なお、PayPayのウェブサイトには、ユーザーが自身で送った残高は補償制度の対象外だと明記されていますので、重ねて注意しておきたいところです。

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