BitTorrent、「μTorrent 3.0」正式版を公開、チャットアプリのベータ版も


μTorrent 3.0

 米BitTorrentは23日、P2Pファイル共有ソフト「μTorrent 3.0」正式版を公開した。μTorrent 3.0は4月以来ベータテストが続けられていた。

 新バージョンでは、ストリーミング、遠隔操作、ファイルのレーティング、ドラッグ&ドロップによるファイル共有、ユーザーインターフェースと安定性の改善、ポータブルモードなど多くの改良点がある。また、μTorrentユーザー同士でチャットできるP2Pアプリケーション「uChat」のベータ版も公開された。

 BitTorrentはいまだに違法ファイル共有に使用されることも多く、近年では数多くの訴訟も起こされている。ユーザーは著作権侵害に十分留意して利用する必要があることは言うまでもない。一方で、合法的なtorrentサイトも増えており、BitTorrentの健全な利用も増えてきている。一例として以前は海賊版の温床だったMininovaも合法トレントサイトに生まれ変わったほか、ClearBits、Public Domain Torrents、Jamendoなど、合法トレントサイトも多数登場している。

 μTorrent 3.0の新機能で注目されるのはストリーミング機能だ。これはプログレッシブダウンロードとも言われ、ファイルダウンロードが完了する前に、一部のダウンロードが完了した時点で、ファイル再生できる機能だ。全てのファイル形式に対応しているわけではないが、ダウンロードする価値があるファイルかどうかを識別するために役立ちそうだ。

 同じく新機能のμTorrent Remoteは、出先からμTorrentクライアントをブラウザーから操作できる機能だ。利用に際してはウェブサイトに事前にサインアップする必要がある。またこの機能のためのAndroidアプリベータ版も用意されている。

 トレントファイルのレーティングとコメント機能も用意された。これにより利用者同士でファイルの品質評価や、セキュリティに問題があるファイルなどをコミュニティによって改善できる。トレントマネージャー画面からレーティングをクリックすると5段階評価を行える。またコメントボタンからコメントを残すことも可能だ。

 ドラッグ&ドロップによるファイル共有機能も用意された。これは画面左下に表示されている。家族や友人に動画等の大きなファイルを送信したい場合、そのファイルをこの画面にドラッグ&ドロップするとリンクが生成される。このリンクを相手にメールしたり、ソーシャルサイトに投稿することによって、ファイルを共有できる。

 このほか、USBメモリーでμTorrentを動作させられるポータブルモードの追加や、μTorrentのユーザーインターフェースを簡略化できる機能の追加、安定性の改善などが行われている。

 今回の発表に合わせ、μTorrentと共に利用できるP2Pチャットアプリ「μChat」のベータ版が発表された。このチャットアプリには中央集権的なサーバーがなく、分散アーキテクチャーにより動作する。μChatはBitTorrentテクノロジーを使用するため、相手にIPアドレスが表示されることに注意する必要がある。

 BitTorrentでは、μChatをクライアント使用方法をユーザー同士で教え合ったり、サポートを行ったり、個別のファイル等について議論、推薦するために使ったりすることを想定している。また、アーティストやクリエーターが、直接ファンとチャットするためのコミュニケーションチャンネルとしても利用できる可能性があると期待している。

 μChatでは、誰でも入出できるチャットルーム、特定の友人を招待して設定できるプライベートなチャットルーム、友人同士に直接トレントファイルを共有できる「Quick Share」などの機能がある。

 ベータテストの間は、BitTorrent側でスケーラビリティのテストを行うため、余りにも人数の多いチャットルームでは入室制限する場合があるとしている。夏の終わり頃には安定版を発表する予定だ。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2011/6/24 12:09